エプソン社長:ディスプレー事業を抜本リストラ-拠点整理、配置転換

セイコーエプソンは、携帯電話向けなど の中小型液晶ディスプレー事業について、拠点の整理や人員の配置転換による コスト削減など抜本的なリストラ策を実施する。一部事業売却の可能性も排除 せずに検討する構えだ。液晶パネルを柱とする電子デバイス事業は今期(2008 年3月期)に3期連続の連結営業赤字に陥る見通しになっている。

花岡清二社長は20日、長野県塩尻市でブルームバーグ・ニュースのイン タビューに応じ、ディスプレー事業について「売り上げがシュリンク(縮小) しているので、今の体に合った服にするのは痛みを伴うこともしなくてはなら ない。事業を例えば3分の2にするなら人員も3分の2を目安に考えなくては いけない」と述べた。そのうえで、「ありとあらゆる考えられる手をやらない と大変な事業」と語った。

電子デバイスの営業損益は、期初に中間期は20億円の赤字、通期では収 支均衡を見込んでいたが、中間期実績は94億円の赤字(前年同期は83億円の 赤字)となり、通期予想も200億円の赤字(前期は261億円の赤字)に下方修 正した。

花岡社長は、ディスプレー事業の反省として「携帯電話の数社に膨大な量 を流していた」点を挙げ、携帯電話だけでなく、車載やPDA(携帯情報端 末)など向けにも顧客の幅を広げることで、現在約7割の携帯電話向けのディ スプレーの比率を早期に5割程度に引き下げる方針を示した。

大和総研の光田寛和アナリストは、ディスプレー事業はすでに過去数年間 の構造改革で固定費を落としており、収益の抜本改善は「現時点でのオペレー ションを継続する限り期待するのは困難」と指摘。そのうえで、年度内に発表 する構造改革計画では「中小型ディスプレー事業からの完全撤退を含めたアク ションが視野に入ってくることが求められる」と述べる一方、事業売却を決め ても「買い手が存在するかどうかも問題」とみている。

電子デバイス事業はエプソンの連結売上高の約3割を占め、プリンターな どの情報機器に次ぐ主力事業。中でもディスプレーは電子デバイスの約6割で、 同事業の柱となっている。調査会社ディスプレイサーチによると、エプソンの 子会社であるエプソンイメージングデバイスは2006年の携帯電話メーンディ スプレーのシェア(数量ベース)で12%と世界2位だった。

提携、M&Aも

同社は3月に、ディスプレー事業の構造改革を発表。不振が続く中小型液 晶ディスプレー事業については、保有する4つの技術に経営資源が分散する結 果となったことを敗因とし、今後は効率化と高付加価値化により収益性改善を 図るとしてきた。

具体的には、携帯電話のディスプレーに広く使われているアモルファスT FT(薄膜トランジスタ)と高精細ディスプレーのLTPS(低温ポリシリコ ン液晶)の2つの技術に経営資源を集中。採算の良くない「MD-TFD液晶 ディスプレー」は今期中に終結、「カラーSTN液晶ディスプレー」は事業を 海外に全面移管する方針。

収益改善の鍵の一つは固定費の削減。数量の減少が続くカラーSTNとM D-TFDは拠点整理や人の異動を進める。一方の情報関連機器事業は好調で、 「カラリオ」など一般消費者向けインクジェットプリンターだけでなく、今後 はインクジェット技術を応用したカラーフィルター製造装置などの産業分野を 強化する。このため、情報機器分野は「忙しくなってきており、人の要求もあ る」(花岡社長)として、人員異動はスムーズにできるとの見通しを示した。

残るディスプレー技術の一部または全部の売却に関して花岡社長は、あら ゆる事業には「自分自身でやるか、コラボレーション(提携)でやるか、M& A(合併・買収)」の3つの選択肢があると述べ、部内では「どの位置でやる か、立ち位置を用意しろと言っている」と説明。「液晶事業もこの3つのうち で将来何が起きてくるか、また見ていてくれればと思う」と述べ、踏み込んだ 改革の可能性にも触れた。そのうえで「大枠のフレームワークは今期中には是 非示したい」と語った。

ディスプレー事業について、野村証券金融経済研究所の和田木哲哉シニア アナリストは「製品競争力、コスト競争力の欠如に大きな懸念を持っている」 と指摘、「今後、事業売却などの思い切った処断が下される可能性がある」と みている。

エプソンの株価午前終値は前日比110円(4.5%)安の2315円。7月6日 の取引時間中に年初来高値の4320円を付けて以来、下落率は46%に及んでい る。

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