月例報告:雇用3年ぶり下方修正、輸出は上方修正-基調判断維持(2)

大田弘子経済財政政策担当相は27日夕、 11月の月例経済報告を関係閣僚会議に提出した。完全失業率が2カ月連続で悪 化していることを踏まえ、雇用の判断を3年2カ月ぶりに下方修正する一方、 輸出は3カ月ぶりに上方修正した。総括判断は「このところ一部に弱さがみら れるものの、回復している」との表現を3カ月連続で踏襲。総括判断自体は1 年間通して維持した。

雇用情勢については「厳しさが残る中で、このところ改善に足踏みが見ら れる」と指摘、前月10月の「厳しさが残るものの、着実に改善している」から 判断を引き下げた。完全失業率が8、9月と2カ月連続で悪化し、特に9月は 今年3月以来となる4.0%をつけた。

大田弘子経済財政相は会議後の会見で、雇用判断を下方修正したことに関 連し、「雇用は比較的順調に回復してきたので、足踏み感だとみている」と述 べながらも、雇用悪化の背景には零細・中小企業で「原油高・素材高による収 益の圧迫が雇用を下押ししている」との認識を示した。さらに原油高が中小企 業の収益を圧迫する状態が「しばらく続く」と語った。

最近の雇用環境の特徴として、内閣府政策統括官付参事官の西崎文平氏は、 零細企業の雇用減少が続いている一方、大企業は増加していると指摘。その背 景には、零細企業が原油など原材料価格上昇を製品価格に転嫁できないため、 収益や業況感が悪化していることが響いているという。従業員5人以下の零細 企業を含めた9月の雇用者数は5491万人と、前月から0.7%減少した。

輸出については「増加している」として、前月の「緩やかに増加している」 から判断を上方修正した。アジア、欧州向けを中心に輸出が拡大している中、 数量ベースでは対米輸出も9月に盛り返している。7-9月期の国内総生産(G DP)1次速報では、輸出から輸入を差し引いた純輸出(外需)の成長率寄与 度は前期比0.4%と、4-6月の0.0%から大幅上昇、外需依存の姿が鮮明にな っている。

住宅投資については前月と同様、「このところ減少している」との表現で 判断を据え置いたが、7-9月期のGDP1次速報で住宅着工の減少がGDP 成長率を0.3ポイント押し下げたことを勘案し、通常は入れない総論の見出し に明記した。

大田経財相によると、関係閣僚会議の席上、冬柴鉄三国土交通相が業界団 体へのヒアリングを通じて建築着工に改善の兆しが見られ、住宅着工とともに 上向く可能性があることを説明したという。一方、大田経財相は、「当面は法 改正の影響が続くと考えられるので、住宅建設の動向はしっかり注視していき たい」と慎重な姿勢を示した。

先行き警戒感強める

景気の先行きについては「企業部門の好調さが持続し、これが家計へ波及 し、国内民間需要に支えられた景気回復が続くと見込まれる」として、前月の 表現を維持。一方で、「サブプライム(信用力の低い個人向け)住宅ローン問 題を背景とする金融資本市場の変動や原油価格の動向が内外経済に与える影響 等には留意する必要がある」とし、サブプライム問題や金融市場の変動につい て明記し、先行きの警戒姿勢を強めた。

大田経財相は先行きについては、「このところの株安、円高、原油高は日 本経済にといって大きなリスク要因と考えられる」と述べた。

内閣府の西崎氏は「為替や株価の変動、原油高が日本経済に影響を与えか ねない」と述べ、米国経済の動向を含めリスク要因について「今まで以上に注 視しなければならない」と説明した。

11月の月例経済報告では、個人消費は「おおむね横ばいになっている」、 設備投資は「このところ弱い動きが見られるものの、基調として増加している」、 生産は「持ち直している」として、いずれも前月から判断を据え置いた。

現在の景気拡大は2006年11月で「いざなぎ景気」を超え、この11月で戦 後最長の70カ月(5年10月)となる。

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