米資産運用会社がMMFてこ入れ、SIV危機に備える-BOAも(2

米銀バンク・オブ・アメリカ(BOA)と 米資産運用会社レッグ・メイソンなどの運用会社は、自社のマネー・マーケッ ト・ファンド(MMF)へのてこ入れを進めている。ストラクチャード・イン ベストメント・ビークル(SIV)と呼ばれる運用機関が発行した証券からの 損失に備えるためだ。

BOAは、SIVの証券を購入したMMFに最大で6億ドル(約665億円) を注入する。同社のジョー・プライス最高財務責任者(CFO)が13日、投資 家向け会議で語った。

レッグ・メイソンとSEIインベストメンツ、サントラスト・バンクスも、 傘下のMMFの1株(1投資口)当たり純資産額が1ドルを割り込むことを防 ぐため、措置を取った。米国でMMFを運用する大手10社は合わせて、SIV の短期債務約500億ドル相当を抱えている。その中には既にデフォルト(債務 不履行)したものもある。

マネーファンド・インテリジェンス・ニュースレターを発行するクレーン・ データ社の創業者ピーター・クレーン氏は、MMF保有の証券で「本格的」に デフォルトが発生する「初めてのケースだ」と語った。

9日付の米証券取引委員会(SEC)への届け出によると、レッグ・メイ ソンは1本のMMFに1億ドルの資金を注入し、他の2本については2億3800 万ドルの融資枠を設定した。サントラスト・バンクスは10月に、デフォルトし たSIVのチェーン・ファイナンスが発行したCPを購入した傘下MMF2本 を、資金が回収できない場合に支援する許可を規制当局から得た。

リターン

最も安全な投資先の1つと考えられているMMFは、リターン向上を目指 して資産担保コマーシャルペーパー(ABCP)を購入した。ブルームバーグ・ データによると、90日物のABCPの今年の平均利回りは5.3%と、米財務省 証券を0.6ポイント上回る。

損失拡大を恐れるBOAやフェデレーテッド・インベスターズ、フィデリ ティ・インベストメンツなどMMF運用会社は今、米財務省と大手銀行が計画 するSIV基金に期待を託している。

今回の危機は、SIV発行の証券への投資がMMFにとって適切なものだ ったのかという疑問を投げ掛ける。MMF運用大手の1社、バンガード・グル ープは、リスクが高過ぎるとしてSIVの証券を回避してきた。ゴールドマン・ サックス・グループは米サブプライム(信用力の低い個人向け)住宅ローン問 題がSIVに及ぶと予想しSIVの証券を売却していた。

SECの投資管理部門のアソシエイト・ディレクター、ロバート・プレー ズ氏は「運用者らが今振り返って、SIVの証券を買わなければよかったと後 悔していることは確実だ」と話した。

BOA

プライスCFOによると、BOAはSIVの証券を購入したMMFに既に 3億ドルを提供した。他の一群のファンドにも同等規模の資金を提供する計画 だという。

SEIはチェーンの証券を保有する2ファンドに最大1億2900万ドルの信 用保証を提供した。SEIの9日の届け出によると、米格付け会社スタンダー ド・アンド・プアーズ(S&P)は、チェーンの債務を保有する投資信託で格 付け「AAA」のものすべてについて、信用補完が得られない場合は格付けを 引き下げ方向で見直すと伝えたという。S&Pのピーター・リゾ氏は13日のイ ンタビューで、S&Pは「相当数」のファンドと同様の話し合いをしていると 述べた。

MMF運用大手10社が公表した最新のデータによると、うち8社が保有す るSIVのCPと中期証券の総額は498億ドル。そのような資産の保有を許さ れている一部のMMFのみが購入していたという。

SIVは短期のCPや中期の証券で資金を調達し、より長期の証券に投資 する。米サブプライム住宅ローンの焦げ付き増をきっかけに、SIVが購入す る住宅ローン担保証券など高リスク資産への懸念が高まり、これらの資産を担 保としたCP発行による資金手当てが難しくなっている。

1ドルの壁

銀行預金や国債に次いで安全とされるMMFは、最高格付けの証券で年限 が13カ月以下のものにしか投資できない。年限の加重平均は90日以下。MM Fの破たんは今までに1994年のコミュニティー・バンカーズ・ミューチュアル・ ファンド1件のみだ。同ファンドは購入していた証券のデフォルトで1株当た り純資産額が1ドルを割り込み、1株当たり96セントを償還し解散した。

クレーン氏は、MMFの資産が1ドルを割り込むことは恐らくないだろう が、割り込んだ場合も評判の悪化を恐れる運用会社が補てんし、投資家には1 ドルを返還するだろうと話した。また、1970年に最初のMMFを設定したリザ ーブ・ファンドのブルース・ベント会長は、最悪のシナリオは投資家がリスク のあるMMFから資金を引き揚げ始め、リターンが落ち込むことだと語った。

サントラストは10月26日に、2本のMMFに信用を供与する許可を得た。 米銀ワコビアは、エバーグリーン・インベストメント・マネジメントから買い 取ったABCPについて、4000万ドル相当の損失を報告している。エバーグリ ーンの72億ドル規模のMMFが保有するABCPは9月30日時点で17億6000 万ドル相当と、半年前の29億ドルから減少した。

レッグ・メイソンの広報担当メアリー・アスリッジ氏によると、同社はM MFの資産を買い取ることはしていない。

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