米金融保証会社への信頼揺らぐ-格下げなら最大2000億ドルの損失も

米メジャーリーグのチーム、ニューヨーク・ ヤンキースから米銀シティグループまで、さまざまな発行体の証券に保証を提 供する金融保証会社への信頼が揺らげば、投資家は最大2000億ドル(約22兆 2600億円)の損失を被る恐れがある。

格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスとフィッチ・レーテ ィングスは、MBIAやアムバック・ファイナンシャル・グループなど金融保 証会社7社の「AAA」格付けを見直している。これら各社による保証付き証 券の発行残高は計2兆4000億ドルに上り、保証が失われれば保有者は評価額引 き下げを迫られる。また、一部の発行体は資本市場から締め出されるだろう。

モルガン・スタンレーのクレジットストラテジー責任者グレッグ・ピータ ーズ氏は、「その影響の大きさを考えると身震いがする」として、「パンドラの 箱を開けるようなもので、かく乱要因として働くだろう」と話した。

20年余りにわたり、保証会社への信頼が自治体や金融機関が発行する証券 の信用の質を支えてきた。しかし、住宅ローン担保証券などの資産を裏付けと した保証付き証券の格下げ増を受け、金融保証会社の安定性への疑問が浮上し た。クレジット・デフォルトスワップ(CDS)市場の動向は、MBIAのデ フォルト(債務不履行)確率が27%、アムバックは39%であることを示唆して いる。

ムーディーズとフィッチは、金融保証会社が保証する8万の証券の一部で 信用の質が劣化した結果、保証会社の資本に響き、もはや「AAA」格付けに 値しないのではないかと懸念する。

格付け会社によると、アムバックとFGIC、CIFGギャランティーは、 最高格付けを維持するために資本増強を求められる可能性が中程度以上ある。 MBIAの格下げのリスクは低いという。

保証会社が最高格付けを失えば、発行体の金利負担は増大する。また、証 券の格付けが引き下げられれば、資産の大半を「AAA」格付け証券で保有す することが義務付けられているファンドなどは売却せざるを得ない。

住宅ローン担保証券とCDO

2001年以来の住宅ブームを受けて、保証会社は住宅ローン担保証券への保 証を増やした。フィッチの8月2日付のリポートによると、6月30日時点で保 証されていた米サブプライム(信用力の低い個人向け)住宅ローン担保証券を 含む債務担保証券(CDO)は約1000億ドル相当。これらのCDOが保証を失 うと、保有している銀行などでは300億ドル超の評価損が発生すると試算され る。

これに加えて、ホーム・エクイティ・ローン(住宅保有者の持ち分を担保 とした融資)や消費者ローンを裏付けとした保証付き証券には1兆ドル規模の 市場がある。アムバックのCDSスプレッドに基づいて計算すると、ホーム・ エクイティ融資枠を裏付けとした保証付き証券の価値は年初来で15%減少した。 1兆ドル全体にこれを当てはめると、1500億ドルの価値目減りとなる。

ベアリング・アセット・マネジメント(ロンドン)で運用に携わるトビー・ ナングル氏は「保証付き証券の投資家は今まで、AAAの格付けを疑ったこと がなかった」が、リスク意識の高まりをみて「王様は裸だったのではないかと 考え始めるかもしれない」と話している。

MBIA債のCDSスプレッドは10月15日以来3倍以上となり402ベー シスポイント(bp、1bp=0.01%)に達している(CMAデータビジョン のデータ)。アムバックは603bp。

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