三洋電:電池や環境で脱「総合電機」-新中計3年で営業益を倍増(5)

経営再建中の三洋電機は27日の9月中間 決算発表に併せ、2009年3月期から3年間のマスタープラン(中期経営戦略) を公表した。世界トップシェアを持ち、携帯電話やパソコンなどへの需要拡大 が期待できるリチウムイオン電池などへの注力で収益力を強化。今期500億円 の見込みの連結営業利益を11年3月期には900億円、可能なら1000億円に引 き上げる、との内容が骨子だ。

大阪市内で会見した佐野精一郎社長は、この戦略実現後には「世界的なエ クセレントカンパニーを目指す」と意欲を示した。今後は「総合電機にはこだ わらない」とも言明。環境やエネルギー面での先進メーカーという、従来から 掲げる企業像の追求で収益確保を図る方針を強調した。

売上高目標は2兆2500億円(今期見込みは2兆2300億円)。事業別では、 電子部品、半導体などエレクトロニクス部門が1兆2000億円(今期見込み比 25%増)、充電池や太陽電池などエネルギー部門が6000億円(同50%増)、 家電など環境部門が6000億円(同10%増)となっている。

3年間の設備投資は3500億円を予定。うち1000億円はリチウムイオンな どの充電池、800億円は太陽電池に、それぞれ充てる。三洋の設備投資は今期 までの3年間で約2500億円と、経営不振を背景にその前の3年間から600億 円抑制していた。

佐野社長は有利子負債残高が来年3月末で5300億円と、経営不振に苦し んでいた05年9月末時点よりも7200億円圧縮できる見込みであり、負債残高 は11年3月期まで、来年3月と同水準を維持する方針だと語った。

さらに2万人規模の人員削減を行いリストラが一巡したこともあり、3500 億円の投資ねん出は事業構造の改善に伴う営業キャッシュフローなどを原資に 「現在の経営体力で十分賄える」と述べた。

今期営業利益予想を上方修正

9月中間期では原材料価格の高騰に見舞われたものの、電池やデジタルカ メラが健闘、コスト削減効果も加わり、営業利益は同50%増の238億円となっ た。これを受け通期業績予想で営業利益のみを上方修正し、従来予想の450億 円から前期比0.9%増の500億円に増額した。

クレディ・スイス証券の田端航也アナリストは、通期営業益予想の上積み を「ポジティブ」だとしたうえで、11年3月期の同利益目標を「可能であれば 1000億円以上」に設定したことを「従来から考えられていたベストシナリオ だ」と評価した。

田端氏は、今後の株価材料としては「営業損益の推移よりも財務戦略が重 要になってくる」とも指摘。今年2月から取り組んでいる単独決算の訂正問題 を「今期中にクリアする必要がある」と述べた。さらに利益準備金が9月末現 在で6173億円のマイナスである事実を指摘、「ここを黒字化させないと、配 当原資も出ない」と語った。

電池、そしてグローバル

中期戦略の概要によると、充電池の11年3月期売上高は今期見込み比 20%増が目標。事業強化の一例として、ハイブリッド電気自動車(HEV)向 け電池について15年度に世界シェア40-45%を目指す。太陽電池は、11年3 月期の生産能力を現状の2.5倍に拡大、売上高は2.1倍にする方針。

一方、売却交渉が10月に決裂した子会社の半導体事業については、200億 円程度の出資を行って財務体質を補強。11年3月期の売上高は今期見込み比 5%増、営業利益は今期目標の10倍に当たる100億円程度を目指す。第1四半 期(07年4-6月)は赤字だった。9月中間期では「かろうじて黒字を確保し た」(広報担当者の大岩明彦氏)状態。

また、OEM(相手先ブランドの生産)を除いた「三洋ブランド」の製品 売り上げを戦略期間中の3年間で27%増の9300億円にする計画。海外での販 売を今期見込みの3700億円から5700億円に増やす一方、国内販売は3600億円 と横ばいを想定。この結果、自社ブランドでの販売比率は国内外の逆転が鮮明 になる。

佐野氏は、不採算を理由に報道ベースで撤退が取りざたされ続けてきた家 電の白物事業について「撤退の考えは毛頭ない」と断言。環境重視型の製品開 発などで継続する意向を強調した。

GSなどの支援、3年は不変

三洋電については昨年3月の増資引き受けで再建原資3000億円を提供し た米ゴールドマン・サックス(GS)、大和証券SMBC、三井住友銀行が、 投資回収目的で、非中核事業の売却を進めている。いったん進めた半導体事業 の売却交渉は不調に終わり、現在は京セラへの携帯電話事業売却で交渉中。

この金融3社のバックアップが、今後の経営戦略でもポイントになる。佐 野社長は、すでに中期戦略の内容を3社に説明したと強調。少なくとも戦略実 行中の3年間は「安定株主として全面的に支援いただけるとの確約を3社のト ップから取っている」と語り、出資引き揚げなどはあり得ないと強調した。

携帯売却は「最終局面」

佐野社長はまた、京セラへの携帯電話事業売却交渉が「最終局面」にある と説明。今期末までの交渉妥結を目指す考えを示した。関連して、今期の同事 業黒字化と世界での出荷台数「1000万台」の達成に注力する姿勢を示した。

ただ、前田孝一副社長(三井住友銀出身)は7月末の決算会見で、今期の 携帯出荷について「1100万台いけるかどうかという感じだ」と述べており、今 回、出荷計画を事実上下方修正した形。前田氏は27日の会見では、今期の収 益予想に携帯電話事業の売却益は織り込んでいないことを明らかにしている。

また佐野氏は決算訂正問題について「12月中には過年度決算の訂正を公表 できると考えている」と述べた。

三洋電の株価は、午後2時前に発表内容が伝わって急騰、一時前日比18 円(10%)高の195円まで買われた。終値は同15円(8.5%)高の192円。

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