UBS:サブプライムで100億ドルの評価損-資本増強実施へ(4)

資産規模で欧州最大の銀行、スイスのUB Sは10日、米サブプライムローン(信用力の低い個人向け住宅融資)関連投資 で100億ドル(約1兆1200億円)の評価損を計上し、シンガポールと中東の 投資家からの出資を受け入れて資本を増強すると発表した。

マルセル・オスペル会長が10日、記者団との電話会議で述べたところによ ると、同行は転換社債130億スイス・フラン(約1兆2900億円)をシンガポー ル政府投資公社(GIC)と中東の投資家向けに発行する。中東の投資家は1 社・団体もしくは1人で、具体的な名称は公表されていない。GICは110億 スイス・フランを投じUBS株9%を取得し、中東の投資家は20億スイス・フ ランを出資する。

評価損をめぐる不透明感が払しょくされたことで、UBS株は10日、1.4% 高で終了した。同行は10年前に合併により誕生して以来で初の通期赤字に転落 する可能性がある。UBSは米銀シティグループに倣い、外部の戦略的投資家 からの出資受け入れで資本を増強することを決めた。

スイスカント・アセット・マネジメント(チューリヒ)でUBS株を含め 500億ドル相当の運用に携わるディーター・ウィネット氏は、「非常に悪いニュ ースを良いニュースと組み合わせて発表するUBSはかなり賢明だ。資本増強 がしっかりとなされることはプラス材料で、これがプライベートバンキングと 資産事業における信頼回復の一助となるだろう」と述べた。

UBS株は10日、0.80スイス・フラン高の58フランで終了した。UB Sのニュースを好感し、欧州の銀行株も上昇した。UBS株は年初来22%下落 し、時価総額は230億スイス・フラン余り縮小している。

米銀最大の銀行シティグループは先月、資本増強のため戦略的投資家から の出資を受け入れると発表。アラブ首長国連邦(UAE)を構成するアブダビ 首長国の政府系ファンド、アブダビ投資庁から75億ドルの資金を得た。

配当

UBSはまた、消却を予定していた自己株3640万株を売却し、約20億ス イス・フランを調達する計画。07年分の現金配当を株式による配当に切り替え る。これにより資本が44億スイス・フラン膨らむという。社債発行と配当の変 更は来年2月半ばの臨時株主総会での承認が必要となる。

同行はこれらの措置によって合計で194億ドルを調達する計画で、これに より自己資本の基本的項目(Tier 1)は12%余りと、9月30日時点の10.6% から増加するという。

格付け会社フィッチ・レーティングスは、UBSの長期発行体格付けを1 段階引き下げ「AA」とした。従来は「AA+」。フィッチは、増資計画によっ て「より大幅な」格下げが回避されたとしている。見通しは「ネガティブ(弱 含み)」に据え置いた。スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)とムーディ ーズ・インベスターズ・サービスは現在の格付けを据え置いた。

UBSは2007年7-9月(第3四半期)に46億6000万ドルの評価損を 計上し、約5年で初の赤字に転落していた。オスペル会長は、戦略的投資家は 富裕層向けなどの資産運用事業と投資銀行事業を組み合わせたUBSのビジネ スモデルに信頼を表明したと述べた。これらの投資家を取締役会に迎える可能 性を排除しないとしている。また、これらの投資家は既に、UBSの自己株購 入に関心を表明したという。

マルセル・ローナー最高経営責任者(CEO)とマルコ・スーター最高財 務責任者(CFO)、ジョゼフ・スコビー最高リスク責任者(CRO)は11日 にロンドンで投資家向け説明を行う。

ローナーCEOは、UBSのサブプライム評価損に関する過去数四半期の 憶測は「集中を妨げる」要因となっていたとした上で、信用市場は11月に底 を打った可能性があるが、同月に信用商品の価値は「極度に悪い」水準まで低 下したと述べた。

過去1カ月間に示されたアナリスト5人による予想の平均値では、UBS は10-12月期に約26億スイス・フランの評価損を計上すると見込まれていた。

マシュー・クラーク氏らキーフ・ブリュイエット・アンド・ウッズのアナ リストは、今回のUBSの動きは「サブプライム問題と他の事業の間に一線を 画し、同行のウエルスマネジメント事業への信頼が揺らぐのを防ぐことを目指 したものだろう」と話した。

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