10月鉱工業生産指数は前月比1.6%上昇-輸送、一般機械など主導(4)

10月の日本の鉱工業生産指数は、9月に 低下した反動もあり、輸送機械や一般機械、電子部品・デバイスなどを中心に 伸び、2カ月ぶりに上昇に転じた。先行きもアジア、欧州、新興国向けなどの 輸出に支えられ、生産は緩やかに上昇傾向を維持する公算が大きい。

経済産業省が29日発表した10月の鉱工業生産指数は前月比1.6%上昇し、

112.1(季節調整済み、2000 年=100)となった。前年同月比では4.7%の上昇 だった。ブルームバーグ・ニュースがエコノミスト42人を対象に調査したとこ ろでは、鉱工業生産指数の予想中央値は前月比1.5%上昇、前年同月比では4.2% 上昇(33人対象)が見込まれていた。

政府の11月の月例経済報告では、生産について「持ち直している」と前月 の判断を維持。米サブプライム(信用力の低い個人向け)住宅ローン問題で金 融資本市場の混乱が続く中、アジアや欧州、中東、ロシア向けの輸出拡大が日 本の生産を支えている。しかし先行きは、米国経済の減速懸念や日本の住宅着 工減少に伴う建設投資の落ち込みなど下押し要因もある。

在庫率が急低下

10月の生産・出荷指数は2000年基準で最高となった。在庫は前月比0.6% 上昇し、在庫率は同5.1%低下した。三菱UFJリサーチ&コンサルティングの 小林真一郎主任研究員は、ブルームバーグ・テレビに出演し、「予想通りの数字 で中身もいい形。出荷が高めの数字が出ている。需要が強くて出荷が伸び、在 庫率が急低下している」と語った。

電子部品・デバイスが5カ月連続で増加したことについて小林氏は、「懸念 されていたIT(情報技術)の在庫調整は完全に終わっていると判断していい」 と言明し、今後の動向については「海外需要がどうなるかがポイント」と指摘 した。

予測指数

四半期でみると、鉱工業生産は7-9月期に前期比2.2%上昇したが、10 -12月期にどの程度の伸びを維持できるかが焦点の一つだった。同時に発表さ れた11月の製造業生産予測指数は前月比1.7%低下、12月は同3.2%上昇が見 込まれている。経産省は、「生産は緩やかながら上昇傾向にある」との9月の基 調判断を維持した。

同省調査統計部の久武昌人経済分析室長は、11月、12月の生産が仮に予想 指数通りに実現した場合、10-12月期は前期比1.7%の上昇になるとの試算を 示した。久武氏は、米国のサブプライム問題に伴う米経済の減速や改正建築基 準法の建設投資への影響など「懸念材料を挙げれば切りはない」とした上で、 現段階では顕著な影響は出ていないとの考えを強調した。

農林中金総合研究所の南武志主任研究員は発表後のリポートで、「貿易統計 など主要な経済指標をみる限り、07年前半は足踏みしていた輸出・生産といっ た景気の主導的な役割を果たす部門が、夏場以降に改善の動きを始め、それが 継続していることが確認できた」と述べた。

自動車は内外需が堅調

10月の生産増加に寄与した自動車・自動車部品は、内外需ともに堅調。輸 出は中近東、北米、アジア向けが伸び、国内では自動車メーカーによる新車投 入効果もあった。さらに7月中旬に発生した新潟県中越沖地震の影響で一時的 に落ち込んだ自動車生産の稼働日を10月に増やす動きもあったという。

懸念されていた改正建築基準法に伴う建設財の減少も、10月には前月比

0.9%上昇し、5カ月ぶりに増加に転じた。ただ、ニッセイ基礎研究所の斉藤太 郎シニアエコノミストは、「建築基準法改正に伴う住宅着工の落ち込みは企業の 生産活動にも影を落としている」と述べた上で、建設財の在庫が7カ月連続で 増加していることに触れ、「建設財の在庫調整は今後、本格化する可能性が高い」 と指摘している。

HSBC証券の白石誠司チーフエコノミストは、「鉱工業生産は少なくとも 年内は堅調に推移するとみられるが、来年1-3月期は米国経済減速の影響で 生産モメンタムは鈍化に転じる可能性が高いとみている」という。

明治安田生命保険運用企画部の大広泰三エコノミストは、「今後の懸念材料 はやはり米国経済だ」と指摘、「日本経済はいまだに外需主導を脱しておらず、 生産が明確な上昇基調に戻るには米国経済の持ち直しが必要で、生産の本格回 復は2008年半ば以降にずれ込む可能性が高い」とみている。

--共同取材:鎌田泰幸、亀山律子 Editor:Hitoshi Ozawa、Yoshito Okubo

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