11月19日の海外株式・債券・為替市場(2)

(米国市場を更新します)

○米国株:下落。ゴールドマン・サックスが金融大手のシティグルー プの株式投資判断を「売り」としたことや、米住宅関連用品小売り2位 のローズがここ2カ月で2回目となる利益見通しの下方修正を行ったこと が嫌気され、株価指数は3カ 月ぶりの低水準となった。

シティは過去4年間で最安値。ゴールドマンが信用市場の損失でシ ティの今後2四半期の評価損が150億ドルになる可能性があると指摘し たことが悪材料となった。証券大手のメリルリンチやモルガン・スタン レーもゴールドマンによる株価見通しの引き下げを受けて、軟調に推移 した。ローズは2003年以来の最安値に下落。住宅市場の低迷が利益の減 少につながった。

S&P500種株価指数終値は前週末比25.47ポイント(1.8%)安の

1433.27ポイントと、8月28日以来の安値で引けた。ダウ工業株30種 平均は同218.35ドル(1.7%)下落し12958.44ドル。自動車大手ゼネラ ル・モーターズ(GM)の8.5%安が響いた。ナスダック総合指数は

43.86ポイント(1.7%)下げて2593.38ポイントで終了した。ダウの運 輸株価平均は2.3%下落した。ニューヨーク証券取引所(NYSE)の 騰落比率は約1対8だった。

パナゴラ・アセット・マネジメントの投資責任者、エドガー・ピー ターズ氏は、「銀行セクターの株式投資判断引き下げや小売業者の問題 などすべてが市場を動揺させている」と指摘した。さらに、金融株に買 いを入れるには「すべての材料が出尽くすまで、確信を持つために様子 を見る必要がある」と述べた。

ダウ理論

ダウの運輸株平均は4営業日続落し、06年10月以来の低水準を付 けた。いわゆる「ダウ理論」を採用する一部の投資家は運輸株価指数を 景気トレンドの前兆とみなす。この指数とダウ工業株がともに安値を付 ける場合には、この理論によると、弱含みとなる。

ローズは前週末比7.6%安。同社は08年度通期1株当たり利益が

1.83-1.87ドルと、07年度通期の同1.99ドルから減少するとの見通し を示した。アナリスト予想は同1.94ドル。また同社が発表した2007年 8-10月期(第3四半期)決算は、純利益が前年同期比で10%減少した。 競合他社のホーム・デポも下落。

ローズの決算で、今年の年末商戦での小売売上高の伸びが少なくと も過去5年間で最小となり、経済のより広範な分野での失速が示唆され る可能性があるとの懸念が強まった。全米企業エコノミスト協会の調査 結果によると、米経済がリセション(景気後退)に落ち込むとみるエコ ノミストの数は過去2カ月間で倍増している。

悲観強まる

シティは下落して引けた。ゴールドマンはシティの株式投資判断を 「中立」から「売り」に引き下げるとともに、08年度の1株利益見通し を3.80ドルと、前回予想の4.65ドルから引き下げた。

ゴールドマンのアナリスト、ウィリアム・タノナ氏は19日のリポー トで、「信用市場の混乱を考慮すると、われわれは金融セクターの見通 しにますます悲観的になっている」とした。

ゴールドマン・サックス・グループの米国担当投資任者、アビー・ ジョゼフ・コーエン氏は今月の投資見通しを発表し、住宅市場の低迷は、 国外にハイテク機器や産業機器を販売する企業の利益拡大に相殺される との見通しを示した。同氏はまた、S&P500種株価指数は年末までに は1600ポイントに上昇するとの予想を示した。これは現水準から12% の上昇を意味する。

メリルとモルガン・スタンレーも下げて引けた。ゴールドマンはメ リルの株価見通しを11%引き下げて59ドルとした。またモルガン・ス タンレーについては株価見通しを7.6%下方修正し、61ドルとした。

S&P500種の業種別10指数中で金融株からなる指数が最も軟調だ った。同指数は前週末比3%下落と、05年10月以来の低水準となった。

○米国債:相場は上昇。米ゴールドマン・サックスのアナリストがシティグルー プについて総額150億ドルの評価損を計上するかもしれないと指摘。サブプライ ム(信用力の低い個人向け)住宅ローン絡みの損失が拡大するとの思惑から国債 買いが優勢になった。

キャンター・フィッツジェラルドによると、ニューヨーク時間午後4時 16分現在、10年債利回りは前週末比9ベーシスポイント(bp、1bp=0.01 ポイント)低下の4.08%。一時は4.04%と、05年9月以来の低水準となっ た。2年債利回りへの上乗せ幅は92bpと05年3月以来で最大となった。利 回り曲線の鋭角化は利下げ観測から短期債を中心に買いが入っていることを示 している。

住宅不況を背景に投資家が短期資産に資金を逃避させたため、上昇は2年 債がけん引した。ゴールドマンのアナリスト、ウィリアム・タノナ氏はシティ の投資判断を「売り」に引き下げた。住宅ローン不履行増加の影響が業績を圧 迫するとの見方が理由。

UBSセキュリティーズの米国債ストラテジスト(ニューヨーク在勤)、 ウィリアム・オドネル氏は「米債券市場はサブプライムの悪影響が信用市場や 金融業界全体に波及するかどうかに注目している」と述べた。

2年債利回りは18bp低下し3.17%。一時は3.12%と、05年1月以来 の水準まで低下した。2年債(表面利率3.625%、償還期限2009年10月) 相場は11/32下落の100 27/32。

利回り曲線の鋭角化

フェデラルファンド(FF)金利先物相場の動向によると、米連邦公開市 場委員会(FOMC)が12月11日の定例会合でFF金利の誘導を4.25%に 引き下げる確率は98%と、前週末の90%から上昇した。

9月からFOMCが利下げを始めたにもかかわらず、債券市場の動揺は収 まっていない。混乱時には逃避資金が流れ込む財務省短期証券(TB)の利回 りは8月に達した低水準近くにとどまっている。

フェデレーテッド・インベスターズのシニア・ポートフォリオ・マネジャ ー、ジョゼフ・バレストリノ氏は「投資家は身を潜め、安全と防衛を求めてい る。リスク回避の動きがかなり際立っている」と語った。

3カ月物TB利回りは5bp低下の3.36%。9日には3.05%と8月以来 の低水準となった。

リセッション見通し

米国がリセッション(景気後退)入りすると予想するエコノミストの割合 が2カ月間でほぼ倍増したことが、全米企業エコノミスト協会(NABE)の 最新調査で明らかになった。NABEが10月22日から11月6日に実施した 調査によれば、今後1年以内にリセッション入りする可能性が50%以上だとみ るエコノミストは50人中9人。9月に同様の見方をしていたのは46人中5人 だった。

シティグループの投資判断引き下げを受け、米国株は下落。S&P500種 株価指数は1.8%安、ダウ工業株30種平均は1.7%下落した。

米国債利回りは今四半期、米国株とほぼ同じ動きになっている。2年債利 回りとダウ平均の相関係数は10月1日以来、約0.95と、7-9月期の0.39 を大幅に上回っている。係数1は完全な相関関係を示す。

銀行間の貸出が消極的になっており、3カ月物ドル建てロンドン銀行間貸 出金利(LIBOR)は前週末比3bp上昇の4.98%。過去4営業日では 11bpの上昇と、5.73%に達した9月7日以来で最大となった。

米国債は全米ホームビルダー協会(NAHB)が午後発表した11月の米 住宅市場指数を受けて高値圏を維持した。同指数は19と、前月(速報値は 18)と一致。1985年の指数導入以来の最低水準にとどまった。

モルガン・スタンレーのグローバル・ウェルス・マネジメント・グループ の債券ストラテジスト、ケビン・フラナガン氏は「株式相場が暴落しない限り、 国債市場は考え得るすべての買い材料をほぼ織り込んでいる。国債相場は行き 過ぎている感がある」と述べた。

○NY外為:円が主要16通貨に対して上昇。投資家が信用市場での損失を懸念 し、低金利の円で資金を調達し、高金利通貨で運用する円キャリー取引を解消し たのが影響した。

ブラジルのレアル、南アフリカのランド、ノルウェーのクローネ、カナダ・ ドルおよび豪ドルは円に対して下落した。ドルは中東の湾岸協力会議(GCC) 加盟6カ国が通貨切り上げを検討すると述べたことが材料となり、対円で1.1% 下げた。

カリヨン証券のシニア通貨ストラテジスト、ジョナス・スリン氏は、「市場 参加者は非常に神経質になっている。彼らはサブプライム(信用力の低い個人向 け)ローン問題や信用問題の最悪局面はまだ迎えていないと、冷静な見方を持っ ている。この見方を背景に円に買いを入れ、高リスク資産を売却している」と語 った。

ニューヨーク時間午後4現在、円は対ドルで109円82銭まで上昇した。対 ユーロでの円は1.1%上昇し、1ユーロ=161円06銭だった。ドルは対ユーロ ではほぼ変わらずの1.4665ドル。スイス・フランはドルに対し0.2%上昇し、

1.1153スイス・フラン。一時は1ドル=1.1152スイス・フランと、1995年4 月以来の高値をつけた。

スリン氏は年末までに、ドルがユーロに対して1.50ドルまで下落する可能 性があるとみている。

ドルは一時、ユーロに対して1.4621ドルまで上昇した場面もあった。中国 人

民銀行の周小川総裁が、同国が強いドルを支持すると発言したのが手がかりだ った。一方、欧州中央銀行(ECB)のトリシェ総裁はG10が「外国為替相場 の行き過ぎた変動と秩序のない動きは経済成長にとって望ましくない」との見 解で一致したと語った。

英ポンドはドルに対して下落。英最大の不動産ウェブサイト、ライトムーブ によると、11月の英住宅価格はロンドンを除くすべての地域で下落したことか ら、イングランド銀行(英中銀)が利下げを実施するとの見方が広がった。1 ポンド=2.0495ドルと、前週末の同2.0547ドルから下落した。一時は最大、

2.0452ドルまで売り込まれた。

米ゴールドマン・サックスのアナリストが19日付のリポートで、シティグ ループが向こう2四半期で債務担保証券(CDO)に関連して150億ドルの評 価損を計上する可能性があると指摘。このリポートをきっかけに円が主要16 通貨に対して上昇した。

湾岸協力会議(GCC)

GCCのアティーヤ事務局によると、サウジアラビア、アラブ首長国連邦 (UAE)、カタール、オマーン、バーレーン、クウェートの6カ国で構成さ れるGCCは12月3-4日に会合を開催、通貨の切り上げについて話し合う 見通しだ。

アラブ首長国連邦(UAE)のスルタン・ビン・ナセル・スワイディ中央銀 行総裁は先週、外貨準備の10%を目標にユーロに移行するとの見解を述べ、 「一部はすでに多様化させている」ことを明らかにした。

ドルの下落

ドルは年初来、メキシコ・ペソ以外の主要15通貨で下落している。FOM Cは住宅問題などを背景に今年、政策金利を5.25%から4.5%に引き下げた。 企業はサブプライム住宅ローンに関連した証券の追加評価損を公表している。

金利先物市場動向によると、12月11日のFOMC会合でフェデラルファン ド(FF)金利誘導目標が0.25ポイント引き下げられる確率は96%となって いる。1カ月前は同72%だった。

全米ホームビルダー協会(NAHB)が発表した11月の米住宅市場指数は 19と、前月と一致。1985年の指数導入以来の最低水準にとどまった。同指数で 50を下回る数値は住宅建設業者の多くが現況を軟調とみていることを示す。

米ハーバード大学のマーティン・フェルドシュタイン教授はニューヨークで 開かれた会議で米国がリセッション(景気後退)に陥る可能性を阻止するため にはFOMCはFF金利を4%未満に引き下げるべきとの見解を示した。

○英国債:相場は13営業日連続で上昇した。株式相場の下落を背景に、安全投 資としての国債需要が高まったことが要因だった。

英2年債利回りは前週末比3ベーシスポイント(bp、1bp=0.01ポイント) 低下の4.48%となった。同国債(2009年12月償還、表面利率5.75%)価格 は0.05ポイント上昇し102.45。2年債の10年債に対する利回り格差は前週末 からほぼ変わらずの11bpと、2005年10月以降で最大付近。

○欧州債:2年国債相場は3営業日連続で上昇し、10年債に対する利回り格差は ここ3カ月で最大となった。ユーロ圏のインフレ率が目安を上回る水準にあるに もかかわらず、欧州中央銀行(ECB)が政策金利を引き上げないとの観測が広 がったことが背景にある。

信用市場危機に加え、ユーロがドルに対して過去最高値まで上昇したことを 受け、投資家らは欧州当局者が年内に利上げしないとの見方を強め、2年債相場 は上昇した。また、スイス再保険は19日、米サブプライム(信用力の低い個人 向け)住宅ローン関連の評価損として12億スイス・フラン(約1190億円)を 計上したと発表している。

RIAキャピタル・マーケッツ(エディンバラ)の債券ストラテジスト、ニ ック・スタメンコビック氏は、「利下げの可能性があったとしても、ECBは向 こう5-6カ月は据え置くだろう」との見通しを示した上で、経済の「先行指標 は明らかに下向きとなっている」と指摘した。

ドイツ2年国債の利回りはロンドン時間午後4時24分までに、前週末比10 ベーシスポイント(bp、1bp=0.01ポイント)低下し、3.70%となった。同国 債(2009年9月償還、表面利率4%)の価格は0.17ポイント上昇し100.51。

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