東京外為:円が高値圏でもみ合い、欧米・日本株の下落で底堅さ維持

午前の東京外国為替市場では円が前日の高 値圏でもみ合い。米サブプライム(信用力の低い個人向け)住宅ローン問題を めぐる欧米金融機関の損失拡大懸念が続く中、欧米株に続き、日本株も下落し ており、リスク回避に伴う円キャリートレード(低金利の円を調達して高金利 通貨で運用する取引)の解消が連想されやすく、円は底堅さを維持している。

UFJ信託銀行資金為替部の井上英明グループマネージャーは、「週前半の 株価の反発・円安の流れが一転し、きのうはサブプライムに絡む損失拡大への 懸念から株が下落、リスク回避の動きから円が買い戻される展開になった」と 説明。その上で、東京時間は輸入企業のドル買いや投信設定もあるため、やや 安定した相場展開が予想されるものの、「海外に入れば再度、株安・円高への警 戒感が強まる」とみている。

サブプライム問題の影響続く

15日の海外市場ではサブプライム問題に絡む金融機関の損失拡大懸念から 欧米株式相場が下落。これを受け、16日の東京株式相場も大幅下落し、日経平 均株価は一時300円近い下げとなっている。

住宅ローン業務で米2位のウェルズ・ファーゴは15日、住宅市場は大恐慌 以来で最悪の状況だとの見解を示し、同行の住宅ローン市場での損失は2008年 も拡大する見通しであることを明らかにした。また、英銀3位のバークレイズ はサブプライム問題に関連し13億ポンドの評価損を計上したと発表。米格付け 会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)はサブプライム関連の評価損 計上を受け、米証券大手ベアー・スターンズの長期信用格付けを引き下げた。

欧米株の下落を背景に、外国為替市場ではリスク回避に伴う円の買い戻し が強まり、対ドルでは一時110円21銭(ブルームバーグ・データ参照、以下同 じ)、対ユーロでは1ユーロ=161円04銭とそれぞれ13日以来の水準まで円高 が進行。その後、円の上昇は一服しているが、日本株が大きく下げる中、円の 下値は限定的となっている。

ドイツ証券の深谷幸司シニア為替ストラテジストは、内外株安を背景に「ア ジア時間もリスク回避的なムードが漂った状態が続く」と予想。サブプライム 問題が重しとなる中、円キャリーなどの「リスクポジションが積み上がってい く方向はなかなか難しい」とみている。

G20で通貨問題協議へ

ポールソン米財務長官は15日、ドルが米国経済の「長期的な強さ」を反映 し、最安値圏から持ち直すだろうと自信を示し、「強いドルは、わが国の利益に 非常にかなう」との認識をあらためて表明した。同長官はまた、週末に南アフ リカのケープタウンで開催される20カ国財務相・中央銀行総裁会議(G20)で 為替相場が協議されなかったとすれば「驚きだ」と述べ、「通貨問題が議題の1 つになるだろう」との見通しを示した。

ユーロ・ドルは今月9日に1ユーロ=1.4752ドルとユーロ導入以来のドル 最安値を記録。15日には欧州市場にかけて再び1.4700ドル台に乗せる場面も見 られたが、その後は対円でのユーロ売りを背景に1.4605ドルまでドルが反発し、 東京市場にかけては1.46ドル台前半でもみ合う展開となっている。

三菱UFJ信託銀の井上氏は、「為替市場全般でこれまで積極投資を促して 生きた『ドル安・円安・他通貨高』の展開が逆転して、現状ではリスク回避型 のドル高円高、他通貨安に移行している」と説明。クロス円(ドル以外の通貨 と円の取引)での円高が警戒されるといい、反落の可能性を示すチャートパタ ーン、「ダブル・トップ」を形成した可能性があるユーロ・円の動向に注目して いる。

一方、G20については「ドル安に対して何らかのメッセージが出てくると の警戒感もある」(井上氏)といい、ドル・円が週初に付けた1年半ぶりドル安 値の109円13銭(ブルームバーグ・データ参照、以下同じ)を下に抜けなけれ ば、ドルの買い戻しが入る可能性もあるという。

--共同取材 加藤有明 Editor:Aoki(ygt)

参考画面: 記事に関する記者への問い合わせ先: 東京 小宮 弘子 Hiroko Komiya

+81-3-3201-2371 hirokokomiya1@bloomberg.net 記事に関するエディターへの問い合わせ先: 東京 大久保 義人 Yoshito Okubo

+81-3-3201-3651 yokubo1@bloomberg.net 香港 Sandy Hendry

+852-2977-6608 shendry@bloomberg.net

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE