東京外為:ドルの上値が重い、米景気減速懸念と金利先安観-109円後半

午前の東京外国為替市場ではドル・円相場が 1ドル=109円台後半を中心にもみ合っている。一時は110円に乗せる場面も見 られたが、サブプライム(信用力の低い個人向け)住宅ローン問題に端を発し た金融不安が続く中、米経済の先行き懸念や金利先安観を背景にドルの上値は 重い。

三菱UFJ証券クレジット市場部為替課長の塩入稔氏は、「基本路線として は、米国の景気減速が一段と鮮明になる恐れがあり、米金利も低下方向を見込 まざるを得ず、それを背景にドル安が進む」とみている。ただ、今週末には注 目の米雇用統計が発表されるほか、来週には米連邦公開市場委員会(FOMC) や米証券会社の11月の業績発表が控えており、今の局面は「内容を見極めたい と手控えムードが広がる時期」で、ドルがすぐに急落するイメージは持ちにく いとしている。

ドル・円が109円台に戻す

4日の海外市場ではサブプライム問題に絡んだ金融機関の損失拡大懸念か ら欧米株が続落。外国為替市場では円の買い戻しが強まり、ドル・円相場は一 時、1ドル=109円57銭(ブルームバーグ・データ参照、以下同じ)と11月 29日以来の水準まで上昇。東京時間に付けた日中安値(110円53銭)から約1 円、円高が進んだ。

ユーロ・円相場も一時、1ユーロ=160円91銭と11月28日以来の水準ま で円が上昇。ただ、その後は対ドルでのユーロ上昇に伴い162円台へ値を戻し ている。

UBS銀行東京支店外国為替部FXアドバイザーの牟田誠一朗ディレクタ ーは、サブプライム問題に絡む金融機関の損失懸念が継続的に出ており、全般 的なドル安の流れが続いていると指摘。「年末から年明けにかけて金融機関の決 算を控えて、再び損失状況があぶり出される可能性が警戒されており、積極的 にリスクを取りにくい」として、株安・円高の基調に変化はないとみている。

一方、ユーロ・ドル相場は、年初来最大の伸びとなった10月のユーロ圏13 カ国の生産者物価指数(PPI)などを手掛かりに1ユーロ=1.46ドル台後半 から一時、1.4768ドルと2営業日ぶりの水準までユーロが反発。5日の東京市 場午前の取引では1.47ドル台半ばでもみ合う格好となっている。

金融不安広がる

JPモルガン・チェースは4日、米証券大手4社についてサブプライム住 宅ローン関連の評価損が拡大する可能性を指摘し、2008年の利益見通しを下方 修正した。また、UBSのアナリストは景気鈍化と評価損拡大の可能性を理由 に、米銀行最大手シティグループの利益見通しを引き下げた。

そのほか、米格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスは4日 までに、モルガン・スタンレーやべアー・スターンズが07年に組成したサブプ ライム住宅ローン担保証券の格付けを引き下げた。メリルリンチと野村ホール ディングスが組成した証券も格下げされた。また、格付け会社のフィッチは、 シティが運営するストラクチャード・インベストメント・ビークル(SIV) の格付けを12段階引き下げ「CCC」とした。

塩入氏は、先週来、アブダビのシティグループへの投資の話やサブプライ ムローンの救済の話でいったん不安心理も少し和らいだところがあったが、「サ ブプライムを発端とした米国の景気減速や金融市場の信用収縮は簡単に収まる ものではないとの認識を多くの市場参加者が持っており、なかなかそこは簡単 に打ち崩せないとの見方がベースにある」と指摘する。

複数回の米利下げを予想

米金利先物市場の動向によると、米連邦公開市場委員会(FOMC)が11 日に0.5ポイントの利下げを実施する確率は50%に上昇。0.25ポイントの利下 げ確率は50%。08年1月と3月の会合での利下げ確率もそれぞれ上昇している。

こうした中、この日は米国で民間雇用統計の発表が予定されており、週末 発表の米雇用統計を占う手掛かりとして注目される。

一方、ペルシャ湾岸の6産油国で構成する湾岸協力会議(GCC)がカタ ールのドーハで開いた首脳会議は4日、2010年までに通貨を統合する目標を維 持すると表明。ドル・ペッグ(連動)制の廃止に関する計画については一切言 及しなかった。

各国の政策金利動向に注目―カナダは利下げ

オーストラリア準備銀行(RBA)は4日に開いた政策決定会合で、政策 金利であるオフィシャル・キャッシュレートを6.75%に据え置いたことが、5 日分かった。米国の住宅不況と信用市場動揺の影響を見極めるため、据え置き を決めた。結果は予想通り。RBAは8月と11月に利上げをしている。

一方、カナダ銀行(中央銀行)は4日、政策金利である翌日物貸出金利の 目標水準を0.25ポイント引き下げて、4.25%に設定した。利下げは2004年4 月以来初めて。利下げ発表後、カナダ・ドルは対米ドルで1ドル=1.0153ドル と9月20日以来の水準まで下落。11月7日に付けた過去最高値(同0.9058カ ナダ・ドル)からは約12%の値下がりとなった。

この日は欧州でイングランド銀行の金融政策委員会(MPC)が始まり、 あす5日に政策金利を発表する。5日にはニュージーランド(NZ)準備銀行、 欧州中央銀行(ECB)の政策金利の発表も予定されており、各国の政策金利 の動向にも注目が集まる。

--共同取材 吉川淳子 Editor:Masaru Aoki, Norihiko Kosaka

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