東京外為:円が強含み、日米株反落で買い戻し圧力-110円台前半

午前の東京外国為替市場では円が強含み。ド ル・円相場は1ドル=110円台前半と、前日のニューヨーク時間午後遅くに付け た110円46銭からやや円が水準を切り上げて推移した。米国のサブプライム(信 用力の低い個人向け)住宅ローン問題の早期収束には懐疑的な見方が根強く、 先行き懸念を背景に株価の上値が抑えられていることから、円の買い戻しに圧 力がかかりやすくなっている。

新光証券の林秀毅グローバルストラテジストは、株式市場ではマクロ面で の全般的な景気の減速感を背景に弱気の見方が広がりつつあり、円の買い戻し につながっていると指摘。そうしたなか、米国では週内に雇用関連指標を控え て、「製造業を中心に金融や住宅市場での雇用減少傾向が顕著に表れた場合は、 ドルの下落基調が再開するとの懸念がある」と付け加えている。

米景気の先行き懸念残る

今週は5日に民間の米オートマティック・データ・プロセッシング(AD P)エンプロイヤー・サービシズ、7日には米労働省が11月の雇用統計を発表 するが、いずれも前月からは大幅な鈍化が見込まれている。

そうしたなか、ボストン連銀のローゼングレン総裁は3日の講演で、「今の ところ、向こう2四半期の景気拡大のペースは潜在成長率を大きく下回るとみ ている」と発言。また、講演後の質疑応答では、サブプライム住宅ローン問題 について、「この問題がこれほど深刻になるとは予想していなかっただろう」と 述べている。

同総裁が景気の先行きに弱気の見通しを示したことで、11日の米連邦公開 市場委員会(FOMC)では0.5ポイントの大幅利下げが実施されるとの観測 が補強され、3日の米債相場は反発した。

みずほコーポレート銀行国際為替部の時田剛調査役は、「ボストン連銀総裁 がハト派的な見解を示したことで、大幅な米金利の低下につながった経緯から、 ドルの上値が抑えられている」と説明。国内輸出企業のドル売り需要が111円 台前半で待ち構えているとも言い、株価にらみの展開が続くなか、この日の取 引では109円70銭付近までのドル安・円高進行もあり得るとみている。

日米株が反落

また、ドイツ銀行のアナリストは3日付の顧客リポートで、米証券大手の ゴールドマン・サックス・グループとメリルリンチ、リーマン・ブラザーズ・ ホールディングス、ベアー・スターンズの利益見通しと目標株価を引き下げた。

3日の米株式市場では弱気ムードが支配的となり、ダウ工業株30種平均は 反落して取引を終了。この日の東京株式市場でも、日経平均株価が続伸して取 引を開始したものの、マイナス圏に転じて推移している。

株価が弱含みになると、外為市場では、リスク回避的な動きが出やすく、 対高金利通貨で積み上がった円売り持ち高の解消圧力につながる傾向があり、 ドル・円相場は一時110円27銭(ブルームバーグ・データ参照、以下同じ)ま で円が水準を切り上げている。

ユーロ・円相場も1ユーロ=161円55銭と、前日のニューヨーク時間午後 遅くに付けた162円01銭からユーロ安・円高方向に振れている。

サブプライム対策に期待感も

一方で、米国のポールソン財務長官は3日、ワシントンで開かれた住宅関 連会議で、「サブプライム住宅ローンの金利リセット(見直し)の数は来年劇的 に増加する見通しで、それに対処する十分な能力を確保する必要がある」と表 明。さらに、「住宅市場低迷が米経済に与えるリスクを軽減するため、適切な措 置を取ることができる」とした。

米財務省と住宅ローン関連当局は、借り入れコストの上昇に伴うデフォル ト(返済不履行)の急増を防ぐために一部ローンに対する金利を固定する交渉 を実施。政府からサブプライム問題に対する前向きな対応策が示されたことで、 いったんは不安心理が和らぐ可能性も意識される。

市場では、「サブプライム問題に絡む損失の話もやや食傷気味となるなか、 近々にドルの下値を攻めるにはよほどの悪材料が出てくる必要がある」(みずほ 信託銀行資金証券部・金子和広調査役)との指摘も聞かれている。

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