日本株(終了)銀行中心に反発、UBS資本増強を好感-FOMC待ち

東京株式相場は反発。シンガポールと中東 の政府系ファンドによるスイスの銀行大手、UBSへの出資事実が明らかになり、 サブプライム(信用力の低い個人向け)ローン問題を背景にした過度の信用不安 が後退した。三菱UFJフィナンシャル・グループなど銀行株のほか、ソニーや TDK、トヨタ自動車、ホンダなど輸出関連株中心に買いが先行。東証業種別 33指数は、23業種が高い。

大和投資信託投資調査部の長野吉納シニア・ストラテジストは、「投資家が 心配していたことは海外金融機関の損失が拡大して自己資本が減少し、経営が悪 化することだったが、そうした懸念が後退している」と指摘。その上で、「政府 ファンドはもうかる目算があるから出資したわけで、現状の株価水準が投資に値 すると意味していることも、ポジティブ」(同氏)とした。

日経平均株価の終値は、前日比120円33銭(0.8%)高の1万6044円72銭。 TOPIXは同8.51ポイント(0.6%)高の1567.02。東証1部の騰落状況は値 上がり銘柄907、値下がり664。

金融不安は最終局面か

この日の日経平均は反発して取引を開始。開始直後にシカゴ先物市場(CM E)の日経平均先物12月物の10日清算値(1万6030円)を上抜けて弾みを付 けると、一時は150円以上の上昇となった。午後の取引では上値が重くなったが、 1万6000円台を確保して終了。投資家心理に明るさをもたらしたのは、サブプ ライムローン問題で揺らいでいた世界的な金融不安の後退だった。

UBSは10日、米サブプライムローン関連投資で新たに100億ドル(約1 兆1200億円)の評価損を計上する一方、シンガポールと中東の投資家からの出 資を受け入れ、資本増強を実施すると発表。先月には米銀最大の銀行シティグル ープがアブダビ投資庁から出資を受けるなど、海外金融機関による対応策が相次 いでいることから、市場では、「サブプライム関連の金融機関の問題は最終局 面」(ファンドクリエーションの木下晃伸インベストメントアナリスト)との声 が増え始めている。

10日の米国株市場は、S&P500種株価指数に採用される金融株で構成する 株価指数は1カ月ぶりの高値を更新。金融株中心に幅広い銘柄に買いが入り、こ の流れを午前の東京市場も受けた。東証業種別33指数のTOPIXに対する上 昇寄与度では、銀行指数が上位に入った。

新興国恩恵銘柄にも資金向かう

相場が明るさを取り戻す中、これまで売られていた業種にも買いが先行。新 興国需要の鈍化懸念で売られていた三菱商事などの大手商社、コマツなどの機械、 JFEホールディングスなどの鉄鋼株なども上昇。TOPIXの上昇寄与度上位 にはこれらの業種指数も並んだ。丸紅は中東産油国のアラブ首長国連邦・アブダ ビ首長国の皇太子訪日に合わせ、国際協力銀行などと共同で発電プラント建設や 真水を作るプロジェクトで合意すると11日のNHKニュースで伝えられていた。

先物出来高の10万枚割れは25日ぶり

もっとも、市場エネルギーは乏しかった。東証1部の出来高は16億8859万 株と、10月26日以来の低水準。日経平均先物12月物の出来高は7万9088枚と、 11月5日以来、25営業日ぶりに活況目安の10万枚を下回った。米国で11日に 米連邦公開市場委員会(FOMC)の開催を控えており、米連邦準備制度理事会 (FRB)による利下げ幅やFOMC後のコメントを見極めようとする向きが多 かった。

ブルームバーグ・プロフェッショナルでFF金利の先物相場から算出、市場 が織り込むFRBの利下げ度合いをみると、11日時点で4.5%から4.25%に

0.25%引き下げるとの見方が72%と、1週間前の52%から増加。一方、4.5%か ら4.0%に0.5%引き下げるとの見方は28%と、48%から減少している。

6期連続最高益の巴工業がストップ高

個別では、機械製造販売事業で利益率が向上し、今期(08年10月期)連結 営業利益が6期連続で過去最高を更新する見通しとなった巴工業がストップ高。 メリルリンチ日本証券が投資判断を「買い」に引き上げたニプロのほか、12月 末の株主を対象に1株を5株に株式分割したパイロットコーポレーションが大幅 高となった。

このほか、野村証券が投資判断を「買い」に引き上げたダイセル化学工業も 買われ、欧州を中心に需要が伸びている薄膜型太陽電池について、中期的に生産 能力を増強する方針を固めたカネカが5連騰。

また、牛乳を2008年春に値上げする方針を固めたと11日付の日経新聞朝刊 で伝えられた明治乳業と森永乳業がともに5日続伸。半面、貸倒引当金の計上に より、今期(07年12月期)の赤字幅が拡大する見通しとなったGMOインター ネットが大幅続落となった。

新興3市場はまちまち

国内新興3市場は、高安まちまち。ジャスダック指数は前日比0.2%安の

74.45、東証マザーズ指数は同0.4%高の877.81、大証ヘラクレス指数は同

0.2%安の1303.68。いずれの株価指数も前日終値を挟んで方向感に乏しい展開 となった。

ジャスダック市場では、高精細テレビ向け高付加価値製品の出荷増で通期 (07年12月期)業績予想を上方修正したザインエレクトロニクスが大幅反発。 マザーズ市場では、NTTドコモなどと携帯端末向けソフトウエアのパッケージ ソフト開発の検討開始で合意したACCESSのほか、滞納家賃保証事業とアセ ットマネジメント事業のシナジー効果を評価してJPモルガン証券が投資判断を 新規に「オーバーウエート」としたリプラスも買われた。ヘラクレス市場では、 NTTドコモと相互接続認定書を締結した日本通信がストップ高。

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