自民・細田氏:公共事業「3%削減」に固執せず柔軟対応を-会見(2)

小泉純一郎政権で官房長官を務めた自民党の 細田博之幹事長代理はブルームバーグ・ニュースの単独インタビューに応じ、政府 の財政運営をめぐり、小泉政権以来続いている公共事業関係費の前年度比3%以 上の削減には行き過ぎがあったとして、福田康夫政権が初めて編成する2008年度 予算案では「3%削減」にこだわるべきではないとの見解を明らかにした。

福田政権は26日に発表した08年度予算編成の基本方針案で公共事業関係 費の同3%削減を堅持する方針を打ち出している。細田氏の発言は、1年10カ月 以内に実施される次期衆院選を念頭に、地域重視を訴える党内の意見を代弁した 形だ。インタビューは21日に行った。

細田氏は、「行き過ぎた削減による不均衡の是正」が必要だと指摘するとともに、 08年度予算案で公共事業費を対前年度比で3%削減するのは「無理があるのでは ないか」と明言。対前年度比で「ゼロにするという話ではないし、昔みたいに3%削減 にするというのでもない」と語り、仮に削減幅を縮小させるとしても、小泉政権が「骨 太の方針2006」で打ち出した同1-3%削減の枠内で、削減幅に余裕を持たせる べきだとの考えを示した。

その上で、政府が08年の通常国会に提出予定の07年度補正予算案と08年 度予算案に地域活性化の施策としてそれぞれ数千億円規模の予算計上を提案し た。自民党地域活性化特命委員会は過疎対策などを柱とする提言をまとめている。

地方配慮の政治判断-飯塚氏

みずほ証券エクイティ調査部の飯塚尚己シニアエコノミストは、公共事 業関係費の前年度比3%削減について「当面守っていくことが財政再建に対 する信頼性の観点からも大事だ」と指摘。その上で、細田氏が述べた削減幅 の縮小に関して「参院選の結果を受けて、地方の現状を考えれば短期的に配 慮していこうという政治判断はあり得るが、マーケットからは『かつての日 本への回帰、改革の停滞』だと受け止められるリスクがある」と語った。

01年4月に就任した小泉首相は「聖域なき構造改革」の名の下、郵政事業民営 化をはじめ道路公団の民営化、国から地方への税源移譲などを柱とする「三位一体 改革」を断行。財政再建と規制緩和を推進した。財政運営では政権発足後初の02 年度予算で公共事業関係費を前年度比10%削減、最後の予算となる06年度予 算まですべて同3%以上の削減幅を堅持した。後継の安倍晋三政権も07年度予 算で同3%削減を実現した。

三位一体改革は間違っていない

細田氏は63歳(衆院島根1区)。小泉政権で官房副長官、官房長官などを歴任 し、郵政事業の民営化などの小泉構造改革の推進に尽力した。地元の島根は国内 でも財政力の弱い県であることから、細田氏は同党地域活性化特命委員会で委員 長代理として大都市偏在が指摘されている法人2税(法人事業税、法人住民税)の 配分見直しなど、地方への配慮を求めた提言の取りまとめの陣頭指揮をとった。

三位一体改革には官房長官として中心的に関与。この改革が地方自治体間の 財政力の格差拡大を助長したとの指摘に関して、細田氏は「三位一体改革が間違 いだったという人がいるが、そうは思わない。筋はよいが、財政再建と一緒になった ので地方にとって厳しい内容になった」と語った。その上で、地域の財政力低下は 「財政再建の副作用」だと断言し、小泉政権が進めた財政再建が生み出した負の遺 産の存在を認めた。

細田氏は、都道府県の歳出(決算ベース)をめぐり、地方の一般歳出がピークだ ったとされる1999年度と05年度を単純比較すると、島根は32.6%と大幅なマイナス となった一方、最も財政力のある東京の一般歳出が8.7%減、愛知は5.0%減、神 奈川県に至っては1.8%減と、都市部の歳出削減幅が軒並み小幅だったと説明。 「今の財政の仕組みは等しくない」と指摘し、地方財政改革の必要性を訴えた。

都市の反乱

07年の参院選では、農家への戸別所得補償などをマニフェストの目玉に据えた 小沢一郎代表率いる民主党が歴史的な圧勝を遂げ、自民、公明の連立与党は過 半数割れに追い込まれた。細田氏は「民主党は地方が不満を持っていることを知っ たから、できるかできないかにかかわらず、おいしいことを言った。現状はあまりにも 厳しいから政権に対する不満が増大し、野党に投票する人が増えた」と総括する。

参院での与野党逆転という「ねじれ国会」の状況下、自民党政権にとってその命 運のかかるのが次の衆院選だ。現行の小選挙区比例代表並立制は、都市部の議 席比率が高いことから、都市部の有権者への配慮も欠かせない。

自民党の地域活性化特命委員会(会長・野田毅元自治相)は11月20日、地方 自治体間の財政力格差の是正を柱とする緊急対策案を策定。現行の消費税率5% のうち、都道府県に配分している地方消費税1%の拡充や都市部への偏在が指摘 される法人2税の配分見直しを提唱している。

「都市の反乱にならない程度にやる。バラマキではなく地方から収奪したものを 元に戻す」-。細田氏はインタビューの締めくくりに、地方活性化への並々ならぬ意 欲を示した。

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE