ウォール街は4.2兆円のボーナス準備-株主価値減少でも過去最高水準

証券会社の株主にとって、今年は2002年以 来で最悪の年だ。株主価値にして740億ドル(約8兆2000億円)が失われてい るからだ。にもかかわらず、ウォール街は従業員のために、総額で約380億ド ル(約4兆2000億円)という、過去最高水準のボーナスを用意している。

ゴールドマン・サックス・グループ、モルガン・スタンレー、メリルリン チ、リーマン・ブラザーズ・ホールディングス、ベアー・スターンズの米大手 証券5社で働く18万6000人のために用意されたこの額は、ブルームバーグの 計算によると1人当たり20万1500ドルとなる。5社の昨年のボーナス合計は 360億ドルだった。

過去最高となったM&A(企業の合併・買収)助言の手数料90億ドルと新 規株式公開(IPO)株やジャンク(高リスク・高利回り)債引き受けの50億 ドル(ブルームバーグ調べ)が、巨額のボーナス準備を可能にした。米国のサ ブプライム(信用力の低い個人向け)住宅ローン関連でメリルとベアー・スタ ーンズは痛手を受けたが、それでも証券業界の07年利益は過去2番目の高水準 となりそうだ。S&P500種株価指数が23%下落した02年を最後に、証券業界 のボーナスは以来、減少したことがない。

マンハッタン・カレッジ(ニューヨーク州リバーデール)のチャールズ・ ガイスト教授によれば、ゴールドマンの過去最高益やモルガン・スタンレー、 リーマンの増益で、証券会社は報酬を増やさざるを得ない。ゴールドマン以外 の4社の時価総額は今年、20%超減少しているが、ガイスト教授は「証券会社 は横並びにならざるを得ない」として、「もしベアー・スターンズとメリルだけ が報酬を増やす資金がないと言えば、良い人材がすべて流出してしまうだけだ」 と説明した。

実績に報いる

メリルの次期会長兼最高経営責任者(CEO)ジョン・セイン氏は12月1 日に予定される就任前から既に、ボーナスについて検討し始めている。メリル の米証券取引委員会(SEC)への届け出によると、セイン氏の報酬は少なく とも4400万ドル。同氏は15日のインタビューで、実績を上げている従業員に 報いる考えを示し「メリルの事業の大半は実際、堅調だ。このような状況では、 実績を上げている人へのボーナスは手厚くしなければならない」と語った。

証券会社は通常、収入の50%弱を人件費に充てる。今年の割合は過去5年 の各社の平均から試算した。年末の賞与は報酬の約60%を占める。大手5社は 年度最初の9カ月で524億ドルを報酬準備金として積み立てた。額は前年同期 に比べ9%多い。5社の収入についてのアナリスト予想から計算すると、通期 では625億ドルとなると見込まれる。これに基づく賞与の額は380億ドルとな る。1人当たりの20万1500ドルは米国の06年家計所得中央値の4万8201ド ルの4倍強で、ポルシェ911ターボ・カブリオレが買える額。

アナリスト予想によると、ゴールドマンの07年11月期利益は過去最高の 110億ドルの見込み。同社は今年度最初の9カ月で昨年度全体を上回る169億ド ルを報酬準備金として積んだ。名門証券会社ソロモン・ブラザーズ(当時)の 最高経営責任者(CEO)だったジョン・グッドフレンド氏は、他社は「難し い立場に置かれた」と話す。メリルは住宅ローン関連損失で今年の収入が13% 減となったと見込まれるが、1-9月の収入の58%を報酬準備金としたことを 明らかにしている。「従業員に適切に報いる」ため、昨年の49%から引き上げ た。10-12月(第4四半期)収入からは、さらに大きな部分を報酬に充てる可 能性があるという。

自信満々

バンカーらは、今年もたっぷりのボーナスを受け取れると安心しているよ うだ。文化団体や慈善団体への寄付は過去最高規模となり、1000万ドル超の「超 豪華」なマンハッタンの集合住宅への需要も過去最高だという。

ただ、報酬と採用の傾向をモニターするオプションズ・グループによると、 ボーナスの額は05、06年に比べバラつきが大きくなりそうだ。住宅ローン担保 証券組成やトレーディングを手掛ける従業員のボーナスは30-35%減となる一 方で、商品トレーダーは最大20%増が見込まれるという。また、同社のマイケ ル・カープCEOは、賞与のなかの株式部分が70%かそれ以上と、例年の50% に比べ高くなるだろうとみている。

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