11月28日の海外株式・債券・為替市場(2)

(米国市場を更新します)

○米国株:大幅続伸。ここ2日間のS&P500種株価指数の上昇率は2002年10 月以来最大。コーン米連邦準備制度理事会(FRB)副議長の発言を受けて、追 加利下げ観測が高まり、金融株を中心に買いが膨らんだ。

シティグループやリーマン・ブラザーズ・ホールディングス、モルガン・ スタンレー、ゴールドマン・サックスはそれぞれ5%を超える上昇率となった。 業種別S&P500種株価指数の「金融」は2002年以来の大幅な上昇率となっ た。オンライン競売最大手のeベイとインターネット通販最大手のアマゾン・ ドット・コムがけん引役となり、ナスダック総合指数は3.2%高となった。サ ンフォード・C・バーンスティーンが両社の第4四半期の収益について「強く なる」との見通しを示したことがきっかけ。

オッペンハイマーのチーフ投資ストラテジスト、マイケル・メッツ氏は 「コーン副議長の発言で米連邦公開市場委員会(FOMC)が継続的な金融緩 和局面に入ったとの見方が高まった。金融危機の最悪期が終わったとの安ど感 もある」と述べた。

S&P500種株価指数は前日比40.79ポイント(2.9%)高の1469.02。 2日間では4.4%高。ダウ工業株30種平均は同331.01ドル(2.6%)高の

13289.45ドル。ナスダック総合指数は同82.11ポイント上昇し2662.91で 終了。ニューヨーク証券取引所(NYSE)の騰落比率は13対1。

コーン副議長はこのところの金融市場の動揺で法人向けおよび個人向け信 用が収縮する可能性があると指摘。先月と比較して景気拡大へのリスクが高ま っているとの見方を示唆したことが買いを誘った。耐久財受注額が3カ月連続 で減少したことも追加利下げ観測につながった。

利下げ確率

フェデラルファンド(FF)金利先物の動向によると、FOMCが12月 11日の定例会合で0.5ポイントの利下げを実施する確率は8%と、前日の 2%から上昇した。利下げ自体は幅はどのようであれ完全に織り込まれている。

フェデレーテッド・インベスターズのチーフ株式市場ストラテジスト、フ ィリップ・オーランド氏は「FOMCがリセッション(景気後退)を回避する ため十分に緩和すれば、株価はこの先1年、上昇するだろう」と語った。

業種別S&P500種株価指数の「金融」は今月、最大16%下落した。サ ブプライム(信用力の低い個人向け)住宅ローン関連の損失が収益を圧迫する との懸念が背景。ブルームバーグが集計したデータによると、同指数を構成す る企業の株価収益率(PER)は26日現在、10.6倍と1995年以来の低水準 となった。

シティとBOAの合併?

シティグループはダウ平均の構成銘柄で上昇率首位となった。ある投資銀 行関係者がシティとバンク・オブ・アメリカ(BOA)の合併を提案したと、 ウォールストリート・ジャーナル紙が報じたことが手掛かり。同紙が事情に詳 しい人物の話として伝えたところによると、シティは非公式の打診を断り、合 併協議は実施されなかったという。

同紙によれば、BOAの広報担当者はいかなる投資銀行家にも過去6週間、 企業に合併などの話を持ちかけることを認めたことはないと述べた。

BOAのほか、リーマンなども上げ、S&P500種の金融株指数は5%高 と、2002年10月以来の大幅高となった。全10業種中で上昇率首位。

ブロードポイント・キャピタルの株式セールスのマネージング・ディレク ター、ビクター・パグリース氏は「打撃の大きかったこれらの株価に割安感が あると指摘するだけで相場は上昇するだろう」と述べた。

シティは10月12日の高値から11月26日までに38%下げ、フィラデル フィア証券取引所のKBW銀行指数の中ではワシントン・ミューチュアルに次 ぐ高い下落率となっていた。

アリエル・キャピタル・マネジメントのチャールズ・ボブリンスコイ副会 長は「シティなどは売り込まれ過ぎていた。主力の投資銀行業務は非常に好調 なため、現在の株価水準は非常に割安だと考えている」と述べた。

米住宅抵当金融投資大手のフレディマック(連邦住宅貸付抵当公社)とフ ァニーメイ(連邦住宅抵当金庫)はS&P500種株価指数の構成銘柄で上昇率 5位に入った。

フレディマックは27日、配当をこれまでの半分に減額するとともに、60 億ドルの優先株を発行する計画を明らかにした。株価は14%高。上場来、19 年間で最高の上昇率となった。

○米国債:2年債が下落。ここ2日間での下げは2003年以来で最大だった。株 式相場の上昇で、比較的安全とみられる国債への需要が落ち込んだ。

午後に実施された2年債入札(200億ドル)の応札倍率が約1年ぶりの低水 準だったことも、売りにつながった。サブプライム(信用力の低い個人向け)住 宅ローン絡みの損失懸念で、国債利回りは過去1カ月間で6年ぶりの大幅な低下 を記録。投資家は入札を避けた可能性がある。

モルガン・スタンレーの金利ストラテジスト、ジェーソン・スティパノフ氏 は、「米国債市場では過去数週間に見られた質への逃避による上乗せ分の巻き戻 しが生じた」語った。

キャンター・フィッツジェラルドによると、ニューヨーク時間午後4時18 分現在、2年債利回りは前日比10ベーシスポイント(bp、1bp=0.01ポイン ト)上げて3.18%。26日は一時、2004年12月以来の低水準となる2.87%を つけていた。2年債価格(表面利率3.625%、2009年10月償還)は6/32下 げて100 26/32となった。

過去2週間、米国債利回りと米国株との動きは一致している。2年債利回り とダウ平均の相関係数は11月13日以来、約0.95、過去1年間の同0.60を大 幅に上回っている。係数1は完全な相関関係を示す。

コーン副議長

コーン米連邦準備制度理事会(FRB)副議長は、このところの金融市場の 「波乱」で法人向けおよび個人向け信用が収縮する可能性があると指摘し、先月 と比較して景気拡大へのリスクが高まっているとの見方を示唆した。

米ロバート・W・バイアードのクレイグ・エルダー氏は、「コーン議長の発 言内容は、一部関係者が抱いている信用損失にFOMCはどう対応するのかとの 懸念を和らげた」と語った。

2年債利回りが過去1カ月間で60bp低下したことも、債券の魅力を損ねた 可能性がある。

米財務省が実施した2年債入札(発行額200億ドル)の結果によると、最高 落札利回りは3.159%と、前回入札(10月24日)の3.723%から低下した。 入札直前の市場予想は3.158%だった。また投資家の需要を測る指標の応札倍率 は2.21倍と、2006年7月以来の最低だった。

財務省は29日に5年債(130億ドル)入札を実施する。現在の5年債利回 りは12bp上昇して3.49%。

10年債利回りは8bp上昇して4.03%。2年債利回りを86bp上回って いる。2年債と10年債の利回り格差は22日に2005年1月以来最大の101bp まで拡大した。

スワップスプレッド

企業が代表的な融資金利に対してどの程度、上乗せして支払うかを示す2年 物金利スワップスプレッドは前日に続き縮小し84bp、ここ1週間での最低だっ た。今月21日には102bpをつけていた。

米国債オプション価格に基づいて算出するメリルリンチのMOVE指数は前 日133.4に上昇した。今年5月15日には過去最低の51.2を記録していた。

金利先物市場動向によると、12月11日のFOMC会合でフェデラルファン ド(FF)金利誘導目標が0.25ポイント引き下げられる確率は94%。0.5ポイ ント引き下げられる確率は6%と、前日の2%から上昇した。

○NY外為:円が続落。ここ2日間の円の対ドル下落率は過去3年で 最大だった。世界の株価上昇で、円キャリートレードが復活したこ とが背景だった。スイス・フランも下落した。

円とスイス・フランはともに、キャリートレードの投資先として選 好されるブラジル・レアルと南アフリカ・ランドに対して最も下げた。 コーン米連邦準備制度理事会(FRB)副議長の28日の講演で追加利下 げ見通しが強まったことから米株価が上昇し、投資家はキャリートレー ドを拡大した。

INGファイナンシャル・マーケッツの自己勘定取引ディレクター、 マシュー・カッセル氏(ニューヨーク在勤)は「世界的な株価上昇でリ スク志向とともにキャリートレードが誘発され、これが円の下落要因と なった」と指摘。さらに、「投資家は円売りのしっかりした動きを確認 し、乗り遅れないよう追随した」と述べた。

ニューヨーク時間午後4時3分現在、円はドルに対して前日比1%下 落し、1ドル=110円10銭。前日とこの日の2日間の下落率は2004年 5月以来最大だった。円は対ユーロでも前日比1%下げ、1ユーロ=163 円30銭と続落した。

円は主要16通貨すべてに対し下落。なかでも、ブラジル・レアルに 対しては4.1%安となった。スイス・フランは対ブラジル・レアルで

3.8%下げた。

ドルはユーロに対しては前日比ほぼ変わらずの1ユーロ=1.4831ド ル。一時は前日比0.8%高となる場面もあった。

リスク志向復活

カリヨン証券のシニア通貨ストラテジスト、ジョナス・スリン氏は 「リスク志向が幾分戻りつつあるようだ」と指摘。同氏は投資家がキャ リートレードを継続すれば、円は対ドルで今週、1ドル=110円90銭に 下落し、来月には同115円まで下げる可能性があるとの見方を示した。

米株価は金融株主導で続伸。ここ2日間の上昇率は過去5年間で最 大だった。

過去1カ月間に円はドルに対し3.7%上昇、オーストラリア・ドル に対しては7%高、ブラジル・レアルに対しては4.3%上げた。サブプ ライム(信用力の低い個人向け)住宅ローン関連の評価損に関する発表 を受けてS&P500種株価指数が約5%の大幅下落となったことが背景 だった。

金融分野の「波乱」

コーンFRB副議長がこのところの金融市場の「波乱」で法人向け および個人向け信用が収縮する可能性があると指摘し、追加利下げを予 想していることを示唆した。これを受けて円の下落が加速した。

午後2時にはFRBが地区連銀経済報告(ベージュブック)を発表。 この発表後、ドルは対ユーロでの上昇分を縮小した。ベージュブックは 「調査が実施された10月から11月中旬にかけて、景気は引き続き拡大 したものの、そのペースは減速した」と指摘。また、ベージュブックに よると、賃金圧力は「変わらず」。一方、食品とエネルギーを除く最終 財とサービス価格に対する圧力は「引き続き緩やかだった」。

フェデラルファンド(FF)金利先物相場は、12月11日のFOM Cで政策金利が4.25%に引き下げられる確率を100%とする市場の見方 を示唆している。

○英国債:2年国債相場は下落。株価の上昇でリスク志向が復活した ことから、2年債は1カ月半ぶりの大幅な下げとなった。

イングランド銀行の当局者発言で利下げ観測が後退したことも英国 債の売り材料となった。FTSE株価指数は過去1週間で初の上げに転 じ、リスク志向が復活した。

2年債利回りは前日比14ベーシスポイント(bp、1bp=0.01ポイ ント)上昇の4.56%。同国債(2009年12月償還、表面利率5.75%)価 格は同0.27ポイント下落し102.27。また英10年債利回りは同8bp上 昇し4.67%となった。

英政府は20億ポンド(約4670億円)相当の国債(2042年償還)を 入札。当局の発表によると、平均利回りは4.4%、応札倍率は1.82倍だ った。

○欧州債:2年国債相場は過去3カ月で最大の下落となった。世界的に株式相場 が回復したことから国債の需要が減退した。

ABNアムロ・ホールディングのストラテジスト、ジェイソン・シンプソン 氏(ロンドン在勤)は、「株式相場が上昇し、これが欧州債の下押し圧力となっ ている。米国の感謝祭直前に安全投資先として国債に大量の資金が流入したが、 今はそれが流出している」と語る。

ドイツ2年国債の利回りはロンドン時間午後5時10分までに、前日比12ベ ーシスポイント(bp、1bp=0.01ポイント)上昇し、3.80%となった。1日の 上げとしては8月22日以降で最大。同国債(2009年9月償還、表面利率4%) の価格は0.21ポイント下落し100.33。またドイツ10年国債の利回りは8bp 上昇し4.11%。

欧州中央銀行(ECB)が発表した10月のユーロ圏マネーサプライ(通貨 供給量)拡大M3(現金、要求払い預金、定期貯蓄性預金、投資信託の一部)が 季節調整済みで前年同月比12.3%増加した。伸び率は過去約28年で最大となっ たほか、ブルームバーグ・ニュースがエコノミスト35人を対象にまとめた調査 中央値(11.5%増)を上回ったことから、ユーロ圏の利下げ余地が縮小した。

クレディ・スイス・グループの債券ストラテジスト、カーステン・リノウス キー 氏(チューリヒ)は、M3について「ECBに利下げ余地を与えるものでは ない。短期債相場上昇の可能性は低い」と語った。

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