11月21日の海外株式・債券・為替市場(2)

(米国市場を更新します)

○米国株:反落。住宅ローンの返済不履行からの損失が景気全般に波及 するとの懸念が強まったことから、金融やエネルギー株を中心に売りが かさんだ。S&P500種株価指数は年初来の上昇分を失った。

米クレジットカード発行3位のアメリカン・エキスプレス(アメッ クス)は14カ月ぶりの安値。モルガン・スタンレーが、景気鈍化で利益 が圧迫されるとの見方からアメックス株の売りを勧めたことが悪材料と なった。石油会社米最大のエクソンモービルは、原油の反落に連れて下 げた。米家電量販2位のサーキット・シティ・ストアーズは4年ぶりの 安値。JPモルガンは、サーキット・シティの業績反転に向けた身売り 先確保が来年まで持ち越される可能性があると指摘した。

S&P500種株価指数終値は前日比22.93ポイント(1.6%)安の

1416.77ポイント。前年末に比べ0.1%下落となった。ダウ工業株30種 平均は同211.10ドル(1.6%)下落し12799.04ドル。構成銘柄30社中、 29銘柄が下げた。ナスダック総合指数は34.66ポイント(1.3%)下げ て2562.15ポイントで終了した。ニューヨーク証券取引所(NYSE) の騰落比率は約1対4だった。

イースタン・インベストメント・アドバイザーズ(ボストン)で20 億ドルの資産運用に携わるジョン・カッター最高投資責任者(CIO) は、「市場はパニック状態だ」と指摘。さらに、「問題は探りようがな く、測定もできず、時間の経過以外には対応策がないとの見方が広がっ ている」と話した。

質への逃避先として米国債に買いが集まったことから、10年債利回 りは4%を割り込んだ。株価指数はアジアならびに欧州でも下落した。

大幅悪化

アメックスは前日比4.7%安。モルガン・スタンレーのアナリスト、 ケネス・ポスナー氏とチャールズ・マーフィー氏は投資家向けリポート で、「大幅悪化している」消費者の信用の質が、他のカード会社以上に アメックスにとって大きな問題となる可能性があると指摘。融資ポート フォリオが「競合他社と比較してずっと速いペースで」拡大しているこ とを理由に上げた。

エクソンモービルは下落。原油相場が過去最高値から反落したこと が嫌気された。ニューヨーク商業取引所(NYMEX)で原油先物08年 1月限は前日比74セント(0.8%)安の1バレル=97.29ドルだった。 原油先物相場は一時はバレル当たり99.29ドルと、1983年の取引開始以 来の日中の高値を付けた。

サーキット・シティ

サーキット・シティは前日比5.6%下落。JPモルガンのアナリス ト、スティーブン・チック氏はリポートで、サーキット・シティの「業 績反転には、戦略的提携先(もしくは身売り先)が必要になる公算が大 きい」と指摘。さらに、「そうしたシナリオは08年第2四半期までかか る可能性がある」との見方を示した。同氏はサーキット・シティの株式 投資判断を「中立」に引き下げた。

事務用品小売り世界2位のオフィス・デポは前日比4.4%下げた。 小売のJCペニーやスターバックス、フェデックスの利益見通し引き下 げで景気鈍化の影響が示されるなか、今年の年末商戦は小売業者にとっ て過去5年間で最も軟調となる可能性がある。

住宅金融大手フレディマック(連邦住宅貸付抵当公社)も安い。ゴ ールドマン・サックスはフレディマックの資産価値が引き続き減少する との見通しを示した。アナリストのジェームズ・フォースリン氏はフレ ディマックの株価見通しを24ドルと従来見通しの73ドルから引き下げ るとともに、2008年通期の利益見通しも82%下方修正した。

歯科・獣医・リハビリ関連製品供給のパターソンは前日比23%の大 幅下落。同社は07年通期の利益見通しを引き下げ、1株当たり最大

1.72ドルとした。ブルームバーグがまとめたアナリスト調査の予想平均 は1.74ドル。

○米国債:相場は上昇。10年債利回りは2005年以来で初めて4%を下回った。 世界的に株価が下落したため、安全資産としての国債買いが優勢になった。

アリジアント・アセット・マネジメントの最高投資責任者、アンドルー・ ハーディング氏は「米国債利回りはその日の不安の強さを反映している」と指 摘した。

株価が下げ、原油相場が1バレル=100ドルの節目まであと71セントに 迫ったことを受け、米国債は上昇した。2年債利回りに対する10年債の上乗 せ幅は101ベーシスポイント(bp、1bp=0.01ポイント)と05年1月以来 で最大に拡大した。インフレが高進しても米連邦公開市場委員会(FOMC) が利下げを続けるとの思惑が背景にある。

キャンター・フィッツジェラルドによると、ニューヨーク時間午後2時1 分現在、10年債利回りは前日比8bp低下し4.01%となっている。10年債 (表面利率4.25%、償還期限2017年11月)価格は前日比21/32上昇の 101 30/32。利回りは一時3.98%と、05年7月以来の低水準を付ける場面 があった。

2年債利回りは19bp低下の3%。一時は2.96%と、04年12月以来の 水準まで低下した。

利回り曲線の鋭角化は利下げ期待から短期債を中心に買いが入っているこ とを反映している。

3カ月物財務省短期証券(TB)利回りは今週に入ってから33bp低下し、

3.08%となった。1カ月物TB利回りは同48bp低下の3.35%。

証券会社の年度末

11月末の証券会社の年度末を前に一部証券会社が安全資産である米国債を 買っているとの観測が広がっている。

バンク・オブ・アメリカの金利ストラテジスト、マシュー・ムーア氏は 「長期的には現在の上昇基調は持続可能ではないが、証券会社の四半期末や年 度末が迫っている」と指摘。「信用不安が続く限り」、国債の上昇基調は続く との見通しを示した。

スペインのサンタンデール銀行傘下の英住宅ローン会社アビー・ナショナ ルはカバードボンドの売り出しを中止した。過去1週間で売り出しを中止する のはこれで3社目。

銀行団は米自動車大手クライスラー買収向け融資のうち40億ドル(約 4400億円)の債権を投資家に販売できなかった。事情に詳しい投資家が 20日までに明らかにした。

アジアのほか、欧米の株価も下げた。原油先物市場で買いが先行したため、 金もインフレヘッジを目的にした買いで上昇した。

2年債利回りとS&P500種株価指数は1日以来、81%の確率で同じ方向 に動いている。年初は57%だった。

フェデラルファンド(FF)金利先物相場の動向によると、FOMCが12 月11日の定例会合でFF金利の誘導を4.25%に引き下げる確率は86%。1 月29-30日の会合で4%に引き下げる確率は75%となっている。

米証券業・金融市場協会(SIFMA)の勧めにより、21日は午後2時ま での短縮取引となった。22日は感謝祭のため休場。23日も21日と同様に午 後2時までの短縮取引となる。

○NY外為:円がドルに対して約2年ぶり高値をつけた。信用市場での損失が拡 大し世界の経済成長が損なわれるとの見方から、投資家は低金利の円で資金を調 達し、高金利通貨で運用する円キャリー取引を解消した。

豪ドルや南アフリカ・ランド、ニュージーランド(NZ)・ドルは円に対し て下落した。米連邦公開市場委員会(FOMC)がリセッション(景気後退)回 避のために追加利下げを実施するとの観測が広がり、ドルはユーロとスイス・フ ランに対して最安値をつけた。

マン・グローバル・リサーチのシニア通貨アナリスト、マイケル・マルピド 氏 (シカゴ在勤)は、「市場参加者は世界経済成長の鈍化を懸念しており、高リス ク資産から逃避している。これが円上昇につながった。関係者はさらに悪材料が 出てくるのを恐れている」と語った。

ニューヨーク時間午後4時現在、円がドルに対して1.4%上昇して108円48 銭、11月9日以来で最大の値上がりだった。一時は2005年6月以来の高値とな る1ドル=108円26銭をつける場面もあった。円は対ユーロで1.2%上げて161 円18銭、一時は160円08銭をつけた。

キャリー取引通貨

豪ドルは円に対して3.8%下落して94円49銭、月初からの下落率は12.5% に拡大した。NZドルは対円で3.2%下げて81円44銭。南アフリカ・ランドは

3.1%下落した。

ドルはユーロに対して0.2%下げて1.4864ドル。一時は最安値の1.4870 ドルまで売られた。対スイス・フランでのドルは0.4%下落して、1ドル=

1.1018スイス・フランだった。

ドルは一時、投資家が質への逃避で米国債を買い求めたことから、対ユーロ で1.4776ドルまで上昇していた。

英ポンドはユーロに対して0.2%下落して71.93ペンスと、2003年以来の 安値。イングランド銀行(英中銀)が早ければ来月にも政策金利を現行水準の

5.75%から引き下げるとの観測が背景。

円はキャリー取引解消の動きで主要16通貨すべてに対して値上がりした。 日本の政策金利は0.5%と先進国のなかでも最低水準にある。オーストラリアは

6.75%、ニュージーランドは8.25%、円と同様にキャリー取引の資金調達通貨 として利用されるスイスの政策金利は2.75%。

下落するドル

フレディマック(連邦住宅貸付抵当公社)が20日発表した四半期決算が創 業以来最大の赤字だったほか、FOMCが2008年の経済成長率見通しを引き下 げたことから投資家のリスク許容度が後退した。ゴールドマン・サックスは21 日、フレディマックの株価見通しを引き下げ、2008年の業績予想も下方修正し た。

主要6通貨に対するインターコンチネンタル取引所(ICE)のドル指数は

74.944と73年の指数算出開始以来で最低だった。

ドルは年初来、主要16通貨のうちメキシコ・ペソと韓国・ウォン以外の通 貨に対して下落している。FOMCは住宅問題などを背景に今年、2度の利下げ を決定した。企業はサブプライム(信用力の低い個人向け)住宅ローンに関連し た証券の追加評価損を公表している。

ドルは年初から対ユーロで11.2%、対円で8.9%、スイス・フランに対し ては9.6%それぞれ下落している。

金利先物市場動向によると、12月11日のFOMC会合でフェデラルファン ド(FF)金利誘導目標が0.25ポイント引き下げられる確率は90%となってい る。1カ月前は同72%だった。

○英国債:2年国債相場は15営業日連続で上昇し、1992年10月以降で最長の 上げとなった。21日公表されたイングランド銀行の金融政策委員会(MPC)の 議事録で、MPCメンバー9人のうち2人が利下げを主張したことが明らかにな った買いを誘った。世界的な株安で安全投資としての国債需要も高まった。

英中銀の議事録によれば、今月8日に開かれたMPCは7対2で政策金利 を5.75%に据え置くことを決めた。

ベアリング・アセット・マネジメント(ロンドン)で運用に携わるトビ ー・ナングル氏は、「債券相場は利下げが再び織り込まれようとしていること に加え、質への逃避に支えられた」と指摘。「多くの投資家にとって、当面の 代替投資は国債だ」と語った。

英2年債利回りはロンドン時間午後5時までに、前日比8ベーシスポイン ト(bp、1bp=0.01ポイント)低下の4.39%となった。一時は9bp下げ、 2006年3月以来の低水準となった。同国債(2009年12月償還、表面利率

5.75%)価格は0.16ポイント上昇し102.63。

○欧州債:相場は上昇し、ドイツ2年国債の利回りは一時、11カ月ぶり の低水準まで低下した。原油相場が1バレル当たり100ドルに近付いた ことに加え、アジアと欧州の株式相場が下落したことを背景に、安全投 資としての国債需要が高まった。

米金融当局の追加利下げが予想される一方で、欧州中央銀行(EC B)は政策金利据え置きとの観測が広がったことから、ドイツ2年債と 米2年債の利回り格差は2004年3月以降で最大となった。欧州の各銀行 の米サブプライム(信用力の低い個人向け)住宅ローンに関連した評価 損が拡大するとの懸念を受けて、欧州の銀行や保険会社などのデフォル ト(債務不履行)に対する保証コストを示す指数は、同指数集計開始以 来の高水準を付けた。

バンカ・アルベルティニで19億ドル相当の債券運用に携わるアンジ ェロ・ドルシアニ氏は「債券相場は、政策金利見通しと株式相場混乱を きっかけとする質への逃避に左右されている」と指摘。同氏はまた「E CBが政策金利を年内いっぱい据え置く」との見通しを示した。

ドイツ2年国債の利回りはロンドン時間午後4時40分までに、前日 比9ベーシスポイント(bp、1bp=0.01ポイント)低下し、3.64%となっ た。一時は12bp低下する場面もあった。同国債(2009年9月償還、表 面利率4%)の価格は0.14ポイント上昇し100.60。ドイツ10年国債の 利回りは3bp下げ4.02%。

ドイツ2年債と米2年債の利回り格差は11bp拡大し、65bpとなっ た。10月15日時点では1bpだった。

--*ニューヨーク・ニューズルーム   (1)(212) 893-3007

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