11月29日の海外株式・債券・為替市場(3)

(NY外為を更新します)

○米国株:下げる銘柄が多かった。シアーズ・ホールディングスの減益決算のほ か、ゴールドマン・サックスが2008年に住宅担保ローンの焦げ付きが倍増する 恐れがあるとの見方を示したことが上値を抑えた。

シアーズ株は2年ぶりの安値を付けた。純利益がアナリスト予想を大幅に 下回ったことが売りを誘った。予想とのかい離はエドワード・ランパート氏が 2005年に同社を買収して以来で最大。米S&L(貯蓄・貸付組合)最大手ワ シントン・ミューチュアルも下げた。ゴールドマンが信用の質が悪化している と指摘したことが売りを誘った。CIBCワールド・マーケッツが目標株価を 引き下げたリーマン・ブラザーズ・ホールディングスも安い。

ニューヨーク証券取引所(NYSE)の騰落比率は2対3。小型株で構成 するラッセル2000種指数は0.5%下落した。一方、S&P500種株価指数は 前日比0.7ポイント(0.1%)高の1469.72となった。小幅ながら3日続伸 は9月14日以来。ダウ工業株30種平均は同22.28ドル(0.2%)高の

13311.73ドル。原油高を背景にエクソンモービルの上昇が寄与した。ナスダ ック総合指数は同5.22ポイント(0.2%)上昇し2668.13で終了した。

センティネル・アセット・マネジメント(バーモント州)で14億ドル規 模の資産運用に携わるダニエル・マニオン氏は「今はまだ個人消費の大幅な縮 小の始まりにすぎない。個人消費の原動力の1つになっていた住宅担保ローン は止まっていないが、いずれ反転するだろう」と述べた。

月間ベースの下落

S&P500種は今月に入り、5.1%下落しており、ダウ平均は4.4%下げ ている。JCペニーやスターバックス、フェデックスが収益見通しを下方修正 したため、リセッション(景気後退)に陥る可能性が意識された。

新規失業保険申請件数は市場予想を上回り、新築住宅価格の中央値は前年 同月比13%下落して21万7800ドルと、1970年以来で最大の下落率となっ た。

小売株の不調

シアーズは11%安。純利益は200万ドル、1株当たりで1セントと、ア ナリスト予想の53セントを大幅に下回った。

住宅関連用品小売り大手の米ホーム・デポは1.4%安と、ダウ平均の構成 銘柄で下落率首位となった。

産業別S&P500種株価指数の「小売り」は年初から14%下落している。 金融市場の混乱と住宅価格の下落により、個人消費が鈍化するとの懸念が背景 にある。ブルームバーグが23日に集計したアナリスト調査によれば、小売株 指数構成銘柄の2008年の収益見通しは平均で0.4%減と、全24産業中で最 も悪い。

ワシントン・ミューチュアルのほか、ファースト・ホライズン・ナショナ ル、ナショナル・シティ、フィフス・サード・バンコープ、サントラスト・バ ンクスも下落した。ゴールドマンは08年に住宅担保ローンの焦げ付きが倍増 する可能性があると指摘した上で、こららの銀行が業績へのリスクが最も大き いとの見方を示した。

信用市場の混乱

ゴールドマンのローリー・アップルバウム氏らアナリストは28日付のリ ポートで「過去1年に住宅担保ローンの焦げ付きが倍以上に膨らみ、返済遅延 が46%増加する中、住宅担保の質が引き続き悪化している」との見解を示して いる。

米リアルティトラックによると、10月に差し押さえ手続きが開始された住 宅物件は前年同期からほぼ倍増した。サブプライム(信用力の低い個人向け) ローンの借り手が変動金利(ARM)型住宅ローンの支払い負担増に対応でき なくなったことが背景にある。デフォルト(返済不履行)通知や競売通知、銀 行による担保権実行を含め差し押さえ手続きに入った物件は22万4451件と、 前年同月比で94%増加した。これは前月比では2%増加だった。

リーマン

リーマンも下落。CIBCワールド・マーケッツのアナリスト、メレディ ス・ホイットニー氏は28日付のリポートで、リーマンの目標株価を95ドルか ら79ドルに引き下げた。過去3週間に「信用市場の動揺が強まっている」こ とを理由に挙げた。併せて、リーマンの収益見通しも下方修正した。

経済指標

米商務省が29日に発表した7-9月期(第3四半期)の実質国内総生産 (GDP、季節調整済み、年率)改定値は前期比年率4.9%増と、過去4年で 最大の伸びとなった。10月の米新築一戸建て住宅販売(季節調整済み)は年率 換算72万8000戸と、ブルームバーグ・ニュースがまとめたエコノミスト予 想の平均(75万戸)を下回った。

24日に終わった1週間の新規失業保険申請件数(季節調整済み)は、前週 比2万3000件増の35万2000件と、9カ月ぶりの高水準となった。ブルー ムバーグ・ニュースがまとめたエコノミスト予想中央値33万人も上回っ た。

モルガン・キーガン(テネシー州)の株式トレーディング責任者、バート リー・バーネット氏は「雇用情勢が軟化しつつあり、再び個人消費の動向に注 目が集まっている」と指摘した。

エクソンモービルとコノコフィリップスがエネルギー株をけん引した。カ ナダ最大のパイプライン会社、エンブリッジのパイプラインで爆発があり、原 油相場が上昇したことが背景にある。

AT&Tは通信サービス株の上げを先導した。ランドール・スティーブン ソン最高経営責任者(CEO)は28日、カリフォルニア州サンタクララでの 会議で、米アップルが音楽機能付き携帯電話「iPhone(アイフォン)」 の第3世代(3G)版を2008年に投入するとの見通しを明らかにした。AT &TはiPhoneの米国での通信サービスを独占的に提供している。

○米国債:相場は上昇。年末を控えた資金需要が高まるなか、銀行が貸し出しを 渋り、金融市場が混乱するとの懸念から安全な米国債へと資金が流入し、3カ月 物財務省短期証券(TB)利回りは8月以来初の3%割れとなった。

1カ月物ドルLIBOR(ロンドン銀行間貸出金利)が急上昇し、この10 年以上で最大の上昇率となった。金利先物市場では来月の連邦公開市場委員会(F OMC)で0.5ポイントの利下げが実施されるとの観測が台頭し、米国債利回り を押し下げた。

メリルリンチのエコノミスト、キャスリーン・ボストジャンシク氏(ニュー ヨーク在勤)は、「貸し渋りが本格的に見られるようになったのは7月だが、こ れが今では深刻さを強め、広く拡大している」と指摘。「大規模な質への逃避が みられる」と付け加えた。メリルはフェデラルファンド(FF)金利誘導目標が 2009年第2四半期末までに2%に低下すると予想している。

ニューヨーク時間午後4時現在、3カ月物TB利回りは7ベーシスポイント (bp、1bp=0.01ポイント)下げて2.96%。一時は2.89%まで下げていた。 10年債利回りは11bp下げて3.95%。

3カ月物TB利回りとLIBORの格差(TEDスプレッド)は12bp拡大 し、8月20日以来最大の2.16ポイント。当時はマネー・マーケット・ファン ド(MMF)が米住宅市場に関連した資産を投げ売り、TBに資金を避難させる 動きが顕著だった。同金利差は今月に入って2倍以上に拡大し、銀行間で資金の 融通が敬遠されている状況をうかがわせている。

LIBOR上昇

英国銀行協会(BBA)によると、ドル建てLIBORは前日比40ベーシ スポイント(bp、1bp=0.01ポイント)上昇し5.23%。これを背景に政府債 への買いが膨らんだ。銀行はこの日から、1カ月の銀行間取引で年末の資金を手 当てできる。

ドル建てLIBORは4.5%に設定されたFF金利誘導目標を72.5bp上 回り、9月18日以来の高水準となった。当日、連邦公開市場委員会(FOMC) は0.5ポイントの利下げを実施した。

RBCキャピタル・マーケッツの債券ストラテジスト、T.J.マータ氏(ニ ューヨーク在勤)によれば、この金利差はコンピューターの2000年問題による システム障害が懸念されていた1999年や、ロング・ターム・キャピタル・マネ ジメント(LTCM)の破たんが金融不安を招いた1998年に匹敵する。

同氏は「あまり気持ちのよい感じではない」と語る。「今の市場の不透明感 はかなり深刻だ。単なる年末の流動性問題では済みそうもない」と述べた。

12月FOMC

シカゴ商品取引所(CBOT)で取引されるFF金利先物相場は、12月11 日のFOMCで0.5ポイントの利下げが決定するとの確率を34%として織り込 んでいる。前日は6%だった。一方、0.25ポイントの利下げの確率は66%と、 前日の94%から予想が後退した。

米国債相場の予想ボラティリティ(変動性)を示すメリルリンチのMOVE 指数は27日に133.4に上昇。2003年9月以来の最高に達した。2-30年物の 米国債店頭オプション取引に基づく同指数は5月15日には統計市場最低の

51.2%を記録していた。

FTNファイナンシャルのポートフォリオ戦略担当上級副社長、ビンセン ト・ボバースキ氏は「確かにLTCM危機と似たような感触だ」と述べた。

メリルリンチによれば、11月の米国債の投資利益は2.74%と、2003年9 月以来の好成績を記録する勢いだ。年初来では8.61%と、2002年以来の高い投 資利益となる可能性が高い。

5年債利回りは前日比9bp下げて3.41%。米財務省が実施した5年債入 札(発行額130億ドル)の結果によると、最高落札利回りは3.415%と、前回 入札(10月25日)の3.993%から低下した。投資家の需要を測る指標の応札倍 率は2.26倍と、前回の2.69倍を下回った。

○NY外為:ドルが上昇。ゴールドマン・サックス・グループがドル の下落が終結しつつあると指摘した一方、銀行の貸し渋りが欧州に波 及するとの懸念を受けて、ドルはユーロとポンドに対しほぼ3週間ぶ りの大幅な上昇となった。

ドル建てとユーロ建ての1カ月物ロンドン銀行間貸出金利(LIB OR)金利が大幅上昇するなか、ドルが上げた。ゴールドマンは、銀行 の信用に応じたリスクプレミアムが縮小する可能性があり、ドルが安定 しようとの見方を示した。

テンパス・コンサルティング(ワシントン)のストラテジスト、マ ーク・メドウズ氏は、「ドル売りが今年は最も容易な取引の一つだった が、現時点では一方的な相場ではなくなっている」と述べた。さらに、 「サブプライム(信用力の低い個人向け)危機が拡大し、他国の中央銀 行も金利を据え置くか引き下げる必要に迫られる可能性が出ていること が明らかになり始めている」と述べた。

ニューヨーク時間午後4時現在、ドルは対ユーロで1ユーロ=1.4739 ドルに上昇。前日遅くは同1.4841ドルだった。これは今月12日以来の 大幅上昇だった。ドルは対英ポンドでは1ポンド=2.0608ドルと、前日 の同2.0823ドルから上げた。ドルは円に対しては前日比0.2%下落し1 ドル=109円86銭。前日遅くは同110円3銭だった。

メドウズ氏は年末までにはドルが対ユーロで1ユーロ=1.45ドルに、 対円では1ドル=113円に上昇すると予想している。

ゴールドマンの見通し

米証券大手ゴールドマン・サックス・グループのチーフエコノミス ト、ジム・オニール氏は、ドルの下落が終局に近づいているとの見方を 示した。

オニール氏は英オックスフォード大学で28日遅く学生らを前に、 「ドルは非常に長期間にわたり下落している。個人的には、1年後には ドルはかなり上昇していると思う」と述べた。

同氏が率いるアナリストのグループはリポートで、「金融セクター の信用懸念が今後数カ月で徐々に緩和する」との見通しを示した。

カナダ・ドルは対米ドルで前日比1.2%下落の1米ドル=99.72カナ ダ・セント。政府報告で、カナダ・ドルの上昇が輸出を圧迫するなか、 同国の経常黒字が4年間で最低水準に減少したと明らかになったことが 嫌気された。

ドルの反発

TDセキュリティーズの主任為替ストラテジスト、ショーン・オズ ボーン氏は「現時点でドルが一段安となるシナリオはそれほど明確でな い」と指摘。さらに、「欧州でサブプライム問題に対する注目が高まり 始めており、英国やユーロ圏の金利低下を示唆している可能性がある」 と述べた。

同氏はドルが来週、対ユーロで1ユーロ=1.46ドルで推移すると予 想している。ブルームバーグがまとめた39人のアナリストとブロカーを 対象とする調査の予想中央値ではドルは来年6月末までに対ユーロでは 1ユーロ=1.44ドル、対円では1ドル=112円となるとみられている。

主要6通貨に対するインターコンチネンタル取引所(ICE)のド ル指数は前日比0.7%上昇し75.625だった。今月23日には74.484と73 年の統計開始以来の低水準を付けた。

バーナンキ米連邦準備制度理事会(FRB)議長は29日、米東部時 間午後6時45分に講演する。28日にはコーンFRB副議長が12月11 日の次回米連邦公開市場委員会(FOMC)で信用市場のひっ迫を見極 める必要があると指摘した後、ドルは対円で1週間ぶりの高値を付けた。

円は29日、主要16通貨中の15通貨に対して上昇した。

○英国債:2年債相場は上昇した。この日発表された10月の住宅ローン承認件 数が2005年2月以来の低水準となったことから、利下げの可能性が高まった。

イングランド銀行は10月の同承認件数が8万8000件と9月の10万件から 減少したと発表した。ブルームバーグがまとめた26人のエコノミスト調査の予 想値では9万5000件だった。

英2年国債(2009年12月償還、表面利率5.75%)の利回りは一時、前日 比で16ベーシスポイント(bp、1bp=0.01ポイント)低下し、05年7月7日 以降で最大の下げを記録した。その後は14bp低下の4.42%で推移。同国債価 格は0.28ポイント上昇し102.54。英10年国債の利回りは11bp低下し4.57% だった。

○欧州債:10年国債相場は急上昇。ドルとユーロ建ての1カ月物ロンドン銀行間 貸出金利(LIBOR)が大幅上昇したことをきっかけに、国債需要が高まった。

信用収縮が続く中、年末を控えて銀行からの資金需要が強まり、ドル建て LIBORは前日比40ベーシスポイント(bp、1bp=0.01ポイント)上昇し た。イングランド銀行は同日、市中銀行向けの資金供給を通常より長い期間で 実施すると発表した。同中銀は12月6日の入札を通じ100億ポンドを供給する。

カリヨンの債券戦略部門責任者、デービッド・キーブル氏(ロンドン在 勤)は、「中銀がこうした短期金融市場の問題を解決するとみな期待してい る」ため、ドイツ国債相場は前日の下落から値を戻したと指摘した。

ドイツ10年国債の利回りはロンドン時間午後4時15分までに、前日比5 bp、1bp=0.01ポイント低下し、4.06%となった。同国債(2017年7月償還、 表面利率4.25%)の価格は0.38ポイント上昇し101.42。またドイツ2年国債 の利回りは7bp低下の3.73%だった。

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