東京外為:ドル・円がもみ合い、米雇用統計で波乱警戒―ユーロ堅調

午前の東京外国為替市場では、ドル・円相 場が3週間ぶりのドル高・円安値圏でもみ合った。米政府によるサブプライム (信用力の低い個人向け)住宅ローンの借り手救済策を受け、内外の株式相場 が堅調に推移する中、ドル買い・円売り圧力がかかりやすい一方、海外時間に 米雇用統計の発表を控え、積極的な売買を見送る向きが多く、午前の値幅は30 銭未満にとどまった。

バンク・オブ・アメリカグローバル為替・金利・商品戦略部の藤井知子日 本チーフエコノミスト兼ストラテジストは、米雇用統計について、強めの数字 が出れば、株が買われて、米金利先安観の後退からドル買いにつながる可能性 があると指摘。ただ、「株価の上昇でキャリートレード(低金利の通貨で資金 を調達して高金利通貨で運用する取引)持ち直しとなれば、相手先通貨によっ てはドルの動きも変わってくる」といい、雇用統計の結果次第ではかなりの波 乱も予想されると話す。

一方、ユーロ圏の金利先高期待を背景にユーロは堅調地合いが続き、対円 では1週間ぶりの高値を付ける場面も見られた。

米雇用統計で波乱を警戒

ブルームバーグ・ニュースがまとめたエコノミスト調査によれば、この日 発表される11月の米雇用統計では、非農業部門の雇用者数が前月比8万人増と、 伸びが前月の16万6000人増の約半分にとどまると見通しとなっている。

ただ、給与明細書作成代行会社のオートマティック・データ・プロセッシ ング(ADP)エンプロイヤー・サービシズが今週発表した11月の米民間部門 の雇用者数は18万9000人増と事前予想の5万人増を大きく上回っており、雇 用統計に対する市場の期待値は上がっている。

藤井氏は、雇用統計がADP並みに良い数字となった場合、現在、複数回 の米利下げを予想している市場の見方が修正される可能性があると指摘。その 上で、「ユーロ圏と米国は政策金利がかなり接近しているので、ユーロ・ドル についてはストレートに相対的な景気・金利見通しで反応が出ると思うが、株 価の反応次第ではキャリートレードがテーマとなり、ドル全体としては動きが 少し分かりにくくなる可能性がある」とみている。

ドルの信認回復は道半ば

一方、ブッシュ大統領は6日、住宅差し押さえの急増に歯止めを掛けるた め、サブプライム住宅ローンを対象に金利を一定期間凍結する計画を発表した。

これを受け、6日の米株相場は続伸。外国為替市場ではドル買い・円売り が進み、ドル・円は一時、1ドル=111円46銭と11月15日以来の水準までド ル高・円安が進行。7日の東京市場でも再び同水準に並ぶ場面も見られている。

もっとも、「111円台の半ばよりもドル高水準では、国内輸出企業の売りが 観測されている」(新光証券・鈴木健吾為替ストラテジスト)ため、さらなる ドル高・円安には歯止めが掛かっている。

三菱UFJ信託銀行資金為替部の清水昭男グループマネージャーは、「目 先はサブプライム問題に対する支援策、季節的にドル需要が大きいこと、これ までのドルのショート・ポジション(売り持ち高)を解消する動きで、ドルは 底堅く推移する」と予想。ただ、依然として米景気の先行きには不透明感があ り、ドルの全面的な信認回復にはまだ至っていないといい、一方的なドル上昇 ということにはならないとみている。

また、ユーロ・円は、中央銀行(ECB)のトリシェ総裁のタカ派的な発 言を受けてユーロ買いが強まったこともあり、海外時間に1ユーロ=163円台ま でユーロ高・円安が進行。東京市場午前の取引では163円28銭と11月30日以 来のユーロ高値を付けている。

金利先高観でユーロ堅調

ECBのトリシェ総裁は6日、定例政策委員会後の記者会見で、「短期的 にインフレ率の強い上振れ圧力」が存在すると表明、「物価安定に対する上振 れリスクに立ち向かう用意がある」と述べた。ECBはこの日、政策金利を4% に据え置くことを決めたが、トリシェ総裁は一部の政策委員会メンバーが利上 げを支持したとことを明らかにした。

一方、イングランド銀行(BOE)は同日、金融政策委員会(MPC)で、 政策金利のレポ金利を0.25ポイント引き下げ、5.5%にすることを決めた。利 下げは2年ぶり。4日はカナダ銀行(中央銀行)が予想外の利下げを実施して いる。

三菱UFJ信託銀の清水氏は、BOEが利下げに踏み切ったこともあり、 「ECBに対しても景気のダウンサイドに配慮してくるかという期待があった が、従来通りインフレに強い警戒を示したことで、引き続きECBは利上げ方 向で政策模索していると受け止められている」と解説する。

トリシェ総裁の会見後、ユーロは対ドルで1ユーロ=1.45ドル台前半から 1ユーロ=1.46ドル台半ばまで反発。東京市場午前には一時、1.4660ドルまで ユーロ買いが進む場面も見られている。

シカゴ商品取引所(CBOT)のフェデラルファンド(FF)金利先物市 場の動向によると、11日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で0.5ポイント の利下げが実施される確率は36%、0.25ポイントの利下げ確率は64%となって いる。

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE