自民財革研:消費税を社会保障税に、10年代半ばに税率10%程度必要(4)

自民党財政改革研究会(会長・与謝野馨前 官房長官)は21日午後、党本部で会合を開き、消費税を「社会保障税」(仮称) として目的税化することなどを柱とする「中間とりまとめ案」について議論し、 大筋で了承した。年金・医療・介護および少子化対策に関する安定財源を確保 するためには、2010年代半ばには消費税率(現行5%)を少なくとも10%程度 にまで引き上げる必要性を指摘したが、具体的な法案の提出時期や方法につい ては明記しておらず、党税制調査会などの議論に委ねることとなった。

消費税率の引き上げに関しては、福田康夫首相が15日に「今、消費税をす ぐ上げるという話にはならない。段階を追っていくことが大事だ」と発言。伊 吹文明幹事長も2008年度からの引き上げを否定しており、08年度からの消費税 増税の可能性はほぼなくなっている。

それでも財革研が税率にまで踏み込んだ提言をまとめた背景には、年末の 税制改正や次の総選挙に向け、与党内の議論を活発化させたい思惑もあるとみ られるが、党税制調査会小委員長でもある与謝野氏は会合後、記者団に対し、 財革研が税率にまで踏み込んだ考え方を示したことについて、「正直に物を言っ ているということで、狙いとかそういうものがあるわけではない」と発言した。

また、政府・与党が当面の財政健全化目標として掲げる2011年の基礎的財 政収支(プライマリーバランス)の黒字化を達成した後は、利払い費も含めた 財政収支の均衡を概ね10年度程度かけて目指す考えを示した。

基礎年金の国庫負担割合引き上げで「早期に税制上の措置」を

「中間とりまとめ案」は、消費税について「国民に対する社会保障給付の ための財源」と位置付けることを提唱。その上で、基礎年金の国庫負担割合を 09年度までに現行の3分の1から2分の1に引き上げることや、当面の財政健 全化目標として政府・与党が掲げる11年度における基礎的財政収支の黒字化を 確実に達成するため、「早期に税制上の措置」を講じる必要性があると強調して いる。

与謝野氏は財革研の提言と党税調でのこれまでの議論との整合性について 「今までの大綱にも消費税を含む税制全般の抜本的改正ということが書いてあ る。その延長線上の議論の性格も持っており、何の違和感もないと思う」と指 摘した。ただ、年末にまとめる08年度税制改正大綱に消費税の取り扱いをどの ように書き込むかについては「議論してみないと分からない」と述べるにとど めた。

「中福祉・中負担」

日本が目指すべき国家像に関して、「中福祉・中負担」を提唱していること も今回の提言の大きな特徴だ。「国民皆年金・皆保険」を柱とした社会保障制度 を維持することが「国民生活の安定や国民の安心感の醸成につながる」と強調。 少子化対策も含めた社会保障の「安定的な財源の確立が必要不可欠」と訴えて いる。

与謝野氏は記者団に、自民党が目指してきた「小さな政府」と「中福祉・ 中負担」との整合性について、「行政組織の部分は小さい部分を目指していく必 要があるが、福祉の分野ではそうはいかない。高齢化社会を迎えるにあたって 小福祉というわけにはいかない」と解説した。

提言では、財政の在り方を社会保障と非社会保障に大きく二つに分割する ことも提唱。非社会保障部門の歳出には消費税以外の歳入を充てるよう求めて いる。また、格差問題への対応として、「所得再分配のあり方を検討する必要が ある」とも明記。所得税の最高税率の見直し、相続税の見直しも検討の対象に なり得るとも指摘している。

年金制度改革に関しては、現行の社会保険方式と民主党などが主張する基 礎年金部分の全額税方式の特徴を列記。今後の在り方については、「若年世代や 将来世代までも含めた国民全体にかかわる問題であり、その取り扱いについて は国民的議論とコンセンサスが不可欠」と国民的な議論に委ねた。

「インフレ期待」の成長強化に否定的

また、経済成長の在り方については、財政健全化と経済成長を「車の両輪」 と位置付けるこれまでの政府の考え方を踏襲した。ただ、「経済成長に伴う必然 的な物価上昇は容認されるべきであるが、成長力の強化にあたってはインフレ に期待することなく、あくまで実質成長を高めることを追求すべきだ」と指摘 し、自民党内の一部にあるインフレ・ターゲット導入論などを暗に批判した。

山本氏ら:財政再建目的の増税に反対

これに先立ち、山本一太参院議員らでつくる「プロジェクト・日本復活」(プ ロジェクトJ.)は21日昼に党本部で記者会見し、今後の財政改革に関する提 言を発表した。

山本氏らの提言は消費税増税について「将来的な必要性は否定しない」と しながらも、「プライマリーバランスの黒字化さえ達成されていないこの時点で、 安易に財政再建を目的とする消費税率の『具体的な数字』を示すことには反対 する」と力説している。

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