12月3日の海外株式・債券・為替市場(2)

(米国市場を更新します)

○米国株:下落。ドイツ銀行が米証券4社の利益見通しを引き下げた ほか、景気が失速するとの懸念が広がったことから、金融株を中心に 売られた。

米証券大手のモルガン・スタンレーとメリルリンチが売りに押され た。債券市場の低迷が第4四半期利益を圧迫するとのドイツ銀行の指摘 が嫌気された。また、米生保最大手のメットライフを中心に保険株も安 い。メットライフが示した08年通期の利益見通しがアナリスト予想を下 回ったことが弱材料だった。ゼネラル・エレクトリック(GE)も下落。 シティグループのアナリストが利益見通しを下方修正したことが嫌気さ れた。

S&P500種株価指数終値は前週末比8.72ポイント(0.6%)安の

1472.42となった。ダウ工業株30種平均は57.15ドル(0.4%)安の

13314.57ドル。ナスダック総合指数は23.83ポイント(0.9%)下落し

2637.13で終了した。ニューヨーク証券取引所(NYSE)の騰落比率 は1対2となった。

ファースト・ソース・インベストメント・アドバイザーズで25億ド ルの資産運用に携わるジェーソン・クーパー氏は「市場参加者は現在、 複数の異なる問題に取り組んでおり、すべての状況に対応しようとする のは困難だ」と述べた。その上で、「個人的には強気というよりも慎重 だ」と語った。

S&P500種の業種別では金融株指数が前営業日比1.2%下落した。 ポールソン米財務長官がサブプライム(信用力の低い個人向け)住宅ロ ーン金利に関する新計画について時間的な目安を設定したことで株価は いったん下げ幅を縮小した。その後、バークレイズやUBSのアナリス トらがこの新計画が住宅ローン担保証券の押し上げにそれほど効果がな い可能性を指摘したことから、株価は再び下げ幅を拡大した。

証券株

モルガン・スタンレーとメリルリンチに加え、リーマン・ブラザー ズ・ホールディングスも下げた。ドイツ銀行のアナリスト、マイク・マ ヨ氏は3日付の顧客リポートで、ゴールドマン・サックス・グループと メリルリンチ、リーマン、ベアー・スターンズの証券4社では債券のト レーディング収入が減少したほか、保有債券の評価損が発生した可能性 があると指摘し、このために9-11月(第4四半期)利益が押し下げら れたとの見方を示した。同氏はさらに、来年の収入にも影響が及ぶ恐れ があると付け加えた。

証券各社や銀行各行がサブプライム関連資産で500億ドル以上の評 価損を計上するなか、S&P500種の金融株からなる指数は、年初来 17%下げている。

米生保最大手のメットライフは08年の1株当たり営業利益が5.90 -6.20ドルとの見通しを示した。これはブルームバーグがまとめた16 人のアナリスト調査の予想平均6.31ドルを下回る。メットライフは下落 して引けた。

メットライフの利益見通しを嫌気して、保険世界最大手のアメリカ ン・インターナショナル・グループ(AIG)や米生命保険2位のプル デンシャル・ファイナンシャルなど他の保険会社も下げた。

米金利見通し

サンフランシスコ連銀のイエレン総裁は金融市場の状況と消費者支 出が予想以上に悪化しているとの見方を示し、米ボストン連銀のローゼ ングレン総裁が今後2四半期の米経済は長期的な潜在成長率を「大幅に 下回る」ペースで推移するとの見通しを示した。これを受けて、トレー ダーの間では追加利下げ観測が強まった。

米供給管理協会(ISM)が3日に発表した11月の製造業景況指数 は50.8(前月50.9)に低下。過去10カ月で最低となり、ブルームバー グ・ニュースがまとめたエコノミスト予想中央値と一致した。同景況指 数で50は景気の拡大と縮小の境目を示す。

フェデラルファンド(FF)金利先物相場は、12月11日のFOM Cで政策金利が4.25%に引き下げられる確率を60%とする市場の見方を 示唆している。また金利先物相場は0.5ポイントの利下げが40%の確率 との見方を織り込みつつある。

○米国債:相場は反発。ボストン連銀のローゼングレン 総裁が今後2四半期に景 気が大幅減速するとの見通しを示した。これを背景に米連邦公開市場委員会(F OMC)が11日の定例会合で0.5ポイントの大幅利下げを実施するとの観測が 強まり、買いが膨らんだ。

2年債利回りは11月26日に付けた2004年12月以来の低水準である

2.87%まで、あと3ベーシスポイント(bp、1bp=0.01ポイント)に迫った。 格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスが、米国のサブプライム (信用力の低い個人向け)住宅ローン危機が信用市場に波及して以来で最大の 格下げを準備していることを明らかにしたため、安全資産として米国債に買い が集まった。

米国大和証券の債券部門責任者、レイモンド・レミー氏は「FOMC高官 はタカ派だったが、現在はハト派に転じている。市場が25bpよりも大幅な利 下げを織り込みつつあるため、債券相場が上昇している」と述べた。

キャンター・フィッツジェラルドによると、ニューヨーク時間午後4時 9分現在、2年債利回りは前週末比12bp低下して2.89%。11月26日には

2.87%と、2004年12月以来の低水準を付けていた。2年債(表面利率

3.125%、2009年11月償還)の価格は1/4上げて100 15/32。

シカゴ商品取引所(CBOT)のフェデラルファンド(FF)金利先物市 場の動向によると、FOMCが11日に0.5ポイントの利下げを実施する確率 は40%と、1週間前の12%から上昇している。0.25ポイントの利下げ確率 は60%。

株価下落

ドイツ銀行は債券市場での損失により、米証券会社の業績が打撃を受ける と指摘。金融株を中心に米株式相場は下げた。S&P500種株価指数は0.6% 安。

ボストン連銀のローゼングレン総裁は今後2四半期の米経済は長期的な潜 在成長率を「大幅に下回る」ペースで推移するとの見通しを示し、住宅差し押 さえが拡大する可能性を指摘した。サンフランシスコのイエレン総裁はシアト ルでの講演で、過去1カ月に金融市場の状況と個人消費は同総裁が考えていた よりも悪化したと話した。

バーナンキ米連邦準備制度理事会(FRB)議長とコーン副議長は先週、 信用ひっ迫の脅威を認め、成長とインフレのリスクがほぼ拮抗しているとの10 月時点の認識を変更した。

格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスは11月30日、スト ラクチャード・インベストメント・ビークル(SIV)が発行した証券1050 億ドル(約11兆6000億円)相当の格下げを検討していると発表した。SI Vは短期金融市場で資金を調達し、高利回り資産で運用する運用会社。

LIBOR上昇

英国銀行協会(BBA)によると、1カ月物ドル建てロンドン銀行間貸出 金利(LIBOR)は前営業日比1bp上昇の5.25%と、今回の米利下げ局面 が始まった9月18日以降で最高水準に達した。

LIBORの上昇は、サブプライム関連証券で数十億の評価損を計上した 金融機関の資金力に対する懸念を反映している。

調査会社ストーン・アンド・マッカーシー・リサーチ・アソシエーツの債 券アナリスト、ジョン・キャナバン氏はLIBORについて「じりじりと上昇 していることは銀行の年末の資金繰りに対する懸念が容易には後退しないこと を示唆している」と述べた。

3カ月物財務省短期証券(TB)利回りとLIBORの差であるいわゆる TEDスプレッドは13bp上昇の211bp。信用市場での損失が深刻になるにつ れ、銀行の貸し渋りが続いていることがうかがえる。同スプレッドは11月29 日に216bpと3カ月で最大となった。

ポールソン財務長官

ポールソン財務長官は3日、政府と銀行が一部サブプライム住宅ローンの 借り手が住宅を失うことのないようにする計画を「早い時期」に発表すること を明らかにした。

インフレ期待に敏感な10年債利回りは前週末比7bp低下の3.87%。2 年債利回りへの上乗せ幅は99bp。11月22日には利下げ期待から短期債中心 に買いが入り、同金利差は101bpと2005年1月以来で最大となった。

10年債が短期債ほど上昇していない背景には、原油高の影響で物価上昇率 が10年債利回りを上回るとの懸念がある。過去の例で言えば、インフレ率が 長期国債利回りを上回った時は必ず長期債は下落している。フォード政権時代 の1973年8月―75年8月と、カーター政権末期の79年1月―80年10月に その現象が起きた。

○NY外為:円が主要16通貨に対して上昇した。世界的に信用市場の損失が拡 大する可能性があるとの懸念で、低金利通貨の円で資金を調達し、高金利通貨で 運用する円キャリー取引の解消が進んだ。

米格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスが、サブプライム(信 用力の低い個人向け)住宅ローンのデフォルト(債務不履行)問題が金融市場を 震撼させて以来で最大規模の格下げを実施する意向を明らかにしたことから、豪 ドル、カナダ・ドル、南アフリカ・ランド、スウェーデン・クローナ、ニュージ ーランド(NZ)・ドルが下落。欧米の株式相場も下げた。

マン・グローバル・リサーチのシニア通貨アナリスト、マイケル・マルピー ド氏(シカゴ在勤)は「信用市場への圧力は今も続いており、状況は好転してい ないようだ。リスク回避の傾向がまだあるなら、円はさらに上昇するだろう」と 話した。

ニューヨーク時間午後4時現在、円は対ドルで110円49銭まで上昇。前週 末は11月16日以来安値の1ドル=111円24銭だった。対ユーロでの円は162 円07銭と、前週末の162円82銭から上昇した。

マルピード氏はリスク回避の傾向が続いた場合、円が今月末までに対ドルで 109円に、対ユーロで160円に上昇するとみている。

ユーロは対ドルで1.4667ドルと、前週末の1.4633ドルから上昇した。欧 州で製造業の伸びを示す経済統計が発表されたのが手掛かりだった。

英ポンドは対ドルで2.0655ドルと、前週末の2.0563ドルから上昇。英国 購買部協会(CIPS)が発表した英製造業景況感指数が前月から予想外に上昇 したのがきっかけだった。

キャリー取引通貨

キャリー取引で運用通貨として利用される豪ドルは円に対して1.1%下落し、 NZドルは0.8%下げた。

日本の政策金利は0.5%と、先進国のなかでも最も低い水準にある。オース トラリアの政策金利は6.75%、NZは同8.25%。南アフリカは10.5%に設定 されている。ブルームバーグ・ニュースがまとめた調査によると、欧州中央銀行 (ECB)が今週6日に開く政策委員会では、政策金利を4%で据え置くとみら れている。

キャリー取引で円と同様、資金調達通貨に使用されるスイス・フランも主要 16通貨のうち円と英ポンド以外の通貨に対して上昇した。対ドルでは1.1267 フランと、前週末の1.1318フランから上昇した。

SIV発行の証券格下げ検討

ムーディーズは、ストラクチャード・インベストメント・ビークル(SIV) と呼ばれる運用会社が発行した証券1050億ドル相当の格下げを検討しているこ とを明らかにした。銀行の貸し渋りが原因で過去4カ月間にSIV3本がデフォ ルト(債務不履行)に陥った。

2日付英サンデー・テレグラフ紙は、ロイヤル・バンク・オブ・スコットラ ンド・グループが信用関連証券およびレバレッジドローンの評価損として最大20 億ポンドを計上する可能性があると報じた。同紙は情報源については明らかにし ていない。

ドルは年初来、主要16通貨のうち15通貨に対して下落している。連邦公開 市場委員会(FOMC)が9月以降、2度の利下げを実施し、米ドル建て資産の 魅力が損なわれているためだ。ドルは今年に入りユーロに対して10%下落し、円 に対しては7.2%値下がりしている。

金利先物市場動向によると、12月11日のFOMC会合でフェデラルファン ド(FF)金利誘導目標が0.25ポイント引き下げられる確率は60%と、0.5ポ イント引き下げられる確率は40%となっている。

○英国債:相場は上昇。2年国債(2009年12月償還、表面利率5.75%)の利 回りは前週末比4ベーシスポイント(bp、1bp=0.01ポイント)低下の4.47%。

価格は0.08ポイント上昇し102.44となった。英10年債利回りは同 6bp低下し4.58%。

金利先物相場からは、政策金利が来年第1四半期中は据え置かれ、 その後低下するとの市場の見方がうかがわれる。金利先物3月限の利回 りは3bp低下して5.78%。6月限は6bp下げて5.35%だった。

○欧州債:相場は上昇。格付け会社のムーディーズ・インベスターズ・サービス が米サブプライム(信用力の低い借り手向け)住宅ローン問題が表面化して以来 最大規模の格下げを準備していることから、安全資産としての国債需要が強まっ た。

銀行間貸出金利の上昇で経済が伸び悩み、欧州株式相場が押し下げられると の見方を背景に、10年債利回りは低下。先週には2週間ぶりの水準に上昇してい た。欧州中央銀行(ECB)は今週、政策委員会を予定。第4四半期入り後のデ ータでは景気拡大のペース減速が示唆されているが、市場では金利据え置きが予 想されている。

ロイヤル・バンク・オブ・カナダ(RBC)の債券ストラテジスト、リチャ ード・マクガイアー氏(ロンドン在勤)は、「もうお馴染みの質への逃避が欧州 債にみられる」と指摘。「金融市場は悪材料に事欠かない。ECBは当面利下げ しないもようだが、それでも国債利回りは低下している」と付け加えた。

ドイツ10年国債利回りはロンドン時間午後5時5分現在、前週末比8ベー シスポイント(bp、1bp=0.01ポイント)下げて4.06%。1日での低下とし ては10月19日以来の最大。同国債(表面利率4.25%、2017年7月償還)の 価格は0.59ポイント上昇の101.44。

2年国債の利回りは同7bp下げて3.77%だった。

--*ニューヨーク・ニューズルーム   (1)(212) 893-3007

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