米債投資家に朗報、米景気は減速-「残念ながら」リセッションは回避か

米国債投資家にとって、同国の景気減速 は良いニュースだ。しかし債券投資家にとっては残念だが、減速はリセッショ ン(景気後退)にまでは至らない公算だ。

米国債相場への強気派も、10年債利回りが既に、リセッション入りしな い限りこれ以上は下がらない水準まで下がったと認識している。ブルームバー グ・ニュースが1-8日にかけて実施した調査で、2008年末までに米経済が リセッション入りすると予想したエコノミストは皆無だった。

バンク・オブ・アメリカ(BOA)のシニアエコノミスト、ピーター・ク レッツマー氏は「相場は極端な事態を織り込んでいる」として、「金融市場の 見方と実際の景気の動きは二極分化している」と指摘した。

10年債利回りは先週、05年以来で初めて4%を割り込んだ。ブルームバ ーグの調査によると、プライマリーディーラー(米政府証券公認ディーラー) は10年債利回りが年末までに4.325%に上昇すると予想している(21社の中 央値)。予想通りなら、投資家にとっては2.21%の損失となる(ブルームバ ーグのデータ)。メリルリンチの指数によると、利回りが5.3%まで上昇した 6月以来の10年債投資リターンは12%。

米連邦公開市場委員会(FOMC)は20日、08年の米成長率は1.8-

2.5%との予想を示した。ブルームバーグの調査での中央値によれば、今年は

2.1%成長、08年は2.4%が予想されている。

債券投資家が恐れるのは、景気減速を受けて米金融当局が利下げをし、イ ンフレ加速を招くことだ。貿易加重ベースのドル相場は年初来12%下落、原 油は61%上昇し、インフレをあおっている。10月の米消費者物価指数(CP I)は前年同月比3.5%上昇と、06年8月以来の大幅上昇だった。

スタグフレーション

成長減速とインフレ加速が同時に起こるスタグフレーションに、米経済が 前回陥ったのは1970年代のことだ。10年債利回りは1980年までに10.3% (1971年末は5.89%)に達した。

債券ファンド最大手、米パシフィック・インベストメント・マネジメント (PIMCO)のファンドマネジャー、ポール・マカリー氏は、米経済は現在 「一種の」スタグフレーションに陥っていると思うとして、「インフレはドル 安や原油高という米金融当局には左右できない要素によって輸入されたものだ。 一方、米景気は弱含んでいる」と解説した。同氏はFOMCがフェデラルファ ンド(FF)金利の誘導目標を現行の4.5%から、3%未満にまで引き下げる と予想している。

投資家のインフレ期待は高まっている。10年物インフレ連動債(TIP S)と10年債の利回り格差(ブレークイーブン・レート)は2.4ポイントと、 9月5日の2.2ポイントから拡大している。ブレークイーブン・レートは債券 の年限における年平均のインフレ率予想を反映している。

13社が12月据え置き予想

バークレイズ・キャピタルの金利ストラテジスト、マイケル・ポンド氏は 「比較的良好な景気」は債券相場が下落する公算が大きいことを意味するとし て、「基本的に、市場金利はもっと高くあるべきだ」と述べた。バークレイズ は10年債利回りが4.6%、2年債が4%(先週は3.08%)に上昇すると予想 している。プライマリーディーラーのなかで、同社を含め13社が12月の金利 据え置きを予想している。

先週は、米国のサブプライム(信用力の低い個人向け)住宅ローン問題の 影響拡大を当局が抑えられないとの懸念から、10年債(表面利率4.25%、 2017年11月償還)価格は一時、額面1000ドルに対して15.94ドル上昇した。 10年債利回りは週ベースで17ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低 下し、4%。2年債利回りは26bp低下した。

10年債利回りはFF金利の誘導目標4.5%を50bp下回った。1989年以 降に10年債利回りが政策金利を下回ったのは3回で、米金融当局はそのたび に利下げをしている。1989年と2000年には、その後1年以内に米経済はリセ ッション入りした。1998年はリセッションを回避した。

ローゼンバーグ氏

プライマリーディーラーのなかで最も債券に強気なエコノミスト、メリル リンチのデービッド・ローゼンバーグ氏は、09年6月までに米政策金利が 2%まで引き下げられると予想。「一時的な金融市場の動揺に伴う軟調局面と 考えるか、はるかに底の深いものと考えるかの違いだ」と述べている。

フェデレーテッド・インベスターズのシニア・ポートフォリオマネジャー、 ジョゼフ・バレストリノ氏によれば、米国債相場の上昇を止めるには成長を示 唆する指標が1つでも出れば十分だ。今週発表の指標では、7-9月(第3四 半期)の米国内総生産(GDP、改訂値)成長率が上方修正される見通しだ。

FF金利誘導目標と、10年債・2年債の利回りについてのプライマリー ディーラー調査の結果は以下の通り。調査は11月16-23日にかけて実施した。

会社名                 FF金利   2年債    10年債
BNP Paribas              4.25      3.4       4.20
Banc of America          4.5       3.55      4.35
Barclays Capital         4.5       4         4.6
Bear Stearns             4.5       3.6       4.5
Cantor Fitzgerald        4.25      3.5       4.3
Citigroup                NA        NA        NA
Countrywide*             4.25                4.4
Credit Suisse*           4.5       3.8       4.45
Daiwa Securities*        4.5       4         4.55
Deutsche Bank            4.5       3.6       4.5
Dresdner Kleinwort       4.25      3.55      4.15
Goldman Sachs*           4.25      3.8       4.2
Greenwich Capital        4.5       3.4       4.2
HSBC Securities          4.5       3.5       4.2
J.P. Morgan              4.25      3.25      4.1
Lehman Brothers*         4.5       3.8       4.4
Merrill Lynch*           4.25      3.6       4.2
Mizuho                   4.5       3.4       4.05
Morgan Stanley*          4.5       3.75      4.4
Nomura Securities        4.5       3.4       4.35
UBS                      4.25      3.3       4.2
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中央値                   4.5       3.60      4.325
(注)NAは入手できず。

-- With reporting by Kathleen Hays, Deirdre Bolton, Lydia Thew, Ye Xie and Deborah Finestone in New York. Editor: Liedtka (jmp)

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