サブプライム懸念の円高、107円と104円が攻防線-急騰後は急落も

米サブプライム(信用力が低い個人向け) 住宅ローン問題を背景に、円・ドル相場は当面のヤマ場とされた1ドル=108円 前後を先週末にあっさり突破した。ドル安圧力が根強い中、市場では107円前 後と104円台前半が次の節目とみられている。

米国のサブプライム層を中心とした住宅ローン延滞率の上昇や、最近16年 間で最悪の米住宅不況を受け、米欧金融機関などで関連投資の評価損が拡大し ている。投資家はリスク回避姿勢を続けており、ドル売りの対象は円やスイス・ フランといった低金利通貨にまで波及。円は足元で、他の主要通貨よりもドル 売り圧力を強く受けやすくなっている。

ドルは23日に対ユーロで一時、1ユーロ=1.4967ドルと、1999年1月の ユーロ導入以来の最安値を更新。ただ、円に対しても2005年6月以来となる107 円55銭まで売られ、週間では2.5%も下落した。ユーロと円の対ドル上昇率は、 年初来でそれぞれ13.4%と9.7%。3.7ポイント差だ。10月末時点では同9.8% と3.0%で、6.8ポイント差だった。

107円と104円

チャート分析に詳しいドイツ証券の大西知生ディレクターは先週、円・ド ル相場は108円前後が重要な攻防ラインと指摘していた。23日に107円台まで 円高が進んだため、市場では次の重要な節目は「106円98銭」(バンク・オブ・ アメリカの藤井知子日本チーフエコノミスト兼ストラテジスト)との見方が出 ている。05年1月の円高値101円68銭から今年6月の124円13銭までの円下 落幅を、フィボナッチ級数で節目の1つとされる76.4%戻した水準だからだ。

円がこの水準を突破した場合には、104円台前半が焦点となる。ドイツ証券 の大西氏は26日付のリポートで、05年5月につけた円高値104円20銭を重要 な節目と位置づけた。これは同年3月の103円65銭とともに、相場が下落基調 に転じる兆候とされる「ダブルトップ」を形成した水準だ。

大西氏は、3カ月後の円・ドル相場見通しを108円から102円に変更した。 重要な上値抵抗線としていた108円を上抜けしたためだ。06年5月の円高値が 108円99銭で、95年4月につけた過去最高値79円75銭と05年1月の円高値 101円68銭を結んだ長期的な上値抵抗線も108円前後に位置していた。

急騰後は急落も

もっとも、足元の円高・ドル安は、積極的な円買いというよりは、米景気 の大幅な減速懸念などを背景としたドル売りによるものだ。円が短期間に大幅 上昇した場合には、行き過ぎの反動から急落する可能性も否定できない。

BOAの藤井氏は、円が日本発の材料で持続的に上昇する理由には乏しい と指摘する。同社は、米国の実質成長率が10-12月期から2四半期続けて年率 1%未満に低下し、米連邦準備制度理事会(FRB)が計0.75ポイントの追加 利下げを実施すると予想している。

JPモルガン・チェース銀行の棚瀬順哉FXストラテジストは、円は心理 的な節目である105円程度まで上昇する可能性があると指摘する。円・ドル相 場は基本的には、FRBの金融政策に敏感な米2年債利回りとの相関性が高い ものの、当面は投資家のリスク回避姿勢の影響が勝るとみているためだ。

ただ、同行の分析によると、105円の円・ドル相場と整合的な米2年債利回 りは2.9%前後。足元では3.1%台だ。FRBの利下げ予想がさらに大幅に高ま らない限り、105円の円高定着は金利面からは正当化が難しいという。このため、 円が105円程度まで急騰した場合には、むしろ急反落する可能性が高まると、 棚瀬氏は予想する。

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