塩崎氏:サブプライムなければ利上げもおかしくなかった-単独会見

自民党の塩崎恭久元官房長官はブルームバ ーグ・ニュースの単独インタビューに応じ、日銀の金融政策について「サブプ ライム(信用力の低い個人向け)住宅ローン問題が起きなければ、おそらく金 利は上げられていた。フリーハンドを日銀がより多く持つためにも必要だし、 為替のことをいろいろ考えてみれば少し金利は高くてもおかしくない状況では あったと思う」と述べ、金利の引き上げを目指してきたことに理解を示した。 インタビューは15日に行った。

ただ、サブプライム問題が世界経済の先行きを不透明にしている現在の情 勢下で日銀が利上げに踏み切るべきかどうかについては、「アメリカの経済、ヨ ーロッパの経済がこうなってきて、ここで上げるかどうかは非常に微妙な段階 にきている。慎重に判断しながら日本国内の経済が安定的に伸びるように日銀 は注意を払いながら政策を打ってもらいたい」と述べた。

また、消費税などの増税論議については、「増税のことばかり言っていると、 無駄を省く、つまり歳出をきちんと規律正しく絞っていくということと、成長 を図るということを忘れがちになる」と指摘。その上で、「企業が伸び、個人の 所得も伸び、消費も増えるという方がみんな幸せだ。そのことをやらずして、 ただ増税だけ先に進むのはおかしい」と述べ、十分な歳出削減努力と成長戦略 がないままでの増税論の先行をけん制した。

塩崎氏は日本銀行勤務を経て国会議員になった。塩崎氏が官房長官を務め ていた07年2月、日銀は政策金利を0.25%から0.5%に引き上げたが、その後 は利上げを見送っている。このほかの主なやり取りは以下の通り。

次の日銀総裁はどのような人が望ましいか:

「いまや全世界が一つの市場みたいになっている。電話一本ですぐに(各 国中央銀行総裁と)意見交換して日本でやるべきことを決められる、そういう 人物が必要になっている。通訳を介してやっているような段階はとっくに終わ っている。世界で通用する、なおかつ日本経済の隅々まで理解し、経済学的な 素養のある、そういう人がいなければ、国内のことだけ考えている人ではこれ から通用しない」

福田政権の経済財政政策について:

「基本路線として改革を続けることについては変わっていないと思うが、 どういうペースでどの政策をやるのかは今まさに議論している。トップギアで 走っていたのがセカンドギアにいくのか、物によってはサードギア、ローギア に入れるのかもわからない。ただはっきりしているのは古い自民党のバラマキ、 バックギアに入れない、ということだ」

消費税などの増税論議について:

「増税派と成長派という落とし穴のような二律背反的な分け方で議論がな されることがあるが、やや不毛な議論だと思う」

「財政再建をしないといけない、というのは後の世代につけを回さないと いうのが最大の目的だ。ムダを省いて支出を抑え、税収を成長によって確保し、 それでも足りない部分については増税をしないといけないのかな、ということ だと思う。成長派と増税派という分け方はおかしいし、福田首相もおそらくは そんな単純な考え方をもっているわけではない」

「どれくらいのペースで財政再建を図っていくのか。増税を最小限にとど めたとしても、いつやるのかというのが議論の対象になる。少子高齢化が進む こと、借金を過去にしてしまったことなどは絶対に変えられない前提だ。どん な政党にとっても与えられた前提だ。これは難しい問題だが、なんとか解決す るためにどうしたらいいのかという組み合わせを議論するのが今のわれわれの 仕事だ」

安易な増税論はモラルハザードが伴うと指摘しているが、自民党の状況をどう 見るか:

「トップギアからセカンドギアに移すようなモードチェンジを福田内閣は やる、そういうフェーズだ。党内の議論は実はバックギアの議論が結構盛り上 がっていて、これをどう福田総理がさばくのか、あるいは自民党の総裁として 裁いていくのかが大変な問題だ」

「(自民党の)財政改革研究会の人たちがそういうことに安易に同調すると いうことがあるとは思っていない。やはり増税先にありきとなると、どこの歳 出を先に切っていくのかという十分な議論がなされなくなる恐れがある」

「増税を最小限といえどもやらないといけないときはやる覚悟を持ってい るのが政治家の責任。だが、安易な増税はだめだ」

骨太の方針2006の前提となっている名目3%成長は高過ぎるか:

「そもそもほかの欧米諸国では3%ぐらいは当たり前のように達成できて いる。日本が今までの、物価が上がらないという異常な状態をどう脱するのか ということが大事だ。成長率の予測を堅めに見るというのはひとつの考え方で 大事なことだが、成長率を安定的にできるだけ上に上げていく、ということを 初めから捨てるという道もないのではないかと思う」

消費税を含む税制の抜本改革の結論は年度内に出すべきか:

「考え方はやはり示していいと思う。だが衆参ねじれ現象になっている。 現実的に通せるのかということも同時に考えながら国民の皆さんには正直なと ころを示すということが大事だ」

「770兆円の借金(公的債務)があって金利が刻々上乗せされていっている ということも現実の問題として説明すると、かなり理解が深まって現実的な議 論をしていただけるようになる。心の安心を得るためにはきちんと説明して現 状はこうなっている、というインフォームド・コンセント(十分な説明と同意) が大事だ」

安倍政権が目指した経済政策:

「財政規律はきちんと守ろうということでスタートをし、補正予算とかで もバラマキはしない、ということでやった。小泉政権は不良債権の処理とか、 郵政民営化とか一点突破型の壊す改革っぽいことをやっていたが安倍内閣は平 時モードで経済を安定的に成長させていくために何をすべきか、ということを 考えた」

--共同取材:君塚靖 Editor:Ushiroyama(sgm)

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