TOPIXが2年ぶり安値、景気懸念で全面安-市況関連は急落(2)

午前の東京株式相場は大幅続落し、TO PIXは約2年ぶりの安値水準となった。米サブプライム(信用力の低い個人 向け)住宅ローン問題の深刻化による世界経済への影響が不安視され、輸出関 連や金融、市況関連株など幅広く売られた。新日本製鉄が11カ月ぶりに600 円を下回るなど市況関連株は急落し、鉄鋼と卸売が東証1部業種別下落率で1、 2位を占めた。コマツ、三菱商事、商船三井はそろって3カ月ぶりの安値。

三菱UFJ投信の宮崎高志運用戦略部長は、「住宅価格の上昇率鈍化で米 クリスマス商戦は思うほど伸びないだろう。米国内総生産(GDP)成長率は 今後1.5%までの鈍化があり得る」と指摘。その上で、米国向け輸出の減少と 改正建築基準法の悪影響から、「国内生産は1-3月期にかけて弱含むことに なりそう」(同氏)と見ている。

午前終値の日経平均株価は前日比285円89銭(1.9%)安の1万4756円 67銭、TOPIXは33.68ポイント(2.3%)安の1422.93。東証1部の売買 高は概算で11億943万株、売買代金は1兆2645億円。値上がり銘柄数は121、 値下がり銘柄数は1542。

午前の東証業種別33指数で上昇業種は陸運、鉱業の2業種のみで、31業 種が下落。下落寄与度が大きいのは電気機器、輸送用機器、銀行、卸売、機械、 鉄鋼、化学など。

世界景気への影響懸念

この日午前の東京市場は、サブプライム問題による景気への影響が不安視 され、幅広い業種で売りが先行。19日の米国では、金融大手のシティグループ が信用市場の損失で今後2四半期の評価損が150億ドル(約1兆6500億円) になる可能性がある、とゴールドマン・サックスが指摘した。全米企業エコノ ミスト協会(NABE)の最新調査では、米経済が景気後退入りすると予想す るエコノミストの割合が2カ月間でほぼ倍増するなど、サブプライム問題の深 刻化が世界景気に与える影響が不安視されている。

金融機関の損失拡大観測が一向に収まらないことによる信用縮小リスクで、 米国の設備投資や住宅融資、世界の過剰流動性に今後影響が及ぶとの見方が出 ている。日興コーディアル証券の大西史一シニアストラテジストは、「米シテ ィの損失拡大観測は驚きで、市場はサブプライム関連の悪材料を完全に織り込 んでいない」と指摘。10-12月期決算で米商業銀行の決算が明らかになる来年 1月半ばまで、「相場の軟調は続く可能性がある」(同氏)との見方を示す。

一方、外国為替市場では投資家が信用市場での損失を懸念し、低金利の円 で資金を調達して高金利通貨で運用する円キャリー取引を解消。東京時間午前 でドル・円相場は1ドル=109円62銭までの急激な円高が進展。さらに午前に 取引を開始したアジア株が急落で始まったことも下げを拡大させた。

デフレ脱却シナリオ見えず

TOPIXは昨年6月14日の1439ポイントを割り込んだことで、05年 10月の安値水準まで下落した。2年前の当時はデフレ脱却による内需拡大期待 で外国人買いが入り、株価が急激な上昇トレンドを描いていた時期に当たる。

三菱UFJ投信の宮崎氏は、「デフレ脱却ストーリーを織り込んだものの、 その後に景気指標がついてこなかったことが相場逆戻りにつながった」と指摘。 物価がマイナスで推移する中、「日本銀行が量的緩和を解除して利上げに踏み 切った金融政策が原因ではないか」(同氏)と分析していた。

新興国関連の下げきつい

輸出関連株や金融株と並び、午前に下げのきつかったのは鉄鋼、海運、商 社、非鉄金属などの市況関連株だ。鉄鋼株が東証1部業種別下落率1位となり、 卸売は2位となった。

大和証券SMBCエクイティ・マーケティング部の高橋和宏部長は、「景 況感に対する警戒や、中国の融資規制観測から特に市況関連株の下げがきつ い」と述べた。海運や鉄鋼、非鉄金属などの市況関連株は、「外国人がポジシ ョン整理の売りを出している上、個人の追い証(追加担保の差し入れ義務)も 影響している」(同氏)という。

ニチアスや双葉電子が急落

個別では、耐火性能の再試験4件がすべて不合格となったニチアスが急落 し、午前の東証1部値下がり率首位。ゴールドマン・サックス証券が投資判断 を格下げした双葉電子工業と日本シイエムケイが急落し、同じく目標株価を引 き下げたSUMCOは年初来安値。9月中間期連結純損益が17億円の赤字だ った横河ブリッジホールディングスも大幅安。医療機器の英ジャイラスを買収 すると19日に発表したオリンパスは、買収案件に見合う収益へのインパクト の不透明感から反落した。

鉄道株の一角高い、加ト吉は買い気配

半面、みずほ証券が投資判断を引き上げたJR東日本が3日続伸、JR東 海など鉄道株の一角が上昇。三菱商事のTOB(公開買い付け)価格にさや寄 せし、前日は買い気配となっていた金商は午前の値上がり率トップ。9月中間 連結純利益が従来計画を大幅に上回ったもようと発表した東京電波は、同2位 となった。9月中間期の連結純損益が前年の赤字から黒字へと浮上したマツモ トキヨシホールディングス、野村証券金融経済研究所が投資判断を買いに引き 上げたダイフクもそれぞれ大幅高。

このほか、20日付の日本経済新聞朝刊がJT(日本たばこ産業)と日清食 品が共同で買収する方針を固めたと報じられた加ト吉は、値幅制限いっぱいの ストップ高買い気配。住友信託銀行と包括提携で合意したあおぞら銀行も急騰。

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