NY外為:円が上昇、信用市場のリスク上昇でキャリー取引解消(2)

ニューヨーク外国為替市場では円が主要16 通貨に対して上昇した。世界的に信用市場の損失が拡大する可能性があるとの 懸念で、低金利通貨の円で資金を調達し、高金利通貨で運用する円キャリー取 引の解消が進んだ。

米格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスが、サブプライム (信用力の低い個人向け)住宅ローンのデフォルト(債務不履行)問題が金融 市場を震撼させて以来で最大規模の格下げを実施する意向を明らかにしたこと から、豪ドル、カナダ・ドル、南アフリカ・ランド、スウェーデン・クローナ、 ニュージーランド(NZ)・ドルが下落。欧米の株式相場も下げた。

マン・グローバル・リサーチのシニア通貨アナリスト、マイケル・マルピー ド氏(シカゴ在勤)は「信用市場への圧力は今も続いており、状況は好転して いないようだ。リスク回避の傾向がまだあるなら、円はさらに上昇するだろ う」と話した。

ニューヨーク時間午後4時現在、円は対ドルで110円49銭まで上昇。前週末 は11月16日以来安値の1ドル=111円24銭だった。対ユーロでの円は162円 07銭と、前週末の162円82銭から上昇した。

マルピード氏はリスク回避の傾向が続いた場合、円が今月末までに対ドルで 109円に、対ユーロで160円に上昇するとみている。

ユーロは対ドルで1.4667ドルと、前週末の1.4633ドルから上昇した。欧州で 製造業の伸びを示す経済統計が発表されたのが手掛かりだった。

英ポンドは対ドルで2.0655ドルと、前週末の2.0563ドルから上昇。英国購買 部協会(CIPS)が発表した英製造業景況感指数が前月から予想外に上昇し たのがきっかけだった。

キャリー取引通貨

キャリー取引で運用通貨として利用される豪ドルは円に対して1.1%下落し、 NZドルは0.8%下げた。

日本の政策金利は0.5%と、先進国のなかでも最も低い水準にある。オース トラリアの政策金利は6.75%、NZは同8.25%。南アフリカは10.5%に設定さ れている。ブルームバーグ・ニュースがまとめた調査によると、欧州中央銀行 (ECB)が今週6日に開く政策委員会では、政策金利を4%で据え置くとみ られている。

キャリー取引で円と同様、資金調達通貨に使用されるスイス・フランも主要 16通貨のうち円と英ポンド以外の通貨に対して上昇した。対ドルでは1.1267フ ランと、前週末の1.1318フランから上昇した。

SIV発行の証券格下げ検討

ムーディーズは、ストラクチャード・インベストメント・ビークル(SI V)と呼ばれる運用会社が発行した証券1050億ドル相当の格下げを検討して いることを明らかにした。銀行の貸し渋りが原因で過去4カ月間にSIV3本 がデフォルト(債務不履行)に陥った。

2日付英サンデー・テレグラフ紙は、ロイヤル・バンク・オブ・スコットラ ンド・グループが信用関連証券およびレバレッジドローンの評価損として最大 20億ポンドを計上する可能性があると報じた。同紙は情報源については明らか にしていない。

ドルは年初来、主要16通貨のうち15通貨に対して下落している。連邦公開 市場委員会(FOMC)が9月以降、2度の利下げを実施し、米ドル建て資産 の魅力が損なわれているためだ。ドルは今年に入りユーロに対して10%下落し、 円に対しては7.2%値下がりしている。

金利先物市場動向によると、12月11日のFOMC会合でフェデラルファン ド(FF)金利誘導目標が0.25ポイント引き下げられる確率は60%と、0.5ポ イント引き下げられる確率は40%となっている。

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