日本株は後半失速、銀行や輸送機中心に小安い-米金融損失警戒(2)

午前の東京株式相場は小反落。米サブプ ライム(信用力の低い個人向け)住宅ローン問題による追加損失懸念が内外で くずぶる上、内需低迷による収益懸念から三井住友フィナンシャルグループな ど銀行株が反落。米景気懸念でトヨタ自動車など輸送用機器株も軟調、原油価 格下落で大手商社株、セブン&アイ・ホールディングスなど小売株も安い。

三菱UFJ投信運用戦略部の石金淳シニアストラテジストは、「米金融機 関の米サブプライム関連損失が出尽くすには時間がかかると予想され、今後も 損失拡大傾向は続きそうだ」との見解を示唆。特に日本の銀行株には、内需の 弱さも下げの背景にあり、「雇用や所得が伸びない中での製品値上げラッシュ で、景気はミニ・スタグフレーション状態にある」(同氏)と指摘した。

午前の日経平均株価は前日比43円40銭(0.3%)安の1万5179円45銭、 TOPIXは1.39ポイント(0.1%)安の1477.39。東証1部の売買高は概算 で9億5432万株、売買代金は同1兆1218億円。値上がり銘柄数は748、値下 がり銘柄数は836。

東証業種別33指数の騰落状況は、値上がり業種が18、値下がり業種が15。 鉄鋼、化学、不動産、その他金融、電気機器が高い。半面、銀行、輸送用機器、 陸運、機械、小売りなどが安い。

朝方後に失速、様子見ムード強い

朝方は為替の円安傾向や米シティグループの資本増強による金融市場の安 定から小高く始まったものの、午前半ばから早くも失速した。日経平均は今月 中旬以降、取引時間中の高値が1万5300円前後にとどまる日が続いている。 27日の1万5312円に続き、午前も1万5280円で頭打ちとなった。

東洋証券の児玉克彦シニア・ストラテジストによれば、「日経平均が8月 安値1万5262円近辺に接近すると、戻り売り圧力が強くなる。当面は時間を かけて売りをこなす必要がありそうだ」という。

売買高も盛り上がらなかった。午前の売買高は27日終日の41%。売買代 金は同38%の水準で、市場の様子見ムードが顕著だった。28日の米国時間に は10月耐久財受注や10月中古住宅販売、ベージュブック(地区連銀経済報 告)、29日は10月新築住宅販売件数などが控える。「今週は注目経済指標が 多いだけに、外部環境をにらみながの展開になりそう」(日興コーディアル証 券エクイティ部の西広市部長)との声が聞かれた。

銀行株が安い

下げをリードしたのは銀行株だ。住宅金融で米2位の銀行ウェルズ・ファ ーゴが27日の通常取引終了後、ホームエクイティローン関連の損失拡大を理 由として2007年10-12月期に税引き前で14億ドル(約1530億円)の引当金 を計上すると発表。時間外取引で株価が4%超の下落となるなど大幅安となっ た。また国内でも、農林中央金庫が10月末で米サブプライム関連損失が1057 億円に達したと発表した。

一方、27日に発表された11月の月例経済報告では、完全失業率が2カ月 連続で悪化していることを踏まえて雇用の判断は3年2カ月ぶりに下方修正さ れた。三菱U投信の石金氏は、「日本の経済構造では雇用・賃金が上昇しない 限り内需は伸びない」と分析。労働者の7-8割を占める中小企業の景況感の 悪化がその原因になっているとした。あす29日には、11月の商工中金の中小 企業月次景況観測の発表がある。

内需低迷と米サブプライム関連の追加損失不安から業績懸念が払しょくで きず、銀行は大手金融グループを中心に売りが増加。景況感悪化でファースト リテイリングや丸井グループなど小売株も軟調となった。

輸送用機器も軟調、ゲオは急落

外国為替市場は円安傾向にありながら、輸送用機器や機械など輸出関連の 一角が安くなった。米コンファレンス・ボードが27日に発表した11月の米消 費者信頼感指数は87.3と、ブルームバーグがまとめたエコノミストの予想中 央値91.0を下回った。住宅価格の低下や原油価格の高騰は米経済に対する中 期的な懸念を強める要因となっており、トヨタ自動車やホンダが3日ぶり反落、 コマツは続落となった。

このほか、2007年度の薬価調査で製薬会社が実際に販売した医薬品の値段 が公的薬価を平均6.5%下回っていたことが明らかになり、武田薬品工業やエ ーザイなどの医薬品株が下落。日興シティグループ証券が「中立」に格下げし たゲオ、大和総研が投資判断を引き下げた長谷川香料もそれぞれ急落した。

GS注目銘柄がにぎわう

半面、高い競争力などから中期的な成長が期待できる銘柄としてゴールド マン・サックス証券が機関投資家向けに注目姿勢を見せた銘柄の1つであるイ ビデンが急反発。同じく堀場製作所、安川電機なども東証1部の上昇率上位と なった。

がん領域の抗体医薬品の創製で実績を持つ米アジェンシス社を買収するア ステラス製薬が反発。オーストリアの高級ピアノメーカーであるベーゼンドル ファーを推定1500万ユーロ前後(約25億円)で買収することで合意したと28 日付の日本経済新聞朝刊が伝えたヤマハは3日続伸し、第3四半期(2-10 月)累計の連結営業利益が前年同期比18%増と伸びたピジョンも堅調。UBS 証券が投資判断を引き上げた横浜銀行は3連騰。

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