【経済コラム】中国によるリオ買収案、成果は期待薄-D・ウィルソン

オーストラリアのBHPビリトンによる1340 億ドル(約14兆7800億円)規模に上る英豪系リオ・ティントへの買収提案に 対抗するため、中国の鉄鋼メーカーがリオへの買収案提示を検討している。い かなる提案を行ったとしても、中国の鉄鋼メーカーはせいぜい、リオの株主に とっての踏み台にすぎないという結果になるだろう。

BHPが買収案を提示したことを明らかにした11月8日以降、リオ株は常 に買収提示額を上回る価格で取引されている。例えば、ロンドン証券取引所の リオ株の4日終値は1株当たり55.15ポンドと、提示額を14%上回る水準だっ た。

しかし、BHPはこれまでのところ、株式の交換比率を調整する意向は示 していない。BHPは、リオ株1株とBHP株3株とを交換することを提案し ている。両社の株式は英国部門と豪州部門が別々に取引されており、交換比率 もそれぞれ異なる。

BHPに対抗する買収提案が行われる可能性が出てきたことで、同社が提 示額を引き上げる可能性もある。一方、中国の鉄鋼メーカーにはリオの買収を 目指す動機がある。BHPとリオは世界の主要な鉄鉱石生産会社であり、アジ アの鉄鉱石市場で約半分のシェアを握る。

英調査会社CRUインターナショナルによると、中国の鉄鉱石輸入はこと し、約18%増加するとみられ、向こう3年間ではさらに40%増えると予想され ている。リオは先週、この推計を投資家向けプレゼンテーションで引用した。

リオに買収提案を行う可能性があるとの見方から、中国の鉄鋼メーカーの 株価は4日、上昇した。時価総額で中国最大の宝山鋼鉄の株価は同日、5.2%上 げ、2位の鞍鋼軋鋼も6.4%上昇した。

政府の役割

ただ、中国では政府が鉄鋼業界を支配していることなどから、同国の鉄鋼 メーカーが独自に行動を起こすはできない。宝山鋼鉄は、国営の宝鋼集団の1 部門だ。

これに加え、リオ買収に向けた中国政府の資金力は、これらの鉄鋼メーカ ーを大きく上回る。中国政府がことし設立した資産規模2000億ドルの政府系フ ァンド(SWF)、中国投資公司は先週、同社が鉄鋼メーカー数社と共同でリオ 買収の対抗案を提示する可能性があるとする中国紙、中国経営報の報道を否定 した。

どのような形であれ政府が買収提案を支援すれば、米規制当局の反発を招 く可能性がある。米規制当局は2005年に、中国海洋石油(Cnooc)による 米石油会社ユノカル買収計画を阻止した。

リオのウェブサイトによると、同社は現在、アリゾナ州でレゾルーション 銅山を含む4件の鉱山プロジェクトを進めているほか、米国内の10数カ所で操 業している。先月には、米国内で63カ所のプラントを運営するカナダのアルキ ャンを買収し、米国での存在感を強めた。

豪州の影響

豪州のラッド新政権も、買収提案に反対の姿勢を示す可能性がある。前連 立政権は01年、英蘭系ロイヤル・ダッチ・シェルによる、豪州2位の石油・ガ ス生産会社ウッドサイド・ペトロリアムの買収計画を阻止した。

豪州政府が反対姿勢を示せば、米政府の反応よりも大きな影響力を持つだ ろう。リオは鉄鉱石の大半を豪州の西オーストラリア州ピルバラで生産してお り、この地域での生産量を2018年までに2倍以上に拡大し、4億3000万トン とする計画だ。

何も行動しないことの代償はあまりにも大きいとみて、中国の鉄鋼メーカ ーがリオへの買収提案に参加する可能性もある。その場合でも、BHPによる 提示額の引き上げにつながるかもしれないが、それ以上の効果は望めないだろ う。(デービッド・ウィルソン)

(ウィルソン氏は、ブルームバーグ・ニュースのコラムニストです。この コラムの内容は同氏自身の見解です)

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE