キャリートレードの主役通貨、円やスイス・フランからドルにシフト

ドルを高利回り通貨の購入代金に利用する のが外国為替市場で最も収益性の高い投資手法になりつつある。

ブルームバーグがまとめたデータによると、ドルで資金調達して英ポンド とブラジル・レアル、ハンガリー・フォリントなどを含む通貨バスケットを購 入した場合の今年のリターンは17%と、円での資金調達の場合の9%やスイ ス・フランでの調達の場合の7%を上回っている。米国の金利低下と、円やフ ランのボラティリティ(変動性)の上昇がこうしたドルを利用した取引の魅力 を一層高めている。

ヘッジファンド向けの助言を行うインテリジェンス・キャピタル(ロンド ン)のアビナシュ・パーソード会長は、「ドルが急落の様相を呈しているだけに、 ドルを使った取引の魅力が高まっている」と指摘し、「このプロセスはさらなる ドル安に拍車を掛けるだけだろう」と述べた。

ドレスナー・クラインオート(フランクフルト)のストラテジスト、ニー ルズ・フロム氏によれば、米ドルがキャリートレードに利用されたのは、米政 策金利が1%だった2004年以来。米連邦準備制度が算出している貿易加重平均 のドル指数では、その後ドルは18%下落した。国際通貨基金(IMF)による と、2007年4-6月(第2四半期)の各国中央銀行の外貨準備高に占めるドル の割合は64.8%と、1999年の71%から低下している。

投資家は、米国の政策金利が日本の政策金利を4ポイント、スイスの政策 金利1.75ポイント上回っているにもかかわらず、ドルで借りた資金を使って高 金利国資産を買っている。

住宅不況

ドルの先安観が強まっている背景には、1991年以降で最悪の米住宅不況を 受けて米金融当局がリセッション(景気後退)回避を目指して2回の利下げを 余儀なくされたことがある。ドル安傾向を受けて、アラブ諸国や中国の中銀は 外貨準備の多様化と米国以外の資産の保有拡大を進めている。

ドルは先週、対ユーロで1.2%下落し、1ユーロ=1.4837ドルで終了。年 初来下落率は12%。対円では今年10%下落しており、先週は2.5%下落して1 ドル=108円35銭で終了。スイス・フランに対しては11月23日に過去最安値 1ドル=1.089フランを付けた。

ゴールドマン・サックス・グループのストラテジスト、ジェンズ・ノード ビグ氏は、1000億ドル(約10兆8400億円)強の円やスイス・フランによるキ ャリートレードが今後2年で、ドルを使ったキャリートレードにシフトする可 能性があるという。

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