政府税調答申:消費税率の引き上げを明記-証券優遇税制は廃止を(3)

政府税制調査会(首相の諮問機関、香西泰 会長)は20日、2008年度税制改正のための答申として「抜本的な税制改革に向 けた基本的考え方」をとりまとめた。それによると、増大する社会保障関係費 の安定財源として消費税率の引き上げが必要との考えを3年ぶりに明記。引き 上げ時期や税率については言及を避けたものの、中期的課題として社会保障費 確保のための選択肢として検討すべきだとの姿勢を明確にした。

経済活性化に向けた税制改正では、法人税の実効税率の引き下げについて は明言を避けたものの、課税ベースの拡大などの必要があると指摘した。07年 度末に適用期限を迎える研究開発税制などの政策減税については継続を求めて いる。その一方で08年末以降に期限を迎える株式譲渡益・配当課税の優遇税率 については、昨年の答申に続いて廃止を求めた。これらの答申内容を踏まえ、 与党は12月中旬までに税制改正大綱を策定する。

引き上げ時期は流動的

答申では、消費税について「経済の動向や人口構成の変化に左右されにく く、世代間の不公平の是正に資する」として、「社会保障財源の中核を担うにふ さわしい」と強調。そのうえで「消費税の引き上げによって社会保障費を賄う との姿勢を明らかにし、選択肢の1つとして幅広く検討を行うべき」として、「消 費税の社会保障財源化」を打ち出した。

日本の財政赤字体質が悪化の一途をたどるなか、少子高齢化に伴い年金を はじめとした社会保障費の増加にどのように対応し、財政再建の道筋を確実に するかが大きな課題となっている。さらに、09年度までの基礎年金の国庫負担 比率の引き上げも目前に迫るなか、財源確保のための消費税率の引き上げが08 年度税制改正の最大の焦点と位置づけられていた。

一方で、先の参院選での与党大敗を受け、福田康夫首相が「今、消費税を すぐ上げるという話にはならない」と語るなど、与党内で先送り論が強まって いるのが実情だ。同日、記者会見した香西税調会長は消費税の引き上げの時期 について「タイミングは流動的。主として中長期を中心にかくあるべきではな いかと示した。なるべく早くゴールへ接近してほしいという気持ちはあるが、 具体策として議論していない」と語った。

今回の答申は、来年度中に期限を迎える税制だけでなく、中長期的な視点 から「あるべき税制の全体像」について基本的な考え方を示したのが特徴。08 年度以降どのようなタイミングで提言を実施に移すかについては、答申は「今 後、政府において適切に判断されることを求めたい」としている。

研究開発税制に重点

法人実効税率については「法人課税の国際的動向に照らして引き下げが必 要であるとの意見が多かった」としながらも、明確な方向性は示さなかった。 一方で、法人税を納めていない企業が多いことから、「厳しい財政事情の下、課 税ベースの拡大を含めて対応する必要がある」と言及した。

そのうえで、「当面の持続的な経済成長のため、研究開発税制をはじめとす る政策税制の効果的な活用に重点を置く必要がある」と指摘。「今年度末に適用 期限を迎える政策税制の検討に当たっても、こうした考え方を踏まえ対応すべ きである」とし、政策税制の維持・継続の必要性を強調した。

証券優遇税制については、期限到来とともに廃止すべきとした今年度税制 改正答申を踏襲。03年度の導入当時に比べて経済状況が大幅に改善しているこ とや、公平性の観点から「税制が市場に歪みを与えることがないよう、昨年度 の答申の方向に沿って対応すべきである」と、廃止をあらためて提唱した。

同税制では株式譲渡益や配当にかかる税率を本則の20%から10%に軽減し ている。適用期限は株式譲渡益が08年末、配当が08年度末。金融庁は株式譲 渡益課税の軽減税率の再延長などを要望しているが、政府税調は金融所得課税 の一本化に向けて税率を一律にし、簡素な制度にすべきだとしている。

所得税の最高税率引き上げなど盛り込む

所得税については格差問題への意識が高まるなかで、「所得再配分機能が低 下している」として、最高税率の引き上げを含めた税率の見直しや、増税につ ながる配偶者控除や特定扶養控除、退職金課税の見直しなどを盛り込んだ。一 方で、課税最低限以下の低所得者に一定額を給付する「給付付き税額控除」に ついて初めて明記し、導入に向けて検討する方針を示した。

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