【米経済コラム】FOMCが示したのは次の一手にあらず-J・ベリー

米連邦準備制度は明示的なインフレ目標を 設定していないために信用できないと不満を漏らし続けてきたアナリストは皆、 口をつぐまなければならない。

米連邦公開市場委員会(FOMC)は20日、メンバー17人の2010年まで の景気予想を公表した。このような詳細が明らかにされたのは初めてのことだ。 公表された資料には、メンバーがそれぞれの予想に対するリスク要因と考えて いる点について詳しく述べたコメントも付いている。景気予想は10月30、31 日のFOMCの議事録とともに公表された。同月のFOMCは0.25ポイントの 利下げを決めている。

金融市場の最近の問題や住宅価格の下落を考えると驚くには当たらないが、 FOMCメンバーらは2008年の成長率予想を下方修正した。6月時点には2.5 -3%を予想していたが、新しい予想はそれよりも水準を切り下げて幅も広く なり、1.5%を若干上回る水準から2.5%超の間となっている。

一部の投資家やアナリストはすぐさま、成長率予想下方修正を追加利下げ の必要性を示すものだと解釈した。例えば、アナリストらは議事録公表の直後 にドルが1ユーロ=1.48ドルに下落したのはこのためだと説明した。

しかし、議事録は多くのメンバーが10月の0.25ポイント利下げを「際ど い決定」と認識していたとしている。利下げに反対票を投じたホーニグ・カン ザスシティー連銀総裁は「インフレ抑制のためにやや引き締め気味の政策が必 要だ」と考えていたという。

FOMCのメッセージに対する市場の反応は、当局者がどれほど明確に発 言し、予想を示しても、アナリストや投資家が聞こうとしないか、聞いたこと を受け入れようとしない場合があることを物語っている。つまり、FOMCが 今回のように良好なコミュニケーションを行っても、意思が伝わるとは限らな いということだ。

インフレ目標問題は決着

一方で、政治的に微妙なインフレ目標の問題は決着したと言える。FOM Cの景気予想により、5人の米連邦準備制度理事会(FRB)理事と12人の地区 連銀総裁が、連邦準備制度の2つの使命を満たすと考えるインフレ率と失業率 が明らかになった。

この数字は目標としてではなく2010年の予想として示されているが、それ までには金融政策の成果が表れるのに十分な時間があると考えられることから、 目標と同義だと考えてよいだろう。インフレ率予想は、個人消費支出(PCE) 価格指数の1.6-1.9%上昇として示されている。2010年には食品とエネルギー を除いたコア指数も同水準が予想されている。

2010年の失業率予想は4.6-5.1%。08、09年の予想も同水準だ。10月の 失業率は4.7%だった。もう1つの重要な数字、つまり完全雇用に近い状態でイ ンフレを加速させることなく実現可能な最高の成長率も、長期予想のなかに埋 め込まれている。現在景気を脅かしている問題がすべて片付いていると見込ま れる2010年について、FOMCの成長率予想は2.2-2.7%の間。ただし、2.4% 未満を予想しているのはメンバーのなかで2人にすぎない。

ゆっくりだが着実に回復

これらの予想を総合すると、米経済は最近の動揺からゆっくりだが着実に 回復するとFOMCメンバーらが考えていることは明らかだ。リセッション(景 気後退)による失業率急上昇の時期も、原油高によるインフレ率急上昇も予想 されていない。08年のコアインフレ率は2%以下が予想され、総合指数の上昇 率も大きくそれを上回るとは考えられていない。

ウォール街の人々の多くは、成長についてもインフレについてもこれほど 楽観的ではない。多くの人が、少なくともあと数回の利下げを望んでいる。

20日遅くの先物金利は、12月11日の次回FOMCでの0.25ポイント利下 げ確率を90%織り込んだ水準だった。08年1月30日のFOMCでさらに0.25 ポイントの利下げが決定される確率は70%とみられていた。 (ジョン・ベリー)

(ジョン・ベリー氏は、ブルームバーグ・ニュースのコラムニストです。 このコラムの内容は同氏自身の見解です)

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