NY外為:円とスイス・フラン高い、信用懸念でキャリー取引解消(2)

ニューヨーク外国為替市場では円とスイス・ フランがブラジル・レアル、豪ドル、南アフリカ・ランドに対して上昇した。 世界的な信用市場での損失を受けて市場参加者は円やスイス・フランなど低金 利通貨で資金を調達し、高金利通貨で運用するキャリー取引を解消した。

米サブプライム(信用力の低い個人向け)住宅ローンに起因した損失が拡大 するとの懸念から、銀行など金融機関が貸し出しを渋り、ドルやユーロ、英ポ ンドでの短期借り入れコストが上昇している。ユーロはドルに対してここ2週 間で最大の値上がりを記録、対ポンドでも上昇した。欧州連合(EU)統計局 が発表した10月のユーロ圏13カ国の生産者物価指数(PPI)の伸びが年初 来で最大だったのがユーロ買いにつながった。

英スタンダード・チャータード銀行のシニア通貨ストラテジスト(ニューヨ ーク在勤)、マイク・モラン氏は、「信用市場にはまだ不透明感が強くあり、 短期金融市場の流動性は枯渇している。年末に向けて市場はなお慎重だ。投資 家は信用状況が改善されない限り、引き続きリスク資産への投資を削減するだ ろう」と語った。

ニューヨーク時間午後4時現在、円は対ドルで109円80銭。前日は110円46 銭だった。ドルは対ユーロで1.4760ドルと、前日の1.4667ドルから下げた。ス イス・フランは対ドルで1.1166スイス・フラン(前日は同1.1273スイス・フラ ン)に上昇した。英ポンドは対ドルで2.0576ドルと前日の2.0659ドルから下落 した。

カナダ・ドル下落

カナダ・ドルは主要16通貨に対して下落。カナダ銀行(中央銀行)が政策 金利を0.25ポイント引き下げて4.25%に設定したのが手掛かりとなった。主要 7カ国(G7)の中で政策金利を引き下げたのは米国に続き2カ国目。

カナダ・ドルは米ドルに対して98.71セント。一時は9月20日以来の安値と なる98.49セントをつけた。

ユーロはポンドに対して71.75ペンスと、ほぼ3週間ぶりの大幅上昇を記録 した。ユーロ圏の10月のPPIは前年同月比で3.3%上昇。2006年12月以来 で最大の伸びだった。これを受けて、欧州中央銀行(ECB)は現在4%の政 策金利を引き下げる必要があるとの観測が後退した。

キャリー取引の資金調達通貨

ブラジル・レアルは円に対して1.4%下落、対スイス・フランでは1.7%値下 がりした。対円で豪ドルは1.4%、ニュージーランド(NZ)ドルは0.7%下落 した。

日本の政策金利は0.5%と、先進国のなかでも最も低い水準にある。オース トラリアの政策金利は6.75%、NZは同8.25%。南アフリカは10.5%。ブラジ ルは11.25%に設定されている。ブルームバーグ・ニュースがまとめた調査に よると、オーストラリア準備銀行は5日、政策金利を11年ぶり高水準にある 現在の水準で据え置くとみられている。

JPモルガン・チェースのアナリスト、ケネス・ワーシントン氏は、米ゴー ルドマン・サックス・グループやモルガン・スタンレー、メリルリンチやリー マン・ブラザーズ・ホールディングスが今後2-3四半期は不安定な信用市場 と向き合うことになるだろうとの見解を述べた。

ポールソン米財務長官は3日、サブプライム住宅ローンの損失拡大を食い止 める「特効薬」はないと述べ、カナダ銀行も米サブプライム市場が混迷から回 復するには予想以上に時間を要するだろうとの見解を示した。

英国銀行協会(BBA)によると、ドル建て3カ月物ロンドン銀行間貸出金 利(LIBOR)は5.15%と15営業日連続で上昇した。

ドルは年初来、主要16通貨のうち15通貨に対して下落している。FOMC が9月以降、2度の利下げを実施し、米ドル建て資産の魅力が損なわれている ためだ。ドルは今年に入りユーロに対して10.6%下落し、円に対しては7.8% 値下がりしている。

金利先物市場動向によると、12月11日のFOMC会合でフェデラルファン ド(FF)金利誘導目標が0.25ポイント引き下げられる確率が50%、0.5ポイ ント引き下げの確率も50%となっている。

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