ソニー・ストリンガー氏:PS3軸にネットワーク構築-来期から(3)

家電世界2位ソニーのハワード・ストリ ンガー最高経営責任者(CEO)兼会長は11日、都内の本社で記者団と懇談 し、来期(2009年3月期)以降の次期中期経営計画に関連して、スーパーコン ピューター並みの処理能力を持つ家庭用ゲーム機「プレイステーション3(P S3)」を軸にデジタル家電をネットワークでつなぎ、同社の映画や音楽とい ったソフト資産を配信して有効活用するなどの戦略を打ち出した。

ストリンガー氏の前任者である出井伸之元会長は2000年代初め、同社の パソコンやゲーム機、テレビ、携帯電話端末などを接続して有機的に連携させ、 顧客の囲い込みにも生かす戦略を提唱。しかし、通信環境の大容量化が実現前 だったこともあり本格化はしなかった。

ストリンガー氏は今回、有線・無線を問わずブロードバンド(高速大容量 通信)が浸透しつつある中、PS3を中心に据えることで「出井構想」を一歩 進めた形。実現には昨年11月の発売から続いてきたPS3の販売不振克服が 不可欠となるが、同氏は歳末商戦に入った米国で、11月第5週には「週間で 20万台売れた」と語り、本格普及の兆しが出ていると強調した。

同氏は6月の定時株主総会で「PS3はソニーの将来に重要であり、成功 させる」と断言。価格の高さと並んで販売のネックとなっていた対応ソフトの 少なさを克服するため、今期中に200タイトル以上を投入すると述べていた。

PS3の9月末の累計卸売台数は559万台で、うち今期分は202万台。通 期計画は1100万台とあくまで強気だ。価格面でのてこ入れとしては、既存機 種を7月以降相次いで値下げ。11月には機能を簡素化した廉価版を発売した。

こうした策もあり、ゲーム誌発行のエンターブレインの統計によると、11 月のPS3国内販売は前月の4倍の18万3000台と、発売以降約1年にわたっ て後じんを拝し続けてきた任天堂の「Wii(ウィー)」(15万9000台)を初 めて上回った。

「真の革新」

ストリンガー氏は次期中計で「Actual Innovation(真 の革新)」を進める、と語った。05年の就任から進めてきた現中計では本業の 収益回復やリストラに注力。今期の売上高営業利益率5%達成を公約に掲げて きた。同利益率は初年度の06年3月期に2.6%だったが、前期はゲーム不振と ノートパソコン向け充電池の回収負担から逆に0.9%にまで落ち込んでいた。

現在の今期会社予想は売上高が前期比8.2%増の8兆9800億円、営業利益 は同6.3倍の4500億円で、利益率予想は5.0%と公約通り。ただ、営業利益見 通しに本社周辺の土地売却益607億円や、東芝への最先端半導体工場の売却益 を加算しており、本業部分だけで中計目標を達成できる形にはなっていない。

一方、家電で世界最大手の松下電器産業は今期からの現中計で、09年度の 売上高を前期比9.8%増の10兆円、営業利益率8%(前期実績5.0%)達成を 掲げる。

ストリンガー氏は、自身が唱えてきた「ソニーユナイテッド」のスローガ ンに沿ってソニーでは事業部門間の縦割りが薄まり、連携が強化されたと説明。 再建路線が一段落したこともあり、真の革新を行う「道具はそろった」が、 「まだ具現化されていない」と語った。

また、PS3以外に期待できる製品としては、11月22日に世界で初めて 発売した超薄型の有機EL(エレクトロ・ルミネッセンス=電界発光)テレビ などを挙げた。

ソニーの株価終値は前日比160円(2.6%)安の6230円。

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