エーザイ株は反落、米MGI買収に疑問の声-リード役代替には力不足

医薬品国内4位、エーザイの株価が反落。 がん治療薬の拡充や研究推進を図り、米製薬企業のMGIファーマを39億ドル (約4350億円)で買収すると10日に発表した。しかし、エーザイの足元の成 長をけん引する認知症治療薬「アリセプト」の特許満了後の成長を確実にする 買収案件とは言えない、との見方が台頭。みずほ証券による投資判断引き下げ もあって、売りが優勢となっている。

この日は前日比40円(0.8%)安の4800円で取引を開始。午前9時3分に はこの日の安値となる1.7%安の4760円を付けた後、午後は安値圏でのもみ合 いとなっている。午後1時23分現在の売買高103万株で、12月に入ってからの 1日当たり平均(117万株)に対して88%の水準となっている。

マネックス証券資本市場部の山岸匠次長は、「個人的には高い買い物では ないと思うが、投資家の間でアリセプトの穴を埋めるには力不足と捉えられた ようだ」と指摘、MGIファーマの現状の売り上げからすると、額に見合った 買収案件とはみられていない可能性を示唆した。

MGIファーマは1979年設立の米ナスダック市場上場企業。06年度の業績 は売上高が3億4280万ドル(約382億円)で営業損益が3120万ドル(約34億 円)の赤字。エーザイはMGIファーマの買収に際し、手元資金3億ドルとブ リッジローン(つなぎ融資)36億ドルを充てる予定で、今後、長期借入金や普 通社債(SB)の発行などを検討していく方針。現時点ではのれん代は不明。

同買収発表を受けて、日興シティグループ証券がエーザイ株の投資判断「売 り」、目標株価4500円を継続したほか、みずほ証券が「買い」から「中立」に 1段階格下げた。みずほ証の田中洋シニアアナリストは、格下げの理由を「M GIのトップ製品がここ数年来マイナスとなっており、MGI側が出した年率 35%超の売り上げ成長が出来るとの目標を現時点で信じることができない。現 時点の情報では良く分からない」と説明している。

がん領域を深耕へ

ただ、買収を評価する向きも多い。UBS証券の志村裕久シニアアナリス トは10日付の投資家向けリポートで、がん領域について「がん治療薬市場は300 億ドル超で最大、かつ15%の高成長が見込める魅力的な分野」と解説。その上 で、今回のエーザイの決断を「経験豊富ながん治療薬販売員や法務部門を取得 する点は注目に値する」と評価した。同証券のエーザイ株の目標株価は7550円 で、投資判断は「BUY(買い)」。

エーザイの内藤晴夫社長は10日夜の記者会見で、「MGIファーマの買収 でオンコロジー(がん)ビジネスへの進出を確たるものとし、2012年以降の持 続的成長が視野に入る」と強調。MGIが今後5年間は年率35%以上の売り上 げ成長を継続できるとみて、「中期経営計画で掲げた2011年度の米国売上高4400 億円、全世界で1兆円の達成が可能になった」(同社長)と述べた。

エーザイはこれまでにもがん領域の深耕を図り、06年に米ライガンド社か ら抗がん剤4品の製品買収を行ったほか、07年5月には3億2500万ドル(380 億円強)で米モルフォテック社を買収。完全ヒトモノクローナル抗体を産出で きる技術の取得により、研究基盤の増強が図れるとしていた。

--共同取材・松山 かの子  Editor:Makiko Asai 、Shintaro Inkyo

参考画面: 記事に関する記者への問い合わせ先: 東京 鷺池 秀樹 Hideki Sagiike +81-3-3201-8293 hsagiike@bloomberg.net 記事に関するエディターへの問い合わせ先: 東京 大久保 義人 Yoshito Okubo +81-3-3201-3651 yokubo1@bloomberg.net 東京 Nicolas Johnson +81-3-3201-8343 nicojohnson@bloomberg.net

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE