12月11日の海外株式・債券・為替市場(2)

(米国市場を更新します)

○米国株:大幅安。ここ1カ月で最大の値下がりとなった。連邦公開市場委員会 (FOMC)が決定した0.25ポイントの利下げでは米国がリセッション(景気 後退)を回避することはできないとの見方が広がった。

バンク・オブ・アメリカ(BOA)やシティグループが下落。S&P500 種株価指数に採用されている金融93銘柄で構成される株価指数を押し下げた。 FOMCが声明で住宅調整の本格化に言及したことから、住宅建設企業も売り を浴びた。S&L(貯蓄・貸付組合)最大手ワシントン・ミューチュアルは、 住宅金融部門の評価損を計上する計画が嫌気され、1カ月ぶりの大幅安を記録。 住宅金融のフレディマック(連邦住宅貸付抵当公社)は3営業日続落。同社は 10-12月期業績についてアナリスト予想を下回るとの見通しを示した。

ニューヨーク時間S&P500種株価指数は前日比38.31ポイント(2.5%) 安の1477.65となった。ダウ工業株30種平均は294.26ドル(2.1%)下げて

13432.77ドル。ナスダック総合指数は66.60ポイント(2.5%)低下し

2652.35で終了した。ニューヨーク証券取引所(NYSE)の騰落比率は1対 14。

ハートフォードの最高投資ストラテジスト、クインシー・クロスビー氏は 「利下げはもっと積極的であるべきだった。市場の直感的な反応として、今回 の利下げ決定は一足遅く、FOMCは対応が後手に回っていると受け止めてい る」と語った。

一部の投資家は0.25ポイントを上回る利下げ幅を見込んでいた。利下げ 発表前の金利先物市場動向によると、フェデラルファンド(FF)金利誘導目 標が0.5ポイント引き下げられる確率は36%と、前日の28%から上昇してい た。米連邦準備制度理事会(FRB)は公定歩合も引き下げて4.75%とした。

金融株が下落

S&P500種の金融株価指数は4.9%安と11月7日以来で最大の下落率だ った。

シティグループは、元モルガン・スタンレー幹部のビクラム・パンディッ ト氏を最高経営責任者(CEO)に指名した。辞任したチャールズ・プリンス 氏の後を引き継ぎ、住宅ローン関連損失後の業績立て直しを図る。

ワシントン・ミューチュアルは下落。同社は住宅ローン市場での損失拡大 に伴い、配当を73%削減し、10-12月期に住宅金融部門の評価額を16億ドル (約1800億円)引き下げるほか、従業員の6%を削減する計画を明らかにし た。

フレディマックは10-12月期業績について、過去最大の赤字を出した7 -9月期から大きな回復は見込んでいないことを明らかにしたことが手掛かり となり売られた。7-9月期は20億2000万ドル(1株当たり3.29ドル)の 赤字だった。ブルームバーグがまとめたアナリスト12人の予想平均では、10 -12月期は特別項目を除く1株当たりの赤字は約1.27ドル。同社は住宅市場 の冷え込みについて「特効薬や短期の急回復」はないと述べた。

生命保険・住宅ローン保険のジェンワース・ファイナンシャルは下落。 2008年通期の利益見通しがアナリスト予想を下回ると発表したのが嫌気された。 見通し悪化は米住宅不況に関連した損失が原因。同社によると1株当たりの営 業利益は2.65-3.10ドルにとどまる見通し。ブルームバーグがアナリスト17 人を対象に実施した調査によると、予想平均は3.28ドルだった。

経済成長への懸念

ブルームバーグがアナリスト63人を対象に今月3-10日にかけて実施し た調査によると、第4四半期の米経済成長率見通しは11月時点の1.5%から 1%へ下方修正された。住宅市場の冷え込みが個人消費を損ねるとの見方が背 景だ。

15銘柄で構成するS&Pの住宅建設株価指数は9.7%と大幅下落。同指数 は5年ぶり安値を記録した11月27日から前日までに32%上昇していた。ポー ルソン財務長官が主導するサブプライム(信用力の低い個人向け)住宅ローン 問題の救済策が住宅差し押さえに歯止めをかけ、住宅在庫の積み上がりを抑え るとの見方が買いにつながっていた。

米最大の住宅建設業者のレナーや同業のパルト・ホームズ、コンテックス はいずれも安い。

コーヒーチェーン大手のスターバックスは下落。ゴールドマン・サックス が同社の株式投資判断を「買い」から「ニュートラル(中立)」に引き下げた。 ゴールドマンはスターバックスの米国での競争力と消費者からの需要が懸念事 項だと述べた。

一方、通信大手のAT&Tは2006年7月以来で最大の値上がり。同社は 13%の増配ならびに最大152億ドル(約1兆7000億円)相当の自社株買い計 画を発表した。

○米国債:相場は反発。11日の米連邦公開市場委員会(FOMC) で0.25ポイントの利下げが決定したが、これが米経済のリセッショ ン(景気後退)入り回避に十分ではないとの懸念が広がり、米国債相場 は急伸した。

米政策金利0.25ポイントの引き下げ決定後、2年債利回りは3%を 割り込んだ。

フランクリン・テンプルトン(カリフォルニア州)のクリス・モラ ンフィ 最高投資責任者(CIO)は「極めて軟調な景気のてこ入れと金 融市場の混乱に対処するため、トレンドは明らかに追加利下げ方向にあ る」と指摘した。

キャンター・フィッツジェラルドによると、ニューヨーク時間午後 3時30分現在、2年債利回りは前日比22ベーシスポイント(bp、1bp =0.01ポイント)低下して2.96%で推移。2年債価格(償還期限2009 年11月、表面利率3.125%)は前日比13/32上昇し100 11/32。10年債 利回りは同18bp低下の3.98%、2004年8月以来最大の低下となった。

FOMCはこの日、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を

0.25ポイント引き下げて4.25%とすることを決定。また、連邦準備制度 理事会(FRB)は公定歩合を0.25ポイント引き下げ4.75%とするこ とを承認した。

FOMC後に発表された声明では、「委員会が過去に取った措置と 合わせ、今回の措置は経済が長期的に緩やかに成長するのを促進するも のと認識する」と表明。さらに、「金融市場の状況悪化を含む最近の展 開で、経済成長とインフレの見通しは不透明感を増した」と指摘した。

この日の政策金利決定は全会一致ではなく、ボストン連銀のローゼ ングレン総裁は0.5ポイントの利下げを主張した。

公定歩合

エコノミストの中には、金融機関の貸し出しを促進し、米連邦準備 制度からの直接的な借り入れという汚名を取り除くために、フェデラル ファンド(FF)金利誘導目標と公定歩合の格差が縮小されるとの予想 もあった。

SEIインベストメンツ(ペンシルバニア州オークス)の債券運用 責任者、ショーン・シムコ氏は「米国債市場では公定歩合を引き下げて も流動性を確保できないと想定されている」と指摘。その上で、「質へ の逃避ならびに流動性への逃避といった取引が継続しよう」と語った。

3カ月財務省短期証券(TB)利回りは前日比12bp低下し2.91% となった。

シカゴ商品取引所(CBOT)のフェデラルファンド(FF)金利 先物市場の動向によると、1月30日のFOMCで0.25ポイントの利下 げが実施される確率は67%とみられている。この日のFOMC金利決定 前では59%だった

ブルームバーグがまとめた73人のエコノミスト調査によると、2年 債利回りは年末までに3.19%に達すると予想されている。

○NY外為:円がドルとユーロに対して上昇。2週間ぶりの大幅高となった。米 連邦公開市場委員会(FOMC)が0.25ポイントの利下げを実施。利下げ幅が 一部の予想より小幅にとどまったため、米国のリセッション(景気後退)を回避 するには不十分との見方から円買いが膨らんだ。

米景気の失速懸念を背景に、低金利の円で資金を調達し、高金利通貨で運 用する「キャリー取引」が解消された。

三菱東京UFJ銀行の米国コーポレート外為セールス部門のバイスプレジ デント、ロバート・フレム氏は「再びリスク回避の動きになっている。市場が FOMC不信認案を可決した格好だ。市場はFOMCに不十分とのメッセージ を送っている」と述べた。

ニューヨーク時間午後4時24分現在、円は対ドルで前日比1%高の1 ドル=110円62銭と、11月21日以来の大幅な上昇率となった。対ユーロで は1.4%上昇し、1ユーロ=162円21銭。過去1カ月で最大の上昇率を記録 した。

南アフリカ・ランドや豪ドル、ブラジル・レアル、ニュージーランド・ド ルがそれぞれ円に対して2%を超える下げを演じた。

公定歩合

米連邦準備制度理事会(FRB)は公定歩合も0.25ポイント引き下げた。 一部では大幅な引き下げを予想する声もあった。

ドイツ銀行のシニア通貨ストラテジスト、アダム・ボイトン氏(ニューヨ ーク在勤)は「米連邦準備制度の政策が金融市場での資金繰り圧力を沈静化す るのに十分ではなかったとの懸念がある。リスク回避の動きで円が上昇し、高 金利通貨の地合いが崩れた」と語った。

英国銀行協会(BBA)によると、1カ月物ドル建てロンドン銀行間貸出 金利(LIBOR)は5.2%と、1カ月前の4.65%を上回っている。

景気失速

日本の政策金利は0.5%と先進国中では最も低い。ニュージーランドは

8.25%、オーストラリアは6.75%。

11日に公表されたブルームバーグの調査結果によると、エコノミストは米 経済が第4四半期に1%まで急減速するとみている。個人消費が減速し、住宅 不況が続くとの見方が理由。第3四半期の成長率は4.9%だった。

円安の反転

バンク・オブ・アメリカ(BOA)の世界通貨戦略責任者、ロバート・シ ンチェ氏は「先週は円の軟調さが目立ったが、それは終わったようだ」と話し た。

フェデラルファンド(FF)金利先物相場が示す2008年1月30日の FOMCでの金融政策の確率は金利据え置きが15%。4%への利下げ確率が約 60%。3.75%への0.5ポイントの利下げ確率は25%となっている。3月の FOMCについては少なくとも3.75%への利下げ確率が約60%。

○英国債:相場は上昇し、2年債利回りは前日比3ベーシスポイント(bp、1bp =0.01ポイント)低下し4.46%となった。10年債利回りは同2bp下げ4.68%。

ポンド相場は一時、前日比0.3%高の1ポンド=2.0520ドルまで上昇した。 ロンドン時間午後5時14分までに、同2.0381ドルとなっている。前日遅くは

2.0461ドルだった。

○欧州債:相場は上昇。信用コストの上昇で経済成長見通しが不透明となった影 響で、ドイツの景況感指数が予想以上に落ち込んだことが背景にある。

ドイツの欧州経済研究センター(ZEW)が11日発表した12月のドイツ 景況感指数(期待指数)はマイナス37.2と、1993年1月以来の低水準に落ち 込んだ。ブルームバーグ・ニュースがまとめたエコノミスト41人の予想中央値 では、12月はマイナス34.5への低下が見込まれていた。銀行が年末に向けた 資金手当てを進めるなか、3カ月物ユーロ建て金利は7年ぶりの高水準に上昇し た。

カリヨンの債券ストラテジスト、オーランド・グリーン氏(ロンドン在 勤)は、「信用状況に関してはまだ終わりが見えないため、見通しはかなり悪化 したようだ」と指摘。「目先、国債利回りが現行水準から大きく上昇することは ないだろう」との見方を示した。

ドイツ2年債利回りはロンドン時間午後4時7分現在までに、前日比4ベ ーシスポイント(bp、1bp=0.01ポイント)下げて3.89%となった。同国債 (2009年9月償還、表面利率4%)価格は、0.10ポイント上昇し100.17。 10年国債利回りは同4bp下げて4.23%。

--*ニューヨーク・ニューズルーム   (1)(212) 893-3007

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