12月5日の海外株式・債券・為替市場(2)

(米国市場を更新します)

○米国株:反発。労働生産性の上昇と、雇用に関する民間調査で米経 済のリセッション(景気後退)回避が示唆されたことが好感され買 いが膨らみ、ここ1週間で最大の上げとなった。

ソフトウエア最大手のマイクロソフトや同業のオラクル、半導 体最大手のインテルを中心にテクノロジー株が堅調。コンピューターや ソフトウエア需要の拡大を指摘するアナリストのリポートが好感された。

住宅抵当金融投資大手のフレディマック(連邦住宅貸付抵当公社) が上昇。財務省がサブプライム(信用力の低い個人向け)住宅ローンの デフォルト抑制のため金利の固定で貸し出し機関との合意に近づいてい るとの見方が背景。保険最大手のアメリカン・インターナショナル・グ ループ(AIG)は5日、同社の米住宅市場に関連した投資が「管理可 能だ」との見方を示し、急伸した。

S&P500種株価指数終値は前日比22.22ポイント(1.5%)高の

1485.01と、過去1カ月間で最高値を付けた。ダウ工業株30種平均は

196.23ドル(1.5%)高の13444.96ドル。ナスダック総合指数は46.53 ポイント(1.8%)上昇し2666.36で終了した。ニューヨーク証券取引所 (NYSE)の騰落比率は4対1となった。

キー・プライベート・バンク(クリーブランド)の戦略責任者、ブ ルース・マッケイン氏は「良好な指標が公表されるごとに、問題の解決 ならびにリセッション回避のための時間稼ぎになる」と述べた。

テクノロジー株が堅調

米労働省が5日に発表した第3四半期の非農業部門の労働生産性指 数は前期比年率6.3%上昇と、速報値の4.9%上昇から上方修正され、 2003年以来の大幅な伸びとなった。

給与明細書作成代行会社のオートマティック・データ・プロセッシ ング(ADP)エンプロイヤー・サービシズが5日発表した給与名簿に 基づく集計調査によると、11月の米民間部門の雇用者数は18万9000人 増と、10月の11万9000人増(速報値10万6000人増)から伸びが加速。

米連邦準備制度が信用市場での損失拡大を抑制するためにフェデラ ルファンド(FF)金利誘導目標を引き下げるだけでなく、他にも政策 を取るとの観測が広がったことも株価には好材料となった。

オラクルは前日比5.9%高。リーマン・ブラザーズ・ホールディン グスのアナリストは、オラクルの製品に対する需要が「力強さ」を維持 するとの見方を示し、オラクル株の買いを推奨した。マイクロソフトも 高く引けた。世界最大のコンピューターサービス会社、IBMも高い。

半導体最大手インテルは上昇。トーマス・ウィーゼル・パートナー ズのアナリスト、ケビン・キャシディ氏はインテルの株式投資判断を 「マーケットウエート」から「オーバーウエート」に引き上げた。ブラ ジルやロシア、インドや中国といった国々でのコンピューター需要の拡 大を一因にインテルの2008年通期利益見通しを上方修正した。

マイクロンや半導体製造装置最大手のアプライド・マテリアルズも 上昇して引けた。

S&P500種の構成銘柄である半導体企業18社のうち17社が上げ た。業種別で半導体企業からなる指数は前日比3.1%上昇した。

住宅金利の固定案

米規制当局と貸し出し機関は住宅差し押さえ件数の大幅増抑制を目 的とする交渉で、サブプライム(信用力の低い個人向け)住宅ローン金 利の固定期間を5年とする案に焦点を絞っているという。交渉に詳しい 関係者が明らかにした。

フレディマックは前日比7.3%上げた。住宅金融米最大手のカント リーワイドも上昇。

AIGは同5%高。AIGのマーティン・サリバン最高経営責任者 (CEO)は投資家向けの講演で、ここ2カ月間の「極端な」市場状況 のなかで、同社の住宅関連投資額について「不安はない」と述べた。一 方、同社金融商品部門のジョゼフ・カサノ社長兼CEOは、最大6億ド ル(約660億円)の評価損計上を余儀なくされる可能性を指摘した。

○米国債:相場は続落。11月の米民間部門の雇用者数が市場予想の3倍を超える 伸びを示したため、米経済が住宅不況を乗り切るとの見方から売りが優勢になっ た。

米連邦公開市場委員会(FOMC)が11日に追加利下げを実施するとの 見方から10年債利回りの2年債への上乗せ幅は過去3年弱で最大。サブプラ イム(信用力の低い個人向け)住宅ローン問題が一段と深刻化するとの懸念を 背景に、4日に同利回りは3年ぶりの低水準を付けた。

トムソン・シーゲル・アンド・ワルムズリーの債券部門ディレクター、ウ ィリアム・ベラミー氏は「個人消費を支える最後の砦となっている雇用に市場 の注目が集まっている。この日の指標は雇用悪化観測を大きく後退させるもの だ。米国債相場が0.5ポイントの利下げを織り込んでいるのは明らかで、そう ならなかった場合、売りを誘うだろう」と述べた。

キャンター・フィッツジェラルドによると、ニューヨーク時間午後4時 25分現在、10年債利回りは前日比4ベーシスポイント(bp、1bp=0.01ポ イント)上昇して3.94%で推移している。10年債(表面利率4.25%、2017 年11月償還)の価格は10/32下落して102 18/32。

シカゴ商品取引所(CBOT)のFF金利先物市場の動向によると、 FOMCが11日に0.5ポイントの利下げを実施する確率は40%と、前日の 50%から低下した。0.25ポイントの利下げ確率は60%。

2年債

2年債利回りは2bp上昇の2.91%。前日に一時、2.79%と2004年11 月以来の低水準を付ける場面があった。2年債利回りは10年債を103bp下回 っており、格差は2005年1月以来で最大。

米国の連邦監督当局と銀行業界が、サブプライムローン(信用力の低い人 向けの住宅融資) の借り手救済策で、融資金利を据え置く期間を5年とする ことで調整を進めていることが、事情に詳しい複数の関係者の話で分かった。

米格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスは午後、金融保証 最大手の米MBIAが資本不足に陥る「可能性が高い」と指摘。「AAA」の 格付けを引き下げることを示唆し、MBIAが保証する6520億ドルの州政府 や地方自治体の債券や社債のリスクが高まっているとの認識を示した。これを 受けて、米国債相場は下げ渋る場面があった。

RBCキャピタル・マーケッツの米国債トレーディング責任者、トーマ ス・トゥッチ氏は(ニューヨーク在勤)は「米国債相場が下落するたびに悪い ニュースが伝わり、市場は用心深くなる」と述べた。

米国債オプション価格に基づいて算出するメリルリンチのMOVE指数は 4日に142と2003年以来の水準に上昇した。

雇用指標

給与明細書作成代行会社のオートマティック・データ・プロセッシング (ADP)エンプロイヤー・サービシズが5日発表した給与名簿に基づく集計 調査によると、11月の米民間部門の雇用者数は18万9000人増と、10月の 11万9000人増(速報値10万6000人増)から伸びが加速。ブルームバーグ がまとめたエコノミスト予想の5万人増も上回った。ADP調査は民間企業の みを対象としたもので、政府機関による雇用は含まれない。

ブルームバーグニュースがまとめたエコノミスト調査の予想中央値によれ ば、12月7日に労働省が発表する11月の非農業部門雇用者数は7万5000人 増と10月の16万6000人増から伸びが減速するとみられている。失業率は

4.8%と、10月の4.7%からの上昇が見込まれている。

フィーマットのデリバティブ(金融派生商品)担当のマネージングディレ クター、アーサー・バス氏は「国債相場にとって下振れリスクは、小幅利下げ 予想につながる強い雇用指標だ」と述べた。

2年債利回りが2004年以来の最低水準にあり、買い意欲が減退している。 信用市場での損失拡大から2年債利回りは11月に95bp低下し、月間ベース で20年ぶりの大幅な低下となった。

資産運用会社セージ・アドバイザリー・サービシズのパートナー、マー ク・マックィーン氏は「米国債相場は行き過ぎている。不安材料ばかりを織り 込んでいる」と語った。

中国財政省は4日、中国農業銀行向けに15年物の特別国債7500億元 (約11兆1280億円)相当を発行する計画を明らかにした。政府系ファンド (SWF=ソブリン・ウェルス・ファンド)向けの資金調達が狙いと説明した。 海外からの米国債需要が減退するとの思惑につながり、米国債には売り圧力と なった。

○NY外為:ドルがユーロと円に対して上昇。午前に発表された11月の米民間 部門の雇用者数と10月の製造業受注が予想外に拡大し、第3四半期の労働生産 性も上昇したことからドルに買いが入った。

ドルは英ポンドとスイス・フランに対しても上昇。サブプライム(信用力 の低い個人向け)住宅ローン関連投資による損失が経済成長を損ねるとの懸念 が和らいだのが背景だ。トレーダーの間では11日の連邦公開市場委員会(F OMC)で0.5ポイントの利下げが決定するとの見方が後退した。英ポンドは 同国住宅ローン最大手HBOSの発表した11月の住宅価格が前月比で下落し、 1995年以来で最長の下落を記録したことが嫌気され、下げた。

バンク・オブ・ニューヨーク・メロンのグローバル・マーケット・グルー プで世界戦略を担当するサマルジット・シャンカー氏は、「労働市場はドルを 支える最後の支柱だ。労働市場はサブプライム問題がありながらも、何とか持 ちこたえている」と語った。

ニューヨーク時間午後4時現在、ドルはユーロに対して1.4612ドルと、前 日の1.4758ドルから上昇。2006年7月17日以来で最大の上げだった。対円で のドルは110円89銭と、前日の109円87銭から上げた。スイス・フランはド ルに対して1.1279フランと、前日の1.1167フランから下落した。英ポンドは ドルに対して2.0249ドルと、前日2.0592ドルから下落した。

ゲイン・キャピタル傘下のオンライン外為取引会社、フォレックス・ドッ ト・コムの為替チーフストラテジスト、ブライアン・ドラン氏によると、ドル は1ユーロ=1.4660-1.4650ドルの節目を抜けるとさらに上昇し、8月半ばか ら続いたユーロ高基調が終了した。今後24時間以内にドルはユーロに対して

1.4520ドルを試すとドラン氏はみている。

主要6通貨に対するインターコンチネンタル取引所(ICE)のドル指数 は1%上昇して76.413。一時は11月2日以来の高水準である76.528をつけ る場面もあった。

英銀スタンダード・チャータードは5日発表したリポートで、来年3月末 までにドルはユーロに対して1.42ドルまで上昇するとの見通しを発表、従来 予想の同1.45ドルから修正した。

円が上昇

米格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスが金融保証最大手 の米MBIAが資本不足に陥る「可能性が高い」と指摘、中程度のリスクしか ないとしていたこれまでの評価から一転、厳しい見方を示した。この後円はユ ーロに対して上昇した。

ムーディーズの発表文書によると、同社はMBIAの分析を2週間以内に 終了する。MBIAの広報担当リズ・ジェームズ氏は、今のところコメントは ないと述べた。

円はユーロに対して161円98銭。一時は163円07銭まで売り込まれる場 面があった。米経済指標を材料に欧米の株式相場が上昇し、投資家は低金利通 貨で資金を調達し、高金利通貨で運用するキャリー取引を再開した。

日本の政策金利は0.5%と、先進国のなかでも最も低い水準にある。南ア フリカは10.5%。ブラジルは11.25%に設定されている。

NZドル、豪ドル

ニュージーランド(NZ)ドルは米ドルに対して76.95米セントと、前日 の76.31米セントから上昇した。同国中銀は政策金利を8.25%で据え置くと決 定した。

英ポンドはユーロに対して72.08ペンスと前日の同71.68ペンスから下落、 4年ぶりの安値となった。HBOSが発表した統計で英住宅価格の下落が示さ れ、イングランド銀行(BOE)に対する利下げ圧力が高まった。

ブルームバーグ・ニュースがまとめた予想によると、6日開かれるBOE 金融政策委員会(MPC)では政策金利は現行水準の4%で据え置かれるとみ られている。

豪ドルは対米ドルで86.99米セント。前日の同87.37米セントから下落し た。同国中銀のオーストラリア準備銀行は、世界の経済成長が減速していると 指摘、政策金利を6.75%で据え置くと決定した。

米民間雇用者の増加

給与明細書作成代行会社のオートマティック・データ・プロセッシング (ADP)エンプロイヤー・サービシズが発表した給与名簿に基づく集計調査 によると、11月の米民間部門の雇用者数は18万9000人増と、10月の11万 9000人増から伸びが加速した。

米労働省が発表した第3四半期の非農業部門の労働生産性指数は、前期比 年率6.3%上昇と、2003年以来の大幅な伸びとなった。10月の製造業受注額は 前月比0.5%増加した。

金利先物市場動向によると、12月11日のFOMC会合でフェデラルファ ンド(FF)金利誘導目標が0.5ポイント引き下げられる確率は42%、0.25 ポイント引き下げられる確率は58%となっている。

○英国債:相場は上昇した。経済指標で英国経済の成長ペース鈍化が示されたと して、一部の銀行がイングランド銀行(BOE)による6日の利下げを予想した ことが背景にある。

バークレイズ・キャピタルのエコノミスト、サイモン・ヘイズ氏によれば、 バークレイズは英政策金利の見通しを修正し、BOEが6日に政策金利を0.25 ポイント引き下げると予想している。

2年国債の利回りは前日比5ベーシスポイント(bp、1bp=0.01ポイン ト)低下の4.36%となった。同国債(2009年12月償還、表面利率5.75%) 価格は0.1ポイント上昇し102.64。英10年債利回りは同3bp低下し4.50%。

○欧州債:相場は下落した。米政府によるサブプライム(信用力の低い借り手向 け)住宅ローン救済への動きを受けて株式相場が上昇したことが背景にある。

欧州中央銀行(ECB)が6日の定例政策委員会で6年ぶり高水準にある政 策金利を据え置くとの観測も国債相場の頭を抑えた可能性が大きい。

ロイヤル・バンク・オブ・カナダの債券ストラテジスト、リチャード・マク ガイアー氏(ロンドン在勤)は、「サブプライム損失による打撃を限定するため に各国政府が何らかの措置を講じるとの見方を受けて株式相場は上昇し、これに より国債の妙味が減退した」と指摘した。また「ECBが当面は利下げを実施し ない公算が大きいことを考慮すれば、国債は割高にみえる」と語った。

ドイツ10年国債利回りはロンドン時間午後3時41分現在までに、前日比2 ベーシスポイント(bp、1bp=0.01ポイント)上げて4.04%。同国債(表面 利率4.25%、2017年7月償還)の価格は0.12ポイント低下の101.63。2年 国債の利回りは同1bp上げて3.78%だった。

ブルームバーグ・ニュースがまとめたエコノミスト62人を対象にした調査 では、全員がECBは政策金利を7カ月連続で4%に据え置くと予想している。

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