日本株(終了)2年ぶり安値後に反発、PER下げ過ぎ-午後先物主導

東京株式相場は、午後にかけて先物主導 で急速に戻し、日経平均株価は4日ぶりに反発。午前の取引で約2年ぶりの安 値を付けたTOPIXも上昇に転じて終えた。米サブプライム(信用力の低い 個人向け)住宅ローン問題の深刻化による世界経済への影響が不安視され、売 り先行で始まったが、バリュエーションなどから過度の悲観を織り込んだとし て下値で買いが増えた。一時は大きく売られた商社株や鉄鋼株など好業績株中 心に切り返しが鮮明。外資系証券から強気の投資判断が示されたTDK、日本 電産などハイテク株の一角も高い。

三井住友アセットマネジメント国内株式アクティブグループの生永正則ヘ ッドは、「配当利回りとPER(株価収益率)から考えて、現在の株価水準は 今後1-2年に企業業績が成長しない水準まで織り込んだ」と指摘。米国経済 鈍化による影響は避けられないものの、「そこまで業績が悪化する可能性は低 い」(同氏)と見ている。

日経平均株価の終値は前日比168円96銭(1.1%)高の1万5211円52銭、 TOPIXは12.66ポイント(0.9%)高の1469.27。東証1部の売買高は概算 で27億2097万株、売買代金は3兆2098億円。売買高は8月17日以来3カ月 ぶりの水準で、売買代金は6営業日ぶりの3兆円台。値上がり銘柄数は734、 値下がり銘柄数は882。

この日の値動きの荒さを示すように、日経平均の日中値幅は470円と、昨 日の250円あまりからは急拡大した。

東証業種別33指数で上昇業種は24、下落業種は9。電気機器、卸売、銀 行、機械が高い。半面、不動産、食料品、保険、小売は安い。

GLOBEXの強さ好感

午前はサブプライム問題による景気への影響が不安視され、輸出関連や銀 行株中心に幅広い業種で売りが先行。TOPIXは約2年ぶりの安値水準とな った。状況が一変したのは午後1時過ぎ。シカゴ24時間電子取引システム (GLOBEX)のナスダック100指数が基準価格比で一時15ポイント以上 高くなるなど米国株の反発期待に加え、一時下落傾向を強めたアジア株式市場 の下げ渋り、為替相場における円高進行の一服などが好感された。

ベアー・スターンズ証券の倉持宏朗マネージングダイレクターによると、 「リスク回避に伴う海外ファンドの解約売りが一巡した後、ナスダック100先 物の上昇から20日の米国株市場への期待感で買い戻しが入った」という。

また、商社や非鉄金属株など好業績株にバスケット買いが入ったことも、 相場全般が下げ渋った要因で、また市場では「FRB(米連邦準備制度理事 会)の緊急利下げ観測が高まっていた」(東京海上日動火災保険・投資部の吉 村英一郎課長)面もあったようだ。

バリュエーションやテクニカルで見直し

市場で指摘されたのは株価指標からの割安感。東証1部の配当利回りは実 績ベースで1.49%であり、長期金利1.4%台と逆転。予想PERは15-16倍 まで低下した。三井住友アセットの生永氏によると、「過去の相場ではこの両 条件が重なった状況は株価が底入れを示すことが多い」という。

日経平均は一時291円(1.9%)安の1万4751まで下げたが、終値では同 水準を維持した。先週から取引時間中に1万5000円台を割り込んだ3回はす べて終値で回復したことになる。東京海上日動の吉村氏は「日経平均1万5000 円は為替市場で1ドル=100円となって来期業績が今期比で伸び率ゼロかマイ ナスになる状況の分岐点」と見る。

一方、テクニカル面からは短期的には下値めどに到達したとの見方も出て いる。昨年4月から6月までの大幅調整時は日経平均が3518円下げたが、 「それを今年の7月5日から同値幅の調整とすれば1万4777円あたりがめど どになる」(大和証券SMBCエクイティ・マーケティング部の高橋和宏部 長)という。また、SMBCフレンド証券の中西文行ストラテジストは「ボリ ンジャーバンドからは1万4752円がめど」と語っていた。

ファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)から過度の悲観を織り込み、テ クニカル的にもいったん買いが入りやすい状況となったことが2年ぶり安値か らの急激なに戻りにつながった。

底入れ感は出ておらず

もっとも、午後の急伸で底入れ感が出たとの見方は出ていない。米国では 19日に金融大手シティグループが信用市場の損失で今後2四半期の評価損が 150億ドル(約1兆6500億円)になる可能性があるとゴールドマン・サックス が指摘。10月以降に米格付け機関によるサブプライム関連証券の格下げが相次 いでおり、金融機関の9-11月期や10-12月期決算を確認しない状況までは 「悪材料出尽くし感が出ないだろう」(東京海上日動・吉村氏)という。

TOPIXは昨年6月14日の1439ポイントを割り込んだことで、05年 10月の安値水準まで下落した。2年前の当時はデフレ脱却による内需拡大期待 で外国人買いが入り、株価が急激な上昇トレンドを描いていた時期に当たる。 三菱UFJ投信の宮崎高志運用戦略部長は、2年前の株価水準まで逆戻りした 背景として、「デフレ脱却ストーリーを織り込んだものの、その後に景気指標 がついてこなかった」と解説。海外投資家が期待した内需拡大は現在も実現し ていないとしていた。

JR東日本が3日続伸、新生銀やあおぞら銀も高い

個別では、みずほ証券が投資判断を引き上げたJR東日本が3日続伸。ジ ェイ・シー・フラワーズ・アンド・カンパニー・エルエルシー(JCF)を引 受先とする第三者割当増資と、JFCによるTOB(株式の公開買い付け)賛 同を発表した新生銀行が急伸した。20日付の日本経済新聞朝刊がJT(日本た ばこ産業)と日清食品が共同で買収する方針を固めたと報じられた加ト吉は、 値幅制限いっぱいのストップ高で比例配分。住友信託銀行と包括提携で合意し たあおぞら銀行も急騰した。医療機器の英ジャイラスを買収すると19日に発 表したオリンパスは小幅高。

ニチアスが値下がり首位

半面、耐火性能の再試験4件がすべて不合格となったニチアスが急落し、 東証1部値下がり率首位となった。ゴールドマン・サックス証券が投資判断を 格下げした双葉電子工業が急落し、同じく目標株価を引き下げたSUMCOは 年初来安値。HSBC証券が投資判断を中立に引き下げたアーク、08年3月期 業績予想を下方修正した三洋工業もそれぞれ大幅安。

新興市場は高安まちまち

新興市場は高安まちまち。ジャスダック指数の終値は前日比0.50ポイン ト(0.7%)安の70.49と4日続落し、東証マザーズ指数は4.01ポイント (0.5%)安の819.08と続落。一方、大証ヘラクレス指数は9.99ポイント (0.8%)高の1242.94と4日ぶり反発した。

楽天、アルゼ、ディー・エヌ・エー、ハドソンが安い。半面、SBIイ ー・トレード証券、インテリジェンス、ミクシィ、フルスピード、ターボリナ ックスは高い。きょうヘラクレスに上場したシナジーマーケティングは公開価 格(17万5000円)の2.2倍に当たる39万1000円買い気配のまま初日は値が 付かなかった。

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