NY外為:円下落、対ドル110円台-株高でリスク資産に資金回帰(2)

ニューヨーク外国為替市場では円が主要 16通貨に対して下落。株価が上昇したため、日本で資金を調達し、高利回り通 貨で運用する「円キャリー」取引が活発になり、円売りが優勢になった。

福田康夫首相が英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)とのインタビュー で円高進行をけん制したため、円売りが先行。日銀が政策金利を先進国中で最 も低い0.5%で据え置くと、円安が加速した。アラブ首長国連邦(UAE)の 中央銀行総裁が同国通貨ディルハムの米ドルに対するペッグ(連動)制を放棄 する可能性に言及したため、ドルも下落した。

三菱東京UFJ銀行の米国コーポレート外為セールス部門のバイスプレジ デント、ロバート・フレム氏は「円が再び売り圧力を受けている。これらすべ ての要因が円安方向に作用した」と述べた。

ニューヨーク時間午後4時現在、円は対ドルで前日比1.4%安の1ドル= 110円90銭。前日には一時109円13銭と、2006年5月以来の円高・ドル安水 準を付ける場面があった。信用市場での損失を受け、キャリー取引を解消する 動きが前日の円買いの背景だった。円はこの日、対ユーロで1.8%安の1ユー ロ=161円93銭となった。

フレム氏は円が週末までに163円まで弱含む可能性があるとの見方を示し た。

南アフリカ、ブラジル

対円での上昇は南アフリカ・ランドやブラジル・レアル、オーストラリ ア・ドル、ニュージーランド・ドルが目立ち、上昇率は3%を超えた。政策金 利は南アが10.5%、ブラジルが11.25%、オーストラリアが6.75%、ニュージ ーランドが8.25%となっている。

13日は米国株が反発。リスク回避傾向が弱まり、高利回り資産へ資金が回 帰していることを示唆した。前日に1%下落したS&P500種株価指数はこの 日、2.9%高となった。安全資産としての需要が薄れ、米国債は1週間ぶりに下 落した。

マニュファクチャラーズ&トレーダーズ・トラスト(ニューヨーク州バッ ファロー、運用資産500億ドル)のチーフ通貨トレーダー、ブライアン・テー ラー氏は「サブプライム(信用力の低い個人向け)住宅ローン問題の行方がは っきりするまで、荒い値動きが続くだろう。リスク回避傾向がやや収まれば、 円売り・高利回り通貨買いになる。再びリスク回避傾向が再び強まれば、その 動きは急速に反転するだろう」と述べた。

オンライン外為取引会社ゲイン・キャピタル傘下のフォレックス・ドッ ト・コムの為替チーフストラテジスト、ブライアン・ドラン氏によると、円は 1ドル=110円50銭を割り込むと、指値注文の円売りを巻き込み、下げ足が速 まった。

ポンドとインフレ

10月の英消費者物価指数(HICP)は前年同月比2.1%上昇と、イング ランド銀行(英中央銀行、BOE)のインフレ目標である2%を上回った。B OEが現行5.75%の政策金利を引き下げるとの思惑が後退し、ポンド買いを誘 った。ポンドは0.9%高の1ポンド=2.0703ドルとなった。9日には2.1161ド ルと、1981年以来の高水準を付けた。

カナダ・ドルは1%高の1カナダ・ドル=1.0427米ドルとなった。前日は

2.5%安と、1971年以来で最大の下げを演じた。7日には1.1040米ドルと、 1950年の変動相場制移行後の最高値を記録した。

カナダ高官は13日、匿名を条件にオタワで記者団に対し、カナダと欧州が それぞれ3分の1ずつ、ドル安の受け皿になっていると指摘。両経済の成長を 圧迫しているとの考えを明らかにした。

米国はルービン元長官の時代から受け継いだドル高が米国の利益であると の立場を継続。ポールソン財務長官は過去2週間、ドル安が進んでいるにもか かわらず、この姿勢を維持している。

協調介入

前回、主な中央銀行が為替市場で協調介入を実施したのは2000年9月のユ ーロ買い介入。

マニュファクチャラーズ&トレーダーズ・トラストのテーラー氏は「米国 が乗らない限り、協調介入の可能性は非常に小さい」とみる。

ドルは前日比0.5%安の1ユーロ=1.4603ドル。前日も1%下げた。9日 には1.4752ドルと、1999年1月のユーロ導入以来の最安値を更新した。

米連邦公開市場委員会(FOMC)が9月18日に2003年以来で初めてと なる利下げに踏み切って以来、ドルは対ユーロで4.2%、対円で4.5%下落して いる。フェデラルファンド(FF)金利先物相場が示す12月の追加利下げの確 率は78%となっている。

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