日銀総裁:米国経済への影響が予想以上の可能性は排除できない(5)

(第3段落以降に発言を追加し、最終段落以降に一問一答を追加します)

【記者:日高正裕】

11月13日(ブルームバーグ):日本銀行の福井俊彦総裁は13日午後、定例 会見し、米国の住宅市場は「当分の間、調整が続く」と指摘。米欧の金融市場も 「一進一退の不安定な状態が続いている」と述べた。そのうえで「米国の住宅市 場や国際金融市場の影響が予想以上のものとなる場合も全く排除できない」と言 明。「引き続き米サブプライム(信用力の低い個人向け)住宅ローン問題の帰趨 (きすう)とその影響を注視していく必要がある」と語った。

福井総裁は同日朝発表された7-9月実質国内総生産(GDP)は前期年 率2.6%増となったことについて「これまで公表された指標と合わせて考えると、 日本経済は引き続き緩やかに拡大していることを再確認した」と述べた。

福井総裁は一方で「国際金融資本市場ではなお不安定な状態が続いている。 リスク再評価の過程が続いている。米国経済の先行きに関する下振れリスクも引 き続き存在することもあり、併せて世界経済について不確実性が引き続き存在す ると認識した」と指摘。「国際金融資本市場の動向や海外経済の動向を引き続き 注視していく必要があるというのが本日の判断だ」と語った。

世界経済への影響は最小限に

福井総裁は米国経済について「個人消費や設備投資の緩やかな増加は続い ているが、住宅市場の調整が厳しさを増している。それに加えて、金融機関の貸 し出し態度も慎重化するということがあり、引き続きサブプライム住宅問題の帰 趨(きすう)とその影響を注視していく必要がある」と指摘。

米国経済は「安定成長に向けて軟着陸していく可能性が引き続き高い」と しながらも、「米国の住宅市場や国際金融市場の影響が予想以上のものとなった 場合、資産効果、信用収縮、企業や家計のマインドの悪化など、さまざまなルー トを通じて米国の景気減速が一段と厳しいものとなり、ひいては世界経済に影響 を及ぼす可能性も考えられる」と述べた。

福井総裁は日本経済については「生産・所得・支出の好循環のメカニズム が維持され、息の長い拡大が続く可能性が高い。今日の決定会合でも、この点は 委員の一致した見方だった」としたうえで、「私どもとしては、基本のシナリオ は変えない。ただし、リスク要因、あるいはリスク要因の高まりについては注意 深くみていく」と語った。

株価下落、住宅着工の落ち込み、原油高

世界的な株価の下落が続いていることについては「市場は多少行ったり来 たりする。一見改善したようで、また揺り戻しが来るという形で調整過程が続い ていく」と指摘。欧米の金融機関がサブプライム問題関連で多額の損失を計上し ていることについては「まだ最終的に価格の再発見のめどがついているわけでは ない。欧米の金融機関の処理すべき損失の額、マグニチュードもまだ明確に見通 せる段階にない」と語った。

改正建築基準法の施行による国内の住宅着工減少については「かなり急 激」で、「2007年度の成長率を下押しする要因となっている」と指摘。「手続 き面の問題が主因であれば、その遅れが徐々に解消していけば、その後の需要と して再び表れてくる」としながらも、「基調としての住宅着工が弱っているか判 然としない状況だ」と述べた。

原油価格の高騰については「中小企業を中心にこのところ企業収益を圧迫 している」と指摘。その一方で「全体としてみる限り、中小企業も利益水準はか なり高い状況なので、この先、生産の増加が続くなかで、全体として中小企業も 増益傾向が続く可能性が高いのではないかと一応みている」と語った。

基本シナリオは維持

福井総裁は「日本経済を全体としてとらえてみれば、生産・所得・支出の 好循環が途切れることなく回り続け、そのもとで息の長い拡大を続ける可能性が 高いとみられている」としながらも、「海外経済や国際金融資本市場の動向など には不確実な要因が存在している」と指摘。「リスク要因がもし顕現化した場合 には、その程度いかんで世界経済全体として下振れ、ひいては日本経済にも影響 が及んでくる可能性がある」と述べた。

福井総裁は一方で、「これだけ市場と米国の住宅投資が調整過程を経るな かで、米国のその他の部門、あるいは世界経済全体という見方をした場合は、悪 影響の跳ね返りは最小限にとどまっている」と指摘。「われわれは何も前進して いないというよりは、世界経済も市場も調整すべき宿題はきちんと果たしながら 前進している」と語った。

福井総裁はそのうえで「われわれとしては、経済・物価の見通しの基本シ ナリオも、われわれの政策の基本スタンスも、揺るぎなくこれをもち続けていく ということで間違いない。この点についての確信はいささかも揺らいでいない」 と語った。

円高が一概にダメージとは限らない

為替市場については「やはりサブプライム問題に端を発したリスク再評価 の大きなプロセスから免れず、ある種の調整の波が及んでいて、為替相場も振幅 の大きな状況になっている」と指摘。そのうえで、為替相場がある方向に振れた 場合は、「輸出産業の競争力にとってプラスかマイナスか」だけではなく、「交 易条件が日本企業にとって有利な方向に変わるのか、不利な方向に変わるのか、 こういった面からもみなければならない」と述べた。

福井総裁はさらに「日本企業にとっては海外から持ち込む原材料やエネル ギーの値段が上がれば交易条件が悪くなる。しかし、為替相場はこの場合は円高 になった方が交易条件の悪化を緩和する」と指摘。「こういうふうに、為替の動 きを一概にダメージがあるんだ、あるんだというふうに片寄せてみると、マクロ の経済判断としては少しバランスを欠いている」と語った。

福井総裁はサブプライム問題が国内の金融システムに与える影響について は「日本の金融機関は欧米の金融機関と比べて、総じて関与の度合が低い」と指 摘。「全体として不安を感じる必要はない」と語った。

主な一問一答は次の通り。

――この日の決定についてその背景をご説明ください。

「今朝発表された7-9月実質国内総生産(GDP)は前期年率2.6%増と なったが、これまで公表された指標と合わせて考えると、日本経済は引き続き緩 やかに拡大していることを再確認した。しかし、国際金融資本市場ではなお不安 定な状態が続いている。リスク再評価の過程が続いている。米国経済の先行きに 関する下振れリスクも引き続き存在することもあり、併せて世界経済について不 確実性が引き続き存在すると認識した」

「したがって、国際金融資本市場の動向や海外経済の動向を引き続き注視 していく必要があるというのが本日の判断だ。詳しく述べると前回(の会見)と そんなに変わってないが、世界経済は地域的な広がりを持ちながら引き続き拡大 している。そのもとで日本からの輸出は増加を続けていると明確に言える」

「世界経済のなかで特に米国だが、個人消費や設備投資の緩やかな増加は 続いているが、住宅市場の調整が厳しさを増している。それに加えて、金融機関 の貸し出し態度も慎重化するということがあり、引き続きサブプライム住宅問題 の帰趨とその影響を注視していく必要がある」

「国内に戻ると、民間需要は増加しているという判断だ。高水準の企業収 益を背景に、設備投資も引き続き増加基調にあることを確認した。雇用・所得面 については、1人当たり賃金はこのところやや弱めとなっている。グローバル化 や原材料高の影響から、中小企業を中心に人件費抑制姿勢が根強い」

「もっとも、労働市場がタイト化するなかで雇用者数は増加しており、雇 用者所得は緩やかな増加を続けている。そうしたもとで、個人消費も底堅く推移 している。GDP統計のなかの個人消費を見てもそういうことが言えると思う。 このように、内外の需要が増加するなかで、生産は増加基調を続けている。在庫 もおおむね出荷とバランスの取れた状態にある」

「ずっと注目してきた電子部品・デバイスの在庫水準だが、最終製品メー カーが活発な新製品投入を続けているなかで、出荷は増加に転じており、在庫は 出荷とおおむねバランスの取れた状態になってきている。その片方で、DRAM の市況が少し軟化しており、この世界はなかなか新しい現象が次から次に出てく るので、常に断定的なことは言えないが、全体を眺めてみると、生産・出荷・在 庫のバランスが大きく崩れるリスクはまあ少ないという感じだ」

「物価については、国内企業物価が最近の国際商品市況の一段高などを背 景に、3カ月前比で見て上昇を続けている。3カ月前比の上昇が少し鈍るかなと みられていたが、最近の市況の一段高でそういうこともなく上昇している。先行 きについても、当面は国際商品市況高などを背景に上昇を続ける可能性が高いと みている」

「消費者物価指数については、目先ゼロ%近傍で推移する可能性が高いが、 より長い目でみると、マクロ的な需給が需要超過方向で推移していくなか、プラ ス基調を続けていくと予想される。したがって、日本経済はこの先も、物価安定 のもとでの息の長い成長を続けていく蓋然(がいぜん)性が引き続き高い。生 産・所得・支出の好循環のメカニズムが維持されるとみられることに裏打ちされ て、その蓋然性が引き続き高いと判断している」

「その一方で、海外経済や国際金融市場の動向などには不確実な要因があ る。私どもとしては、今後公表される指標や情報、内外の金融市場の動向などを 丹念に点検し、見通しの蓋然性をそれに対するリスクをさらに見極めたうえで、 適切な政策判断を行っていきたい」

――住宅着工の大幅な減少や原油価格の高騰で日本経済の下振れリスクが高まっ ており、景気は後退局面を迎えるとの見方もある。こうした見方をどうお考えか。

「足元の住宅着工の減少はかなり急激だと思う。7-9月のGDP統計に もそれは端的に表れている。2007年度の成長率を下押しする要因となっている。 ただ、改正建築基準法の施行に伴う手続き面の問題が主因であり、そのウエート がかなり大きく、基調としての住宅着工が弱っているか判然としない状況だ」

「手続き面の問題が主因であれば、その遅れが徐々に解消していけば、そ の後の需要として再び表れてくるという筋合いのものだ。ここのところは今後ど うなるかもう少し様子を見ないと、正確なことが言えない部分が残っている」

「原油価格をはじめとする原材料価格の上昇については、地方に行っても、 中小企業を中心にこのところ企業収益を圧迫しているという話をうかがうし、事 実としてもそうだと認識している。ただ、全体としてみる限り、中小企業も利益 水準はかなり高い状況なので、この先、生産の増加が続くなかで、全体として中 小企業も増益傾向が続く可能性が高いのではないかと一応みている」

「それから、景気循環という意味ではなかなか難しいが、資本ストック循 環の観点から見て、設備投資の増加テンポは昨年度までと比べれば緩やかになる というのは、私どもの基本シナリオのなかに既に入れ込んでいる。つまり、展望 リポートの見通しに織り込んでいる。一方で、家計部門への波及が緩やかながら 確実に進むなかで、家計所得は緩やかながら増加を続け、個人消費は緩やかな増 加基調をたどるだろうと考えられる」

「このように、日本経済を全体としてとらえてみれば、展望リポートでも 示したように、生産・所得・支出の好循環が途切れることなく回り続け、そのも とで息の長い拡大を続ける可能性が高いとみられている。循環的要素を全く無視 しているわけではなくて、一番大きな設備投資循環はある程度シナリオのなかに 入れている」

「そうは申しても、海外経済や国際金融資本市場の動向などには不確実な 要因が存在している。リスク要因がもし顕現化した場合には、その程度いかんで 世界経済全体として下振れ、ひいては日本経済にも影響が及んでくる可能性があ る。引き続きそういう目で十分注視していく必要がある」

――サブプライム問題の影響は想定より深刻化しているとお考えか。

「米国、欧州の金融市場の足元の動きは、証券化商品の追加格下げ、ある いは米国、欧州の金融機関の決算における多額の損失計上もあり、いわば一進一 退の不安定な状態が続いている。それから、株価は世界的に振れの大きな展開に なっている。日本の株価も例外ではない。世界的に見て特に金融関連株が下落し ているのが特徴だ。為替市場ではドル安円高が進行している」

「今回の市場の変動はリスクの再評価の過程であり、それ以前に経験した 市場の調整とは違って、ある調整期間を経れば自然に元に戻るというものでは恐 らくない。リスク再評価の過程は新しい価格を発見するという非常に難しいプロ セスを経る。新しい価格を発見すれば、必ず何がしかの損失が浮かんでくる。誰 かが損失を処理しなければならず、苦痛を伴うプロセスだ」

「したがって、時間がかかるし、多少行ったり来たりしながら、市場は新 しい均衡価格を見出す努力を続けるだろう。そうした大きな枠組みでいえば、現 在まで進んできているリスク再評価の過程は、おおむね私の頭のなかにイメージ として浮かび上がったものと、そんなに齟齬(そご)はない形で進んでいる」

「つまり、サブプライムローンという狭い範囲にとどまることなく、市場 全体にリスク再評価の過程が進む。そして、次第に損失が確定していき、損失を 処理しなければならないという、やや苦難に満ちた、しかし否応なくそのプロセ スが進む。そういう枠組みで現在進んでいる。したがって、市場は多少行ったり 来たりする。一見、改善したようでまたゆり戻しが来るという形で調整過程が続 いていくと思う」

「過去の日本の金融機関の不良債権と違って、バランスシートにいったん 離れたものが戻ってくるという新しいプロセスが含まれている。それも併せて考 えると、やはり少し時間のかかるプロセスと思ったが、想定通り続いている」

「まだ最終的に価格の再発見のめどがついているわけではない。欧米の金 融機関の処理すべき損失の額、マグニチュードもまだ明確に見通せる段階にない。 全体の処理の枠組みは私の頭のなかの想定に沿って進んでいるが、最終的な処理 の大きさ、マグニチュードについて想定外であるかどうかというところまでは、 まだ判定できない状況にある」

「実体経済については、米国の住宅投資が減少を続けている。在庫も非常 に高い水準にある。それを踏まえると、こちらの方も当分の間、調整が続く。こ ういうふうな感じがしている。ただ、かなりの時間調整過程を経てきているが、 米国の個人消費や設備投資は少し減速しつつも緩やかな増加基調を維持している ことも確かだ」

「米国経済も7-9月GDPはそんなに悪くなかったし、この先上方修正 されるかもしれないが、その先は成長率がある程度下がっていくとみるのが自然 だろう。ただ、そういう過程を経て、その後は安定成長に向けて軟着陸していく 可能性が引き続き高いと私どももみている。世界経済全体としては、米国の減速 を新興諸国の高い成長が補って、堅調な拡大を続ける可能性が高いとみている」

「したがって、日本経済は生産・所得・支出の好循環のメカニズムが維持 され、息の長い拡大が続く可能性が高い。今日の決定会合でも、この点は委員の 一致した見方だった。私どもとしては、基本のシナリオは変えない。ただし、リ スク要因、あるいはリスク要因の高まりについては注意深くみていくというスタ ンスだ」

「展望リポートでも既に書いているが、米国の住宅市場や国際金融市場の 影響が予想以上のものとなる場合も全くルールアウト(排除)できないわけで、 そういうふうに予想以上のものとなった場合は、資産効果、信用収縮、企業や家 計のマインドの悪化などさまざまなルートを通じて米国の個人消費と設備投資が 下振れ、米国の景気減速が一段と厳しいものとなり、ひいては世界経済に影響を 及ぼす可能性も考えられる。引き続き十分この点を注視していく必要がある」

――日本経済は内外にリスク要因を多く抱え、この先も金融政策は現状維持が続 くとの見方が強いが、こうした見方をどうご覧になるか。

「繰り返し申し上げているが、利上げのスケジュールを前提にして、それ との比較で経済がどうかという見方をしていない。内外の経済と市場の状況をま さに直視している。まっすぐに見ていろいろな分析をしており、何の進展もない かというと、グローバルな金融資本市場も確かに一見、改善したような時期があ るかと思えば、また揺り戻しが来るというように、激しい動きをしているが、さ まよっているわけではない。新しい価格発見のプロセスを着実に歩んでいる」

「そして、金融機関も自らのバランスシートに不良債権を見分けながら引 き取って、損失処理をしたり引き当てをしたり、着実にそのプロセスを進めてい る。われわれはそういったリスクの再評価の過程は着実に進んでいて、市場は揺 れ動きながら、少し苦痛を増しながらそのプロセスを着実に進めているとみてい る。いずれあるところで市場の先行きの姿が少しずつ浮かび上がってくることは 間違いないという見方をしている」

「米国の実体経済も、住宅投資がかなり減少を続けて、調整過程が全く進 んでないわけではなく、相当進んでいる。ただ、その割には在庫水準がまだかな り高い状況にあるので、住宅市場の底が見えたというところにはまだ行かないが、 前進はしているとみている。これだけ市場と米国の住宅投資が調整過程を経るな かで、米国のその他の部門、あるいは世界経済全体という見方をした場合は、悪 影響の跳ね返りは最小限にとどまっているとみている」

「われわれは何も前進していないというよりは、世界経済も市場も調整す べき宿題はきちんと果たしながら前進しているとみている。スケジュール観を持 たないでみていると、われわれとしては、経済・物価の見通しの基本シナリオも、 われわれの政策の基本スタンスも、揺るぎなくこれをもち続けていくということ で間違いない。この点についての確信はいささかも揺らいでいない」

――円高の影響をどうご覧になっているのか。

「為替相場もやはりサブプライム問題に端を発したリスク再評価の大きな プロセスから免れず、ある種の調整の波が及んでいて、為替相場も振幅の大きな 状況になっている。したがって、為替相場だけを取り出して、先行きどこまで行 くかを明確に述べることは難しい。ただ、われわれは常に、為替相場があまり動 かない場合も、あるいは動く場合も、実体経済との関係がどうかと、いろいろな 作用、反作用が実体経済と為替相場との間にはある」

「為替相場がある方向に振れた場合には、輸出産業の競争力にとってプラ スかマイナスかというのがあるが、それだけではなく、交易条件が日本企業にと って有利な方向に変わるのか、不利な方向に変わるのか、こういった面からもみ なければならない。中小企業の話が出たが、原材料高は日本企業にとっては海外 から持ち込む原材料やエネルギーの値段が上がれば、交易条件が悪くなる。しか し、為替相場はこの場合は円高になった方が交易条件の悪化を緩和する」

「こういうふうに、為替の動きを一概にダメージがあるんだ、あるんだと いうふうに片寄せてみると、マクロの経済判断としては少し片手落ちになる。や はり企業の競争条件に与える影響、それから交易条件の変化、それからかなり心 理的なものもあるかもしれない。そこも併せて実体経済への影響を常にとらえ直 していくという努力が必要だ」

――サブプライム問題の進展をみるうえで、注目しているのは何ですか。

「住宅投資の減少幅が少し拡大してきているので、その拡大した減少のペ ースで在庫が減り始めるのか、あるいは、住宅価格に対する下方圧力の強まりが どの程度になっていくのかについて、いくらかめどが出てくれば、いわゆるソフ トランディング・シナリオの蓋然性がそれだけ高まる。なぜなら、その他の経済 の部門が比較的しっかりしているという、この壁に対するひび割れを生じさせる 度合が減るからだ」

「しかし、投資の減少幅がさらに大きくなって、調整期間が長引いてもな かなか住宅在庫が減らず、住宅価格への下方圧力が増す一方というふうになって くると、予想以上に深い調整に入っていくということになるので、当然、価格押 し下げ圧力も強まって、個人消費等への悪影響の可能性も強まる。いろいろなル ートで見ることが可能だが、少なくとも今申し上げたようなルートで今後の動き を見極めていくことはできるのではないかと思っている」

――今おっしゃったことについて、多少姿が見えてこないと、金融政策の変更は できないとお考えか。

「そういう具体的なポイントに絡めた質問にはいっさい答える立場にない。 常に言っているように、そこだけみているわけでなく、日本経済自身がしっかり していくかどうかを中心にみているので、それに間接的に影響を及ぼすさまざま な要因の1つ、そのさまざまな要因の1つをどういう目でみるか、という質問と して今お答えした」

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