日本版政府系ファンドの設立を-自民議員がきょう午後に議連発足

自民党の有志議員が5日午後、政府資産を活 用し、株式などリスクの高い運用を手掛ける「日本版政府系ファンド」設立に 向けて議員連盟を発足させる。中国をはじめアジアや中東諸国で設立が相次ぐ なか、財政健全化への貢献と東京市場のグローバル化を目指して、具体的な青 写真を描く作業に着手。来春にも提言をとりまとめる。

発足するのは「資産効果で国民を豊かにする議員連盟」(会長・山本有二前 金融担当相)で、外貨準備や公的年金、政府保有不動産の売却益を原資にした 政府投資会社の設立を模索する。山本氏は金融相在任中、政府資産の運用改善 策の検討を提唱した急先ぽう。

事務局長を務める田村耕太郎前内閣府政務官はブルームバーグ・ニュース に対し、日本版政府系ファンド設立の目的について、政府資産の運用益を国庫 に還元することで財政再建に貢献できるほか、「優秀な人材と世界のお金を日本 に誘引することで健全な市場競争をつくり出すことができる」と説明。特に、 約150兆円の膨大な積立金を抱える公的年金資金の運用効率化は国民の支持が 得やすいとみる。田村氏によると、約40人の自民党議員が同議連に参加する見 通し。

各国の政府系ファンド設立の動きに出遅れることへの危機感もある。田村 氏は「各国が政府系ファンドを設立し、世界市場にインパクトを与えている。 政府資産の有効活用は世界の流れ。米サブプライム(信用力の低い個人向け) 住宅ローン問題の影響で欧米の金融資産の価格が低迷している今こそ、政府資 産の有効活用をするチャンスだ」と説明する。

財団法人・国際金融情報センターによると、主要な政府系ファンドの運用 残高は2.1兆-2.6兆ドルに上り、世界のヘッジファンドの運用資産残高1.5兆 -2兆ドルをしのぐ規模に達している。

外貨準備の積極運用には課題

外貨準備を元手にしたリスク資産の積極運用については、財務省が否定的 な姿勢を示している。津田廣喜財務事務次官は11月8日の会見で、「外貨準備 の運用は安全性と流動性に最大限配慮しながら収益性を求めていく」とした上 で、「政府系ファンド設立は考えていない」と明言。内外金利差の逆転によるフ ローでの赤字や、為替の評価損による債務超過などの発生を危ぐする。

世界第2位の規模を持つ日本の外貨準備は10月末時点で約9545億ドル。 そのほとんどを米国債で運用しており、米長期金利の上昇などを背景に2006年 度の運用利回りは4%で、運用収入は3兆6900億円に上る。

田村氏は運用収益分を別会計にして投資に振り向ける考えを示しているが、 ここでも課題が残る。現行ルールでは、ドル建ての運用益を円に転換するとド ル売り・円買い介入との憶測を生むため、円に転換しないで運用益に見合う額 の政府短期証券(為券)を発行して外国為替資金特別会計の利益として計上。 資産と債務が表裏一体となっているのが現状だ。

篠原尚之財務官は11月5日の会見で、「外貨準備も裏側に為券という負債 を持っているお金。何かどこかに積み立てているお金があって、それを運用す る状況にない」と述べた上で、「市場を混乱させるような、あるいはヘッジファ ンドのような投機的な動きに使うべきではない」と消極的な姿勢を示している。

バンク・オブ・アメリカ(BOA)の藤井知子日本チーフエコノミスト兼 ストラテジストは「何のために政府系ファンドを設立するのかという世論形成 には、時間がかかる。実現可能性も不透明。最終的には、外貨準備の利子部分 を分離するかどうかが焦点となる」との見方を示している。

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