東京外為:円じり安、米追加利下げ期待残る-米株見極め、110円後半

午前の東京外国為替市場では、円が上昇幅 を縮小する展開となった。ドル・円相場は1ドル=110円台後半を中心に、前日 のニューヨーク時間午後遅くに付けた110円66銭から円が水準を切り下げて推 移した。市場の期待を下回る米国の利下げ幅を受けた株価の急落を背景に、海 外市場では円の買い戻しが進行したものの、追加利下げ観測も残ることから、 株式市場の持ち直しが期待され、円買いは限定的となった。

中央三井信託銀行総合資金部の北倉克憲主席調査役は、今回のFOMCに ついては、市場が期待し過ぎた感があり、米株が大幅に調整を迫られる結果に なったと分析。年内最後の重要イベントを通過して、持ち高調整が一気に進ん だ面があるとしたうえで、「先行きの利下げ観測が残るなかで、市場は米株の セカンド・リアクションに焦点が向いている」といい、株安一服の可能性もあ ることから、リスク回避に伴う円買いは進みにくいとみている。

円がじり安に展開、一時111円02銭

この日のドル・円相場は、米国の小幅利下げを背景とした株急落を受けて 円の買い戻しが進んだ海外市場の流れを引き継ぎ、1ドル=110円台後半で早朝 の取引を開始した。

しかし、朝方からクロス・円(米ドル以外の通貨と円の取引)全般に円売 りが広がった影響で、ドル・円相場も110円63銭(ブルームバーグ・データ参 照、以下同じ)を付けたあとは、じりじりと円が軟化。午前9時40分すぎには 111円02銭まで円が水準を切り下げた。

ユーロ・円相場も一時1ユーロ=162円81銭と、前日のニューヨーク時間 午後遅くに付けた162円14銭からユーロ高・円安が進む場面が見られた。

米株動向を見極めへ

米連邦準備制度理事会(FRB)は11日に開いた連邦公開市場委員会(F OMC)で、政策金利のフェデラルファンド(FF)金利誘導目標を25bp引き 下げて4.25%に設定することを決議。また、地区連銀の窓口貸し出しに適用す る公定歩合を25bp引き下げて4.75%とした。

FF金利の誘導目標、公定歩合ともに、市場の一部では50bpの利下げ期待 が残っていたとみられ、失望感から同日の米株式市場では売りが活発化。ダウ 工業株30種平均は300ドル近い下げとなった。

リスク投資の代表格である株式の急速な相場下落を受けて、同日の外為市 場では投資リスクを伴うとされる低金利の円で資金を調達して、高金利通貨な どに投資する動きが収縮するとの見方が浸透。円の買い戻しが進み、一時11月 9日以来の円安値112円14銭を付けていたドル・円相場は110円49銭と、5 日以来、約1週間ぶりの水準まで円が急伸する展開となった。

ただ、三菱UFJ証券クレジット市場部為替課長の塩入稔氏は、FOMC の結果判明から米株式市場の終了まで時間が残り少なかったため、「株価が十 分に消化したとは考えにくい」と指摘。このため、リスク縮小に伴う円の買い 戻しがどんどん進む展開も見込みにくいとして、引き続き米株動向を見極めた いとの意向から、12日の東京市場ではいったん円買いが一服するとみている。

声明で景気懸念強める、追加利下げを示唆

先行きの政策動向を見極めえるうえで注目されているFOMCの声明文で は、「金融市場の状況悪化を含む最近の展開で、経済成長とインフレの見通し は不透明感を増した」と指摘。10月の前回会合での声明で示した「インフレ率 上昇リスクと成長下振れリスクがおおむね均衡すると判断した」との表現から、 インフレと景気両面での不透明感の増幅に懸念を示す内容となっており、追加 利下げの可能性が残る格好となった。

三菱UFJ証の塩入氏は、「今回の利下げが25bpにとどまったことで、来 年1月の追加利下げも見込まれる」としたうえで、米株が若干値を戻す展開も あり得るとみている。

米証券決算を警戒

一方で、週後半には13日のリーマン・ブラザーズなど、米証券会社の決算 発表が控えており、サブプライム(信用力の低い個人向け)住宅ローン関連の 損失拡大が警戒されている面もある。

市場では、「FOMCの結果だけでは、ドル全体の売り基調を見極め切れ ない」(ブラウン・ブラザーズ・ハリマン外国為替部・北澤純部長)との指摘 も聞かれており、サブプライム問題に絡む悪材料を受けて再びドルの地合いが 悪化する可能性もありそうだ。

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