12月10日の海外株式・債券・為替市場(3)

(米国株を更新します)

○米国株:上昇。銀行株や住宅建設株が買いを集めた。中東とシンガポールの投 資家がスイスの銀行大手UBSに115億ドルを出資することに合意したほか、午 前に発表された10月の米中古住宅販売成約指数 が予想外に前月比で上昇したこ とが材料視された。

S&P500種株価指数に採用される金融株で構成する株価指数は1カ月ぶ りの高値を記録。米銀のJPモルガン・チェースやシティグループ、金融保証 会社MBIAが上げを主導した。中古住宅販売成約指数を手掛かりに住宅建設 のD.R.ホートンが上昇。エネルギー株や鉱山株は連邦公開市場委員会(F OMC)が11日の会合で利下げを決定し、景気拡大の弾みがつくとの観測か ら値上がりした。

S&P500種株価指数は前週末比11.3ポイント(0.8%)高の1515.96 となった。ダウ工業株30種平均は101.45ドル(0.7%)高の13727.03ドル。 ナスダック総合指数は12.79ポイント(0.5%)上昇し2718.95で終了した。

資産運用規模840億ドルのアメリカン・センチュリー・インベストメンツ でポートフォリオマネジャーを務めるジェラルド・サリバン氏は、「金融企業 を立て直すために今回、資本が注ぎ込まれたことは非常に重要だ。こうした出 資は確実な自信がない限り起こらない」と語った。

投資家の間では11日のFOMCで金利が引き下げられるとの観測が強い。 金利先物市場動向によると、11日にフェデラルファンド(FF)金利誘導目標 が0.25ポイント引き下げられる確率は72%。0.5ポイント引き下げられる確 率は28%となっている。

JPモルガンやUBSなど金融株

米金融紙バロンズは、JPモルガンのジェイミー・ダイモン最高経営責任 者(CEO)との取材を引用し、同行はノンバンキング業務からの収入に頼れ るため、世界的な信用市場の混乱を乗り切る上で有利な状況にあると伝えた。 これを受けてJPモルガンの株価は上昇した。

このほかシティグループやバンク・オブ・アメリカも高い。今年に入りS &P500種の金融株価指数は14%安と、10指数のなかで値下がり率が最も高い。

UBSは米サブプライムローン(信用力の低い個人向け住宅融資)関連投 資で100億ドル(約1兆1200億円)の評価損を計上し、資本増強を発表、株 価は上昇した。

MBIAも上昇。同社は信用格付け「AAA」の引き下げ回避を狙い、プ ライベート・エクイティ(PE、未公開株)投資会社のウォーバーグ・ピンカ スを引受先とする第三者割当増資で最大10億ドルを調達することを明らかに した。

住宅建設業者

S&P500種株価指数に採用される住宅建設業者で構成する株価指数は

3.3%上昇。全米不動産業者協会(NAR)が発表した10月の中古住宅販売成 約指数は前月比0.6%上昇した。9月は1.4%上昇と、速報の0.2%上昇から上 方修正された。D.R.ホートンやスタンダード・パシフィックが高い。

エネルギー企業では石油大手のエクソンモービルやシェブロンが買いを集 めた。また鉄鋼最大手のUSスチールや遺伝子組み換え(GM)穀物開発最大 手のモンサントも上昇した。

ファストフードのマクドナルドも上昇。同社の11月の既存店売上高は

8.2%増加した。欧州とアジアで朝食メニューやチキンサンドイッチの販売が 伸び、売上高がアナリスト予想を上回った。

強気な見通し

リーマン・ブラザーズ・ホールディングスやバンク・オブ・アメリカ(B OA)のエクイティストラテジストらが2008年の米株式相場は上昇すると予 想したことも好材料となった。

リーマンのグローバルエクイティ戦略のマネジングディレクター、イア ン・スコット氏は2008年の株式相場はこの日から7.5%上昇すると見込んでい る。またBOAのチーフ投資ストラテジストのトーマス・マクマナス氏による と来年末のS&P500種株価指数は1625に達するものの、その前に約1425ま で下落する可能性がある。同氏は投資家に対してこの水準まで下落するのを待 って買いを入れるよう助言している。

○米国債:相場は下落。米金融保証会社のMBIAが10億ドル(約11 17億円)の第三者割当増資を実施すると明らかにしたことから、金融 保証各社の信用格付け引き下げが回避されるとの見方が強まり、安全な 投資先としての米国債の需要が弱まった。

住宅市場の低迷がリセッション(景気後退)につながることを防ぐ ため、11日の米連邦公開市場委員会(FOMC)では少なくとも0.25 ポイントの利下げが実施されるとの見方が引き続き広がっている。

MBIAは10日、プライベート・エクイティ(PE、未公開株)投 資会社のウォーバーグ・ピンカスを引受先とする10億ドルの第三者 割当増資を実施すると明らかにした。一方、資産規模で欧州最大の銀行、 スイスのUBSはこの日、シンガポールと中東の投資家からの出資を受 け入れ、資本を増強すると発表した。

サントラスト・バンクの個人資産運用部門ストラテジスト、アンデ ィ・リッチマン氏は「こうした金融機関への資本投入に積極的な市場関 係者がいる」と指摘。さらに、「これは価値を見出している市場関係者 がいることを意味する」と述べた。

キャンター・フィッツジェラルドによると、ニューヨーク時間午後 3時46分現在、10年債利回りは前週末比4ベーシスポイント(bp、1 bp=0.01ポイント)上昇して4.15%で推移している。10年債(表面利 率4.25%、2017年11月償還)の価格は10/32下落して100 27/32。

シカゴ商品取引所(CBOT)のフェデラルファンド(FF)金利 先物市場の動向によると、FOMCが11日に0.25ポイントの利下げを 実施する確率は74%とみられている。0.5ポイント利下げの確率は26%。 さらに、来年1月30日と3月18日のFOMCで利下げが実施される確 率は50%以上とみられている。

株価上昇

UBSの資本増強発表を受け、銀行株主導で米株価指数が上昇した。

米サブプライム(信用力の低い個人向け)住宅ローン市場の混乱で 証券会社や銀行の今年の損失や評価損は約760億ドルに達している。

UBSのマルセル・オスペル会長は10日の電話会議で、同社が転換 社債130億スイス・フラン(約1兆2800億円)をシンガポール政府投資 公社(GIC)と中東の投資家向けに発行すると明らかにした。UBSは また、米サブプライムローン関連投資で100億ドル(約1兆1200億円) の評価損を計上すると発表した。

MBIA

MBIAは5億ドル相当の新株をウォーバーグに売却する。ウォー バーグは来年に最大5億ドルの引き受けも申し入れており、議決権を高 める意向だ。ムーディーズのほか、フィッチ・レーティングスとスタン ダード・アンド・プアーズ(S&P)がMBIAの最高格付けを見直し ているが、今回の資本増強により格下げを回避できる可能性がある。

2年債相場は一時、下落分を縮小。バンク・オブ・アメリカ(BO A)が10日、ファンドを先週、凍結したと明らかにしたことが背景だっ た。

2年債利回りは前週末比4bp上昇し3.14%。同利回りは10年債 利回りを1.01ポイント下回った。

○NY外為:円が対ユーロ、対ドルで下落。米連邦公開市場委員会(FOMC) が11日に実施するとみられる利下げにより、低金利の日本で資金を調達し、高 利回り通貨で運用する「キャリー取引」が活発化するとの思惑から円売りが優勢 になった。

FOMCの利下げが世界の経済成長を下支えるとの見方からオーストラリ アと南アフリカの通貨が上昇した。フェデラルファンド(FF)金利先物相場 はFOMCが住宅不況によるリセッション(景気後退)を回避するため、 政策金利を4.25%に引き下げることを完全に織り込んでいる。

オンライン外為取引会社ゲイン・キャピタル傘下のフォレックス・ドッ ト・コムのチーフ通貨ストラテジスト、ブライアン・ドラン氏は「FOMCの 時宜を得た政策により、米景気は失速を免れるとの期待があり、それは金融市 場にも投資家心理にも良いことだ。高利回り通貨が円に対して一段高になる可 能性が高い」と述べた。

ニューヨーク時間午後3時22分現在、円はユーロに対して1ユーロ= 164円24銭に下落。一時は11月9日以来の安値を付けた。前週末は163円 73銭だった。対ドルでは1ドル=111円66銭と前週末からほぼ変わらず。一 時は111円89銭と、11月9日以来の低水準を付けた。ユーロは対ドルで1 ユーロ=1.4711ドルと、前週末の1.4658ドルから上昇した。

米国株も上昇し、高リターンの期待できる資産への買い意欲が高まってき たことを裏付けた。金融保証会社MBIAがプライベート・エクイティ(PE、 未公開株)投資会社のウォーバーグ・ピンカスに対して10億ドル(約1117 億円)の第三者割当増資を実施することを明らかにしたため、信用市場の損失 に対する懸念が後退。S&P500種株価指数は0.7%上昇した。

ユーロとインフレ

欧州中央銀行(ECB)政策委員会のメンバーがインフレを懸念している と言明したことから、ユーロ圏の利上げ観測が強まり、ユーロが対ドルと対円 で上昇した。

シュタルクECB理事はユーロ圏のインフレ率が2009年にECBの目安 以下に低下するという同行スタッフの予想について、ECB政策委員会が同意 しているわけではないと述べた。政策委員会メンバー、フィンランド中央銀行 のリッカネン総裁は「中期的に物価安定に対する上振れリスク」があると指摘 した。

MFグローバル・リサーチのシニア通貨アナリスト、マイケル・マルピー ド氏は「インフレを警戒するタカ派的なコメントがECB高官から出たため、 ユーロが上昇している」と述べた。

ECBの政策金利

EURIBOR(欧州銀行間出し手金利)先物3月限は前週末比5ベーシ スポイント(bp、1bp=0.01ポイント)上昇の4.57%。ECBの政策金利 は4%。

シカゴ商品取引所(CBOT)でFF金利先物相場が示す0.5ポイントの 大幅利下げの確率は26%。4.25%までの小幅利下げの確率は74%となってい る。1週間前はそれぞれ40%と60%だった。ブルームバーグが124人のエコ ノミストを対象に実施した調査によると、予想中央値は4.25%への利下げ。

主要6通貨に対するドル指数は0.3%安の76.062。11月23日には

74.48と、1973年の指数導入以来の最低水準を付けた。年初からは9%下げ ている。

○英国債:相場は下落した。11月の英生産者物価指数(PPI)で出荷価格が 1991年以来の高い伸びとなったことを受けて、インフレ圧力が高まったことが 背景にある。

英政府統計局(ONS)が10日発表したところによれば、11月の出荷価格 (季節調整前)は前年同月比4.5%上昇した。

10年債利回りは前週末比5ベーシスポイント(bp、1bp=0.01ポイント) 上昇し4.70%となった。同国債(2016年9月償還、表面利率4%)価格は0.46 ポイント下げ95.03。英2年債利回りは1bp上げ4.49%。

○欧州債:相場は下落。欧州中央銀行(ECB)の政策委員会メンバーによるイ ンフレに関する発言に加え、株式相場の上昇を背景に国債需要が減退した。

ECBの政策委員会メンバー、フィンランド中央銀行のリッカネン総裁は 10日、「中期的に物価安定に対する上振れリスク」があると指摘した。ECB のシュタルク理事は、同行はインフレ抑制のために「行動する準備がある」と語 った。シンガポールと中東の投資家がUBSから115億5000万ドル相当の転換 社債を購入することで合意したことを背景に、株式相場は上昇した。

ABNアムロ・ホールディングの債券ストラテジスト、ジェイソン・シンプ ソン 氏(ロンドン在勤)は、「金融市場での悪いニュースにもかかわらず株式相 場が上昇したのに加え、ECB当局者はインフレ懸念を明確にした」と語った。

ドイツ10年国債利回りはロンドン時間午後5時34分現在までに、前週末比 7ベーシスポイント(bp、1bp=0.01ポイント)上げて4.26%となった。2 年国債の利回りは同2bp上げて3.92%。一時は3.86%まで低下した。

10年債の2年債利回りに対する上乗せ幅は33bpと、ここ1週間で最大とな った。前週末時点では29bpだった。

--*ニューヨーク・ニューズルーム   (1)(212) 893-3007

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