米財務長官の為替発言に変化-G20や日米首脳会談前にドル反発を示唆

ポールソン米財務長官は米国の貿易相手国 に対し、ドルが米経済の「長期的な強さ」を反映し、最安値圏から持ち直すと の認識を示した。

ゴールドマン・サックス・グループのグローバルマーケット担当シニアエ コノミスト(ニューヨーク在勤)、ジェンズ・ノードビグ氏は、同長官が「ド ルに対する信頼感を市場に少しばかり吹き込もうと努めている」と指摘、「こ れこそが欧州やカナダの政策当局者が聞きたかった言葉だ」と述べた。

ポールソン長官は15日、南アフリカのケープタウンへの移動中に同行記者 団に対し、「米経済には、ほかの国・地域の経済と同じく浮き沈みがある」と 指摘。その上で、「しかし、私は米経済の成長が続き、その基本的な強さがわ れわれの通貨に反映されると信じている」と言及した。

欧州とカナダ、日本の当局者は、記録的なドル安につながっている為替レ ートの大幅な変動を批判している。ポールソン長官の発言は、17日のケープタ ウンでの20カ国財務相・中央銀行総裁会議(G20)や16日にワシントンで行 われるブッシュ米大統領と福田康夫首相との会談で、ドル下落をめぐる対立を 和らげる可能性がある。

歴代の米財務長官はここ13年間にわたり、ドルの上昇・下落局面にかかわ らず、「強いドル」という表現を繰り返し使ってきた。スタンダード・チャー タード銀行のグローバル通貨戦略責任者(シンガポール在勤)、カラム・ヘン ダーソン氏は「ポールソン長官は市場が自らのあらゆる発言を注視しているこ とを承知している。米政府はレトリックを変える必要があることを理解しつつ ある」と語った。

ドル下落が1カ月前に加速する前は、同長官もブッシュ大統領も度々、過 去最大を記録した米輸出は、米経済成長が鈍化する中にあって救いであると賞 賛していた。ドル安が後押しし、9月の米輸出は過去最大の1401億ドル(約15 兆4400億円)に達し、貿易赤字が2005年5月以来の低水準に縮小した。

米国の貿易パターンの変化は、欧州とカナダ、日本の景気減速につながる 恐れもあり、各国政府が反応を示している。福田首相は12日午後、首相官邸で 英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)のインタビューに応じ、外国為替市場 での円高進行について、為替相場の急激な変動は好ましくないとの認識を示し た上で、投機的な動きをけん制していく必要があるとの考えを明らかにした。

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE