政府:携帯事業の参入促進、回線料金交渉を公平に-ディズニー機(3)

総務省は、米メディア2位で娯楽大手のウ ォルト・ディズニーが日本の携帯電話事業への参入を発表したことを歓迎、新規 参入を一層促進するため、来春までに既存事業者の通信回線の貸し出し基準を改 定、借り受ける業者が料金設定交渉で不利にならないようにする方針だ。

通信業界の競争政策の実質責任者である同省総合通信基盤局の谷脇康彦事業 政策課長が14日、ブルームバーグ・ニュースのインタビューで明らかにした。

ディズニーは、既存通信会社から回線網を借りるMVNO(仮想移動体通信 事業者)の手法を活用、国内携帯3位のソフトバンクモバイルのインフラを利用 して参入する。谷脇氏は、参入を業界活性化の「きっかけの1つとして歓迎す る」と述べ、「プレーヤーが増えて競争することで、サービスの多様化や料金の 低廉化が生まれてくる。その意味で新規参入促進は非常に大きなテーマだ」と語 った。

谷脇氏によると、新規参入をめぐっては、貸す側に優位な側面が依然として 強く、回線のレンタル料設定権などで借りる側と対立がある。このため国内では これまで本格的なMVNOは実現していなかった。総務省では年内にも関係業界 から意見を募集し、来春までに参入基準を改める。

野村総合研究所が9月に公表した試算によると、MVNOの市場参入が総務 省の想定通り進み11年に十分な参入環境が整備されれば、15年には2兆1000 億円の経済効果が発生するという。

料金設定などで対等に

MVNOは海外では、英ヴァージン・グループが手掛けている。ディズニー は米国で運営しているが年末に撤退する予定。国内では、通信ベンチャーの日本 通信がNTTドコモに貸し出しを依頼したが料金設定の方式で折り合わず、調停 機関の電気通信事業紛争処理委員会が審議中。ディズニーはこれを追い越す形に なった。

日本通信とドコモの紛争に関して総務省は、料金の設定権が貸す側にあると は限らず、対等にすべきだとする裁定案を紛争処理委に提出済み。同委は年内に 結論を出す見込みで、谷脇氏によると、その結果が出た後に参入基準改定のため の意見募集を開始するという。

谷脇氏は既存の携帯電話会社の対応について、①交渉の窓口を貸し手に料金 設定権があることを前提とする部署に絞っている②事業とは直接関係ない質問を して答えられないと交渉が厳しくなる-といった実態があることも、MVNO浸 透を妨げているとの見方を示した。

基準の改定に当たってはこうした事情を踏まえて、借りる側も対等の立場で 料金設定の交渉をできるようにしたり、携帯電話会社側の貸し出し審査の際の質 問項目について明確な基準を設定したりする策を講じる方針だ。

クレディ・スイス証券の早川仁アナリストはディズニーが参入を発表した 12日に、「総務省がフルサポートしていることもあり、MVNO化の流れは進 むと思う」と述べたうえで、「既存事業者の性格が強いドコモやKDDIには自 社の回線を貸すという発想を持ちにくいところがある。今後はソフトバンクから こういうケースが矢継ぎ早に出て、残り2社が追随する形になるのでは」とコメ ントしていた。

人数ではなく地域

総務省が掲げる「u-JAPAN政策」では、2010年度までに国内の100% の地域でブロードバンド(高速大容量通信)を活用可能にし、90%の地域では超 高速である光ファイバーを使えるようにして、都市と地方の情報格差を解消する としている。

そうした中、国内通信最大手NTTが9日、契約獲得ペース鈍化を理由に、 2010年度末時点での光ファイバー契約目標を3000万件から2000万件へと大幅 に下方修正。総務省の政策への影響を指摘する声もある。

谷脇氏は「NTTが作った自主的な目標とは聞いている」としながらも、下 方修正と政策への影響との「兼ね合いについて慎重に見極めていきたい」と語っ た。同時に総務省が最も重視するのは「サービス地域の問題であって、利用者数 ではない」とも語り、NTTが契約者の獲得目標を下げたことは、政策の変更に 直結はしないとの見方も示した。

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