日本株:輸出や銀行中心に大幅安、米利下げは不十分-景気懸念誘う

午前の東京株式相場は大幅安。米利下げ 幅が景気後退を回避するのに十分ではないとの見方や、為替相場の円高傾向を 受けてソニーやキヤノンなど輸出関連株中心に安い。米住宅市場や信用収縮懸 念から銀行や不動産株も売られ、不動産は午前の東証1部の業種別下落率で首 位となった。

T&Dアセットマネジメントの神谷尚志チーフ・エコノミストは、「堅調 な雇用情勢を考えると大幅利下げは必要ないが、投資家にとって小幅利下げは 失望だった」と指摘した。来年の米国経済の先行きについて、米国投資家は楽 観的だと見る神谷氏は、「米国経済のリスクはダウンサイドのみ」という。

午前終値の日経平均株価は前日比294円85銭(1.8%)安の1万5749円 87銭、TOPIXは26.42ポイント(1.7%)安の1540.60。東証1部の売買 高は概算で9億5864万株、売買代金は1兆1136億円。値上がり銘柄数は299、 値下がり銘柄数は1292。

東証業種別33指数の騰落状況では、石油・石炭製品と鉱業を除く31業種 が安い。銀行、電気機器、輸送用機器、不動産、電気・ガス、機械が下げた。

不透明感増したとFOMC声明

利下げが小幅にとどまったことによる米景気への警戒から売りが優勢とな った。午前半ばには為替の円高一服で下げ渋る場面もあったが、中国などアジ ア株の下落も加わると再び下げ幅が広がった。米連邦準備制度理事会(FR B)は11日のFOMC(米連邦公開市場委員会)で、フェデラルファンド金 利の誘導目標を25ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)引き下げ

4.25%に設定することを決定。声明文では、前回の10月声明時に比べて成長 と物価とも「不透明感が増した」と指摘した。

リテラ・クレア証券の井原翼理事・情報部長は、「米利下げ幅が市場の期 待を下回ったことで、失望売りが支配的になっている」と指摘。さらに声明文 でも、「追加利下げを示唆する具体的な要素が乏しく、逆に利下げのハードル が高いことを示した」(日興シティグループ証券の村嶋帰一チーフエコノミス ト)との見方が出ている。

日本経済にも余波

海外経済の不透明感が広がる中、日本経済への警戒感も浮上。モルガン・ スタンレー証券では、日本経済はアジアの拡大の恩恵を受けつつも、米景気後 退下では内需の弱さからリスクに脆弱と指摘。11日付で2008年暦年の実質成 長率を1.9%から0.9%へと引き下げた。神山直樹ストラテジストは、「日本 の来期企業業績は増益率がゼロまで低下するだろう」との見解を示し、2008年 末のTOPIXの目標を1640ポイント(従来1800ポイント)へと引き下げた。

銀行や不動産安い

午前の下落をリードしたのは銀行株。三菱UFJフィナンシャル・グルー プなどメガバンクや住友信託銀行などを中心に、上場85銘柄中、80銘柄が下 げるなど全面安状況となった。11日の米国株市場では利下げ幅が小幅にとどま ったことで経済成長や住宅市場に対する不安が高まり、S&P500種の金融株 価指数は4.9%安と11月7日以来で最大の下落率となった。

今週から来週にかけては、リーマン・ブラザーズやベアスターンズなど米 金融機関の決算発表を控え、「米サブプライム(信用力の低い個人向け)住宅 ローン関連の損失が市場の予想の範囲に収まるかが次の注目点になる」(大和 投資信託の長野吉納シニアストラテジスト)とされた。重要イベントを前に、 積極的に下値を拾う動きは限定されている。

また、三井不動産が5%超の下げとなるなど、不動産株も下げがきつい。 12月に入って国内クレジット市場は落ち着きを示しつつあるが、クレジッドス プレッドは高止まり状態にある。米国で信用収縮懸念が再び高まったことで、 下げが大きくなった。

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