米国株:コーエン氏らはダウ理論に反して71年以来の大幅高予想

ストラテジストのアビー・ジョゼフ・コ ーエン氏やジェーソン・トレナート氏、デービッド・ビアンコ氏は、ダウ理論 では分からないことを知っているのだろうか?

ゴールドマン・サックス・グループのストラテジストのコーエン氏とスト ラテガス・リサーチ・パートナーズのトレナート氏、UBSのビアンコ氏は、 S&P500種株価指数が2007年末までの6週間に9.7%上昇し1600に達し、1971 年以降最大の上昇を演じると予想している。

しかし、123年の歴史を持つダウ理論では、トラック運送や鉄道、航空関 連株は景気減速に先行して業績が鈍化するとされており、今月の輸送株の下げ は米株式相場の下落の可能性を示唆しているという。ハリス・プライベート・ バンク(シカゴ)の最高投資責任者のジャック・アブリン氏は、「輸送株が崩 れている」と述べ、「相場が高くなるには景気の面で後押しが必要になってく るだろうが、それは期待できない」と話す。

米紙ウォールストリート・ジャーナルの共同創業者チャールズ・ダウ氏が 1884年に生み出したダウ輸送株20種平均は経済動向の予兆とされており、先 週は昨年12月以来の安値に下落した。ダウ氏が輸送株指数の12年後に考案し たダウ工業株30種平均は、今年8月16日の安値水準を下回れば、弱気相場が 始まるシグナルだとダウ理論では考えられている。ダウ理論のニューズレター の編集者チャック・カールソン氏は、「弱気相場に一歩近づいた」とみる。

バフェット氏

先週は、ダウ輸送株が前週末比0.9%安の4563.84に下落した一方、ダウ 工業株平均は同1%高の1万3176ドル79セントと、8月16日終値を2.6% 上回る水準で終了した。S&P500種株価指数は同0.4%高の1458.74で、年 初来の上昇率は2.9%となった。

輸送株は資産家ウォーレン・バフェット氏による鉄道株取得などに支えら れ、年前半に上昇。7月半ばまでには年初来で19%値上がりした。バフェット 氏率いる投資会社バークシャー・ハサウェイが5月に米鉄道最大手ユニオン・ パシフィックと同4位のノーフォーク・サザンの株式保有を明らかにした。そ の3週間前には、ダウ理論で強気シグナルとされる工業株平均と輸送株平均が 同時に高値を更新。S&P500種はその後、10月に最高値を更新した。ただ、 バフェット氏が先週、ユニオン・パシフィックとノーフォーク・サザンの保有 株の売却を発表したため、両社株はその後下落している。

重し

米政府は07年7-9月(第3四半期)の実質国内総生産(GDP)が前期 比年率で3.9%増加したと発表しているが、住宅市場の低迷やサブプライム(信 用力の低い個人向け)住宅ローン関連証券に関係した金融機関の多額の評価損 計上などが株式相場に重しになっている。

ただそれでも、コーエン氏とトレナート氏、ビアンコ氏の見通しに揺らぎ はない。3氏は、バリュエーション(株価評価)の低さや海外の経済成長、米 利下げ観測を理由にS&P500種が年内に過去最高値の1600に達することが可 能だと予測する。

トレナート氏は「1600に達するかどうかは神のみぞ知るところだが、株 式相場は十分に割安感があると強く感じており、悪い投資ではないと思う」と 語った。ブルームバーグ・データによると、S&P500種の予想株価収益率(P ER)は15.7倍と、約17年ぶりの低水準。

ビアンコ氏は11月9日付のリポートで、株式相場は割安であり、米金融 当局は政策金利を現行の4.5%から来年は3.5%に引き下げると予想。先週の 電話会議では「市場は米国のリセッション(景気後退)を織り込んでいるが、 われわれはそう考えない。企業収益は大方の人の見方よりもはるかに回復力が あることが示されるだろう」と述べた。

1990年代に強気な株式相場予想で有名になったコーエン氏は今月の投資見 通しで、住宅関連企業の損失は、海外向けにハイテク機器や産業機器を販売す る企業の利益の増加によって相殺されると分析し、リセッション入りの可能性 は低いとの見方を示した。

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