FOMCが経済予測を拡充-「グリーンスパン語解読」の時代は終了

バーナンキ米連邦準備制度理事会(FRB) 議長(53)は、経済成長や物価の見通しをより詳しく発表する決定を下したこ とにより、謎めいた文言で政策方針を示していたグリーンスパン前議長からの 決別を印象付けた。

ニューヨーク連銀で国内調査担当の責任者を務めた経歴のある米リーマン ・ブラザーズ・ホールディングスの米国担当チーフエコノミスト、イーサン・ ハリス氏は「グリーンスパン語の解読装置をまだ捨てていない人は、早く捨て るべきだ」と指摘。「バーナンキ議長は、率直な人だ。物事をありのままに伝 える。隠されたメッセージはない」と語った。

バーナンキ議長は14日、連邦公開市場委員会(FOMC)が発表する景気 見通しの期間を1年増やして今後3年間にするほか、発表頻度を現行の年2回 から四半期ごとの年4回に増やすことを明らかにした。投資家や企業にとって は、政策金利の変更の根拠や今後の見通しがより鮮明になるメリットがある。

民間機関の分析の対象は、グリーンスパン議長時代の18年間と同じくバー ナンキ議長の認識を推測する作業から、FOMCがどのような見通しを持って いるかの判断へと変化するとの見方がFRBウオッチャーの間には多い。

元FRB副議長で、現在プリンストン大学の教授を務めるアラン・ブライ ンダー氏は、バーナンキ議長は「FOMCが真の委員会として機能することを 望んでいる」と指摘。「指図はしたくないのだろう」と語った。グリーンスパ ン前議長は取材に対してコメントを控えた。

金利見通し

バーナンキ議長をはじめとする金融当局者は、米経済は今四半期に停滞し、 来年半ばまでには伸びが加速するとの見通しを繰り返し強調している。それで もなお市場では、政策金利が少なくともあと1回引き下げられるとの見方が強 い。今年に入ってフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標は9月に0.5ポ イント、10月に0.25ポイント引き下げられた。

先物市場の金融指標に基づく予想では、12月11日に開かれる今年最後のF OMCで政策金利が0.25ポイント引き下げられて4.25%になる確率は92%だ。

バーナンキ議長の就任は昨年2月。FRB理事時代には、透明性の強化に 力を入れた。今回の措置は、市場との対話の在り方を1年半にわたり吟味した 結果だったが、議長が学者時代に支持していた公式な目標インフレ率の導入に は至らなかった。

FOMCはバーナンキ議長が今回の決定について説明するのと同時に、そ の詳細を発表。決定が政策当局者の協議によるものだったことを鮮明にした。

「見解の多様さ」

バーナンキ議長は、FOMCで金利政策を討議する12地区連銀総裁と7理 事の「見解の多様さ」を評価し、「単一の見解や分析が過度に支配的になりか ねないリスクを抑制するのに役立つ」との見方を示した。グリーンスパン議長 時代にはこのリスクが批判の対象になることが多かった。

議長が15日の講演後に報道機関の質問に答えたことも、記者団との公式な 対話を避けたグリーンスパン流と一線を画す出来事だった。

議長は講演で、透明性の維持を、FRBが一般市民、議会そして金融市場 に対して「民主的な正当性」を示す上で欠かせないものと位置付けた。FRB はこの点でバランスの取れた対応が必ずしもできていないとの批判を受けるこ とが多い。

グリーンスパン前議長との連続性

バーナンキ議長は、徐々に変化したグリーンスパン前議長との連続性にも 言及した。グリーンスパン議長時代には、1994年に政策金利の変更についての 発表が始まり、その後、FOMCを開催するたびに声明も発表されるようにな った。FOMC開催から議事録発表までの期間を6週間から3週間に短縮した。

今回の措置により、景気見通しの発表頻度は、四半期ごとに発表している 欧州中央銀行(ECB)やイングランド銀行のほか、スウェーデンやニュージ ーランド中銀と同じになった。日本銀行は年2回だ。

FRBはまた、商務省が発表する個人消費支出(PCE)価格指数を基準 にした、食品とエネルギーを含むインフレ率の見通しも新たに発表する方針を 明らかにした。

バーナンキ議長は、今回の決定について、一連の取り組みの最初の措置で あり、これが最後ではないと説明した。FRBは議長が公式なインタビューや 記者会見に応じていない点で、ほかの中銀よりもメディア対応が遅れている。

11月20日に1回目の発表

FRBは、1、4、6、10月のFOMC議事録で、四半期ごとの景気見通 しを明らかにする。バーナンキ議長によると、見通しのリスク要因についての 当局者の考えに関する解説も盛り込まれる。

今回の措置に伴う1回目の見通しが発表されるのは今月20日。投資家にと っては、次回のFOMC(12月11日開催)の3週間前に、FRBの最新の景気 認識を見極める機会となる。

FRBの元金融政策局長で、現在アメリカン・エンタープライズ研究所(A EI)に勤務するビンセント・ラインハート氏は、今回の措置について「金融 政策の非人格化だ」と指摘。バーナンキ議長が「景気見通しについて話すこと は、議長がFOMCの(予想)について話すことと同じになる」とした上で「グ リーンスパン前議長が証言でそうした数字に言及することはほとんどなかっ た。あれは前議長自身の見通しだった」との見方を示した。

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