米FRB議長:積極利下げにもリスク、信用収縮も脅威-11日FOMC

バーナンキ米連邦準備制度理事会(FRB) 議長は、米経済のリセッション(景気後退)入りを回避するために格言の「フ ール・イン・ザ・シャワー」を演じざるを得ないかもしれない。

金融市場の混乱再燃は一段の金融緩和を議長に迫り、フェデラルファンド (FF)金利先物のトレーダーらは11日の利下げを確実視している。FF金利 の誘導目標が2008年4月までに3.75%以下に下がるとの予想も5割を超えた。

ライル・グラムリー元FRB理事は「米金融当局は救援に駆けつけ必要な 限り利下げすると言って、市場を安心させなければならなくなった」と話す。

そのような戦略のリスクは、ノーベル賞受賞者の故ミルトン・フリードマ ン氏が名付けた「フール・イン・ザ・シャワー」になってしまうことだ。フー ル・イン・ザ・シャワーは、シャワーが冷たいといってお湯を全開にしてやけ どをする。金融政策で言えば、景気減速に対応しようと積極的に利下げした結 果、インフレ加速や資産バブルを生んでしまうことだ。

バーナンキ議長は11月29日の講演で、市場の動揺で与信環境が引き締ま った結果、成長が減速する可能性に言及し、11日の利下げへの道を開いた。

ライトソンICAPのチーフエコノミスト、ルイス・クランドール氏は「25 ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)の利下げプラスアルファの可能性 はかなりある」と話す。同氏は当局が現行4.5%のFF金利誘導目標を0.25ポ イント引き下げると同時に、公定歩合(現行5%)を0.5ポイント引き下げる と予想している。FF金利と公定歩合の格差を縮小させれば、銀行は連銀窓口 貸し出しを利用しやすくなり、短期金融市場の緊張緩和につながる。

市場の信頼

また、ローレンス・マイヤー元FRB理事は、FOMCは声明でさらなる 行動の用意があることを示す必要があるとみる。同氏は「そうしなければ、市 場の信頼が揺らぐだろう」として、当局は「手遅れになるまで金融緩和をしな いというメッセージを送ることは望まないだろう」と話した。

年末を控えて銀行が資金を抱え込み、短期市場金利はここ1カ月で急上昇 した。住宅ローン関連証券のデフォルト(債務不履行)リスクも市場金利を押 し上げた。3カ月物ドルLIBOR(ロンドン銀行間貸出金利)は7日、5.14% と11月7日の4.9%から上昇していた。

信用収縮は2重の意味で景気を脅かす。短期的には、大手金融機関が年末 に向けて資金繰り難に陥るリスクがある。クランドール氏は「金融事故のリス クは3カ月前に比べ大幅に高まっている」として、「金融機関の多くは今回の混 乱に対応する策が底をつきつつある」と話した。

相手方リスクを懸念する銀行は安全資産に逃避し、2年物米国債利回りは 7日、3.1%(1カ月前は3.5%)で週を終えた。

与信縮小

モルガン・スタンレーの米国担当チーフエコノミスト、リチャード・バー ナー氏によれば、長期的なリスクは与信縮小が借り入れを困難にし、成長を抑 制することだ。デューク大学とCFOマガジンが11月に実施した調査では、573 人の最高財務責任者(CFO)のほぼ3分の1が信用収縮により打撃を受けた と回答した。そのうち半数は融資獲得が困難になったと述べ、ほぼ同数が資金 コスト急上昇を指摘した。

米連邦公開市場委員会(FOMC)は9月以来、0.75ポイントの利下げを 実施している。グリーンスパン前FRB議長は2001年1-3月(第1四半期) に1.5ポイント利下げした。

JPモルガン・チェースのエコノミスト、マイケル・フェロリ氏は、米金 融当局は「伝統的なやり過ぎに陥らない道を模索している」と話す。やり過ぎ はフリードマン氏の「フール・イン・ザ・シャワー」が犯す過ちだ。フリード マン氏は1960年に、金融政策の効果には「長く一定しない遅延」があるため、 政策の結果を予測することは困難だと指摘した。

環境

環境もグリーンスパン時代とは異なる。前議長が著書で指摘したグローバ ル化によるインフレ低下圧力や生産性の高い伸びにはもう頼れない。グラムリ ー氏は「0.5ポイント利下げの可能性がないわけではないと思う」が、当局は 「0.25ポイントと今後の選択肢に含みを持たせた声明で妥協する」のではない かと話している。

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