JT:加ト吉を買収へ、TOBで-日清食と冷凍食品事業を統合(5)

たばこ販売世界3位で食品など事業の多角 化を進めているJTは22日、即席めん国内最大手の日清食品と共同で冷凍食品 国内最大手の加ト吉を買収し、3社の冷凍食品事業を統合すると発表した。JT、 日清食は買収で冷凍食品事業を強化、JTグループの冷凍食品事業は国内最大に なる。加ト吉は不正会計で落ち込んだ事業の立て直しを図る。

まずJTが加ト吉をTOB(株式公開買い付け)によって全株を取得した後、 日清食に加ト吉株式49%を譲渡する予定で、JTの最終的な出資比率は51%と なる。TOBは1株710円で実施し、買付総額は1092億円。TOBの期間は11 月28日から12月26日まで。

3社は同日午前、都内で会見を開いた。JTの木村宏社長は「各社の強みを 生かし、製造から販売まで理想的なバリューチェーンの構築が可能となる」と述 べ、3社による事業統合の意義を強調した。

JTは2000年に加ト吉に5%出資し、冷凍食品分野で業務提携した。国内 たばこ市場が縮小するなか、JTは加ト吉の買収によって食品事業を収益の柱の 1つに育てる考え。また、日清食品は即席めん製造で国内シェア5割を超える最 大手だが、加ト吉の冷凍・冷蔵めんの製造ノウハウなどを吸収し、事業規模の拡 大を狙う。3社合計での冷凍食品事業の売上高は約2600億円となる。

加ト吉は今春、1000億円規模の「循環取引」と呼ばれる取引先との不適切 な取引に関与したことにより、前期(2007年3月期)決算で約172億円の損失 を計上。創業者兄弟で当時会長兼社長だった加藤義和氏と副社長の加藤義清氏が 引責辞任し、JT出身の金森哲治副社長が社長に昇格した。今期(08年3月 期)の連結売上高は前期比38%減の2154億円、営業利益は47%減の54億円と 業績の悪化が予想されている。

出資が検討課題に

JTの木村社長はまた、日清食への出資の可能性について「今は冷凍食品事 業の統合に専念するのが大事」としながらも、「冷凍食品事業以外でも、可能性 があればお互いに議論、検討していく余地はある」と話した。

会見に同席した日清食の安藤宏基社長は「株保有の話はしているが、業務を 進めていくなかで今すぐ保有することはインサイダー的な問題もあるとの見方も あり、即座にはない」とした上で、「将来ともども考えていくのが良いと思う。 個人的には信頼関係があるため、そのなかで築いていけばいい」との考えを示し た。一方、日清食の筆頭株主は米系投資ファンドのスティール・パートナーズ (約18%を保有)だが、「今回の案件でのスティールの関与、指示はない」と 述べた。

新生証券の宮川淳子シニアアナリストは「たばこ以上に利益の出るビジネス は難しく、JTの多角化戦略はあまり成功していない。その意味で冷凍食品も事 業としてプラスの評価をしにくいが、たばこに依存しすぎないというリスク分散 の意味では消極的選択として妥当」と述べた。また買収の規模については「不祥 事はあったが加ト吉の冷凍食品事業は悪くはないので、1000億円程度の投資と しては悪くない買い物。回収期間も比較的短くて済みそうだ」との見方を示して いた。

株価は、JTが前日比7000円(1.1%)安の63万3000円、日清食が同130 円(3.3%)高の4130円。加ト吉は同100円(17%)高の694円とストップ高 (値幅制限いっぱいの上昇)買い気配(午後2時19分現在)。

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