日本株(終了)日経平均は15000円割れ、米景気懸念と円高-輸出主導

東京株式相場は大幅反落。日経平均株価 は終値ベースで、1年4カ月ぶりに1万5000円を割り込んだ。米サブプライ ム(信用力の低い個人向け)住宅ローン問題を背景とした米景気の不透明感や 急激な円高進行により、企業業績に対する不安が高まった輸出関連株中心に下 落。トヨタ自動車は年初来安値となった。原油高も景気のリスク要因とされ、 商社や海運、鉄鋼など世界景気敏感株も軒並み安い。米サブプライム関連の保 険損失発生リスクが明らかになった損害保険ジャパンが東証1部値下がり率1 位となるなど、保険株の下げも目立つ。

しんきんアセットマネジメント投信の藤原直樹投信グループ長は、「ドル 売りは米国景気の先行きに対する不透明感の強さが要因となっている」と前置 きし、「為替の110円割れが定着すると、輸出企業の下期業績は減益に転じる 可能性がある」との見方を示した。

日経平均株価の終値は前日比373円86銭(2.5%)安の1万4837円66銭、 TOPIXは30.55ポイント(2.1%)安の1438.72と2年1カ月ぶりの安値。 東証1部の売買高は概算で21億7218万株、売買代金は同2兆7902億円。値 上がり銘柄数は422、値下がり銘柄数は1223。

東証1部業種別33指数では電気機器、輸送用機器、卸売、銀行、機械、 鉄鋼、保険など29業種が下げ、電気・ガスや鉱業など4業種が上げた。

「三重苦」

米景気の先行き不透明感、原油高、円高が直撃し、企業業績への不安が高 まった。20日の米国では、米連邦公開市場委員会(FOMC)が2008年の景 気見通しを下方修正。20日に発表された米10月の住宅着工件数は前月比3% 増となったものの、先行指標となる10月の住宅着工許可件数は6.6%減と 1993年以来の最低に落ち込んだ。「着工許可件数を見ると、将来的に不安が残 る内容だった」(しんきんアセットの藤原氏)。

午前に発表された日本の10月貿易統計で、輸出は前年同月比13.9%増の 7兆5155億円と過去最高を記録したが、米国向けは同1.5%減と2カ月連続で 減少。米国景気の減速傾向が足元でも確認された。

また、ニューヨーク原油先物相場は21日の時間外取引でも過去最高値を 更新し、初めて1バレル当たり99ドル台に乗せた。大和住銀投信投資顧問の 大中道康浩チーフエコノミストは、「原油高が続けば、ガソリン価格の上昇に よって今後は米個人消費の減速要因となってくるだろう」と指摘。しかしイン フレ懸念の高まりで、「よほど景気が減速しなければ利上げは実施できなくな る」(大中道氏)という。

FOMC議事録(10月30-31日開催)では、利下げは「際どい決定」だ ったとされており、景気が減速する中での原油高は米金融政策の足かせとなり つつある。

一方、外国為替市場では株価下落やサブプライム住宅ローン問題を背景と した米景気減速からドル売り・円買いが加速。午後には1ドル=108円台後半 に入り、2年2カ月ぶりの円高水準となった。「輸出企業の多くは下期の想定 を110-115円としている企業が多い」(しんきんアセットの藤原氏)とされ、 投資家の警戒感を示すように先物主導で午後は売りが加速。米景気の不透明感、 原油高、円高の「三重苦」を嫌気し、日経平均先物12月物の出来高は18万枚 超と、活況の目安である10万枚を大きく上回った。

アジア株やGLOBEXも安い

午後にはアジア株の下げも投資家心理に影を落とした。香港ハンセン指数 が3%超と急落し、インド・ムンバイSENSEX30種指数も大幅安。24時 間取引のGLOBEX(シカゴ先物取引システム)ナスダック100指数先物も 基準価格に比べてマイナスで推移するなど、世界株安の連鎖が警戒された。

三菱商事などの商社株、商船三井など海運株、鉄鋼株といった新興国を中 心とする世界景気敏感株も軒並み下げ、海運株は東証1部の値下がり率首位。 大和住銀の大中道氏は、「原油高で心配なのはASEANや東欧諸国など資源 を持たないエマージング諸国の景気への影響」と主張。それらの国々が原油高 によるインフレ懸念を封じ込めるために利上げに踏み切らざるを得なくなれば、 「資源を持たないエマージング諸国の成長リスクとなろう」と予想していた。

損保JPNなど保険株が売られる

保険株の下げが厳しい。損害保険大手6社が20日に9月中間期決算を発 表。大手6社のうち5社が増益となったものの、下期にかけて株価のリバウン ドにつながるような好材料には乏しいと受け止められた。保険株指数は前日比

4.6%安となり、東証1部の業種別下落率で2位。

特に損害保険ジャパンは、売買を伴って年初来安値を更新した。同社は20 日に行われた9月中間決算の説明会で、サブプライム証券化商品の元本償還保 証保険2400億円を引き受けており、延滞やデフォルトが進行する場合は300 億円程度の保険事故が発生するリスクがあることを明らかにした。日興シティ グループ証券の葛西誠アナリストは20日付のリポートで、「第1四半期決算 の段階で本件について一切触れられておらず、このエクスポージャー(保有 額)はいささかネガティブサプライズ」との見方を示した。

このほか、ファンダメンタルズの優位性は見られないとして、野村証券が 投資判断を引き下げた日本興亜損害保険は6日ぶり急反落。保険本業の収益環 境悪化が不安視された三井住友海上火災保険も反落した。

栗本鉄が急落、スズキも安い

個別では、旧日本道路公団向けの円筒型枠について検査数値や板厚の改ざ んがあったと発表した栗本鉄工所、08年3月期の最終赤字転落見通しを発表し たニチハがそれぞれ急落。みずほ証券が投資判断を「買い」から「ホールド」 に引き下げた太平洋セメント、大和総研が「2(アウトパフォーム)」から 「3(中立)」に引き下げたスズキも大幅安。

電気・ガスなど高い、マツキヨ連騰

半面、東京電力など電気・ガス株、パルプ・紙株など円高が収益にプラス になる業種が堅調。カブドットコム証券の臼田琢美常務執行役は、「電力株は 円高だけでなく、景気変動に影響を受けにくいディフェンシブ株としても動き が良くなっている」と指摘した。また、パルプ・紙株では、国内製紙最大手の 王子製紙と情報用紙事業で業務提携する方針を打ち出した三菱製紙が急騰。

このほか、08年3月通期の業績予想を増額修正した太平電業、子会社株式 の売却で08年9月期の単独純利益予想を従来比3.9倍としたネクシィーズ、 9月中間決算で連結最終損益が黒字となった東日カーライフグループも急伸。 クレディ・スイス証券が格上げしたマツモトキヨシホールディングスは連騰。

新興市場も下げる

国内新興市場も下げた。東証1部市場の急落に伴う投資家心理の悪化や換 金売り懸念から、午後に下落幅が拡大。三菱UFJ証券が投資判断を引き下げ た時価総額の大きい楽天が急落したことも、相場全般のムードを冷やした。ジ ャスダック指数の終値は前日比0.17ポイント(0.2%)安の70.32と5日続落、 東証マザーズ指数は19.71ポイント(2.4%)安の799.37と3日続落した。大 証ヘラクレス指数は26.02ポイント(2.1%)安の1216.92と反落。

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