日経平均が16000円回復、米対策評価で輸出や市況関連など高い(2)

午前の東京株式相場は続伸し、日経平均株 価が1カ月ぶりに1万6000円を回復した。米国のサブプライム(信用力の低 い個人向け)住宅ローン問題に対する政策によって米国・世界景気に対する過 度の懸念が後退し、ソニーなどの輸出関連株を中心に幅広く買われた。原油価 格反発も追い風となった大手商社に加え、鉄鋼、海運など世界景気に敏感な市 況関連業種の上げも目立った。

ソシエテジェネラルアセットマネジメントの白石茂治顧問は、「米国では 米サブプライム問題で予想された政府サイドの政策がそろいつつある」と指摘。 日本は不動産のバブル処理に10-15年かかったが、「官民上げての政策スピ ードが違う米国は、日本のようにはならないだろう」と評価した。

午前終値の日経平均株価は前日比147円4銭(1%)高の1万6021円12 銭、TOPIXは18.21ポイント(1.2%)高の1570.48。東証1部の売買高は 概算で9億6108万株。値上がり銘柄数は1259、値下がり銘柄数は345。

東証業種別33指数の騰落状況は、証券・商品先物取引と水産・農林を除 く31業種が高い。上昇寄与度の大きいのは、輸送用機器、卸売、電気機器、 不動産、機械、化学、鉄鋼など。

ローン金利凍結に安心、日本株の割安修正へ

米サブプライム住宅ローン問題に対する政策評価が、日経平均を1カ月ぶ りの節目まで押し上げた。ブッシュ米大統領は6日、サブプライム住宅ローン を対象に、金利を一定期間凍結する計画を発表。2010年7月までに変動金利 (ARM)型住宅ローンの金利リセット(改定)を迎える借り手を対象として、 規制当局はローン業者との交渉で一部のローン金利を5年間凍結することで合 意した。今回の対策により、債務者の金利負担の急上昇が回避される見通し。

大和証券SMBCエクイティ・マーケティング部の高橋和宏部長は、「政 府がドラスチックな救済策に取り組んできており、バーナンキFRB(米連邦 準備制度理事会)議長も評価した」と解説。その上で、来週のFOMC(米連 邦公開市場委員会)では、「利下げ幅が0.25%にとどまらないとの期待も出て いる」(同氏)いう。

また、野村証券金融経済研究所の木内登英チーフエコノミストは、「事前 予想を上回る内容。今回のスキームは、サブプライムローン問題に対してかな りの有効策になる可能性が考えられる」と話し、さらに明示的に国費が投入さ れるスキームで補強されていけば、心理面からも金融市場の安定に大きく貢献 することが期待されるとした。

ソシエテの白石氏によると、金融機関のサブプライム関連の実現損は700 -800億ドル。IMF(国際通貨基金)の最大2000億ドルから考えてまだ3分 の1程度しか表面化していないとした上で、四半期決算ベースではあと2回の 損失懸念が高まりやすい状況が想定されるものの、「株価という面では、大き なヤマ場を越えつつある」(同氏)という。

11月末のPCFR(株価キャッシュフロー倍率)はMSCIベースの世界 平均が10.8倍なのに対し、日本は9倍まで低下したとする白石氏は、「来年 前半の日本株は割安感が修正されるだろう」と予測していた。

不動産株が値上がり首位

業種別では不動産が午前の東証1部業種別上昇率トップとなった。米国政 府によるサブプライム住宅ローン問題対策により、世界景気への先行き懸念が 後退。日本国内のオフィス賃貸事業の好調などを改めて評価する動きが強まっ た。三井不動産と三菱地所、住友不動産はそろって続伸。東証REIT指数も 前日比0.9%高となった。

買い一巡後は伸び悩みも

もっとも、買い一巡後に伸び悩み傾向も確認された。取引開始前に発表さ れた7-9月期の日本の実質GDP(国内総生産)改定値は、前期比では

0.4%増(1次速報は前期比0.6%増)となった。個人消費は前期比0.3%増と 横ばいで、民間設備投資は同1.1%増と1次速報の1.7%増から下方修正され た。大和SMBCの高橋氏は、「法人企業統計を受けて増額が期待されていた 設備投資が、逆に下方修正されたことはネガティブ」とし、国内では相場に対 するプラス材料がないことが一段と上値を追う動きが限定される背景とした。

日経平均は11月7日と8日の間の窓(チャート上の空白)である1万 6081円水準を前にして、前日比187円高の1万6061円で足踏みとなった。米 国時間7日には雇用統計、来週にはFOMCや日本銀行の企業短期経済観測調 査と重要日程も目白押しとなっている。

システムPが急伸、リコーは安い

個別では、08年10月期連結営業利益予想が前期比27%増と過去最高を更 新するシステムプロが値幅制限いっぱいのストップ高。11月の売上高が前年同 月比で2カ月連続増となったセシール、筆頭株主であるオリックスと共同で、 台湾のマンション分譲事業に参入すると7日付の日本経済新聞が報じた大京も それぞれ急伸した。サウジアラビアでの石油化学合弁事業で、2012年にも新プ ラントを建設すると7日付の日本経済新聞が報じた住友化学は続伸。

半面、ゴールドマン・サックス証券が格下げしたリコーが3日ぶり反落。 売買代金上位ではみずほフィナンシャルグループ、三井住友フィナンシャルグ ループ、野村ホールディングスなどが軟調。

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